こちらの記事も読まれています
【小児科医監修】赤ちゃんが声を出して笑うのはいつから?時期や笑わせ方のコツとは
Profile
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
赤ちゃんが声を出して笑うのはいつからか気になっているママやパパもいるのではないでしょうか?赤ちゃんが笑うのには、発達に応じていくつかの種類があるようです。目が合うとにっこりしてくれたり、声を出して笑ってくれる赤ちゃんは、見ているだけでも癒やされますよね。そこで今回の記事では、小児科医監修のもと、赤ちゃんが声を出して笑う時期や、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツを、ママたちの体験談を交えながらご紹介します。
赤ちゃんが声を出して笑うのはいつから?
個人差はありますが、だいたい生後5~6カ月くらいでしょう。生後5~6カ月頃は、運動機能の発達も大きく進むため、声を出して笑うだけでなく、手足をバタバタさせて笑うなど、感情表現のバリエーションが増える時期といえます。
生まれて間もない赤ちゃんは喉の発達が未熟なため、泣き声以外の声を出すことはできません。しかし、成長するにつれ喉が発達し、生後5~6カ月くらいになると「あぶぶ」「あむあむ」といった「喃語(なんご)」と言われる声を出せるようになります。
喃語とは赤ちゃんが発する特有の言葉で、言葉を話すための初期の重要なステップといわれています。喃語を話し始めたころは決まった短い言葉を繰り返し話しますが、月齢が上がるにつれて徐々に喃語の種類も増えていきます。
赤ちゃんが「へへっ」と短く笑ったり、声を出して笑うようになるのも、この時期です。
ただ、中には喃語は出ているのに笑い声は立てない赤ちゃんもいます。大人にも、よく笑う人と、あまり笑わない人がいますよね?
だから、赤ちゃんが笑わなくても、過度な心配はしないでください。
赤ちゃんの笑顔には種類がある
赤ちゃんの笑顔には、発達に応じていくつかの種類があるようです。
生まれ間もない赤ちゃんの笑顔は「新生児微笑」
新生児微笑は、「天使の微笑」や「えな笑い」と呼ばれることもあります。
新生児微笑は、赤ちゃんが自分の感情や意思で笑っているのではなく、反射神経が働いて笑っているような表情になっているだけの生理的微笑ともいわれます。
とはいえ授乳後や、気持ちよさそうに眠っている時によく見られるものなので、満足感や心地良さのあらわれとも考えられています。
顔の筋肉のけいれんで、ほほ笑みとは無関係というような意見もありますが、いずれにせよ反射神経が働いて笑っているにすぎず、外部から与えられた刺激に対する反応ではありません。
生後2カ月頃からは自分の意思で笑う「社会的微笑」に
生後2カ月を過ぎると、反射神経が働いて起こる新生児微笑が現れなくなってきます。生後2カ月頃からは、人の顔を見てにっこりとほほ笑む「社会的微笑」が見られるようになります。
社会的微笑は、外的刺激に反応できるようになったことを示しており、反射神経が働くことによる生理的微笑から発育した証拠ともいえるでしょう。
とはいえ、社会的微笑の初期段階では、ママやパパを認識して笑うというわけではなく、写真や人形などでも笑顔を見せることはあるでしょう。
日々成長する中で、ママ・パパの顔がしっかりと認識できるようになり、感情や意思の伴った笑顔や声を出して笑うようになるのです。
赤ちゃんが笑う理由は成長とともに変化
赤ちゃんが笑う理由は、月齢とともに変化していきます。
反射神経が働いて笑っているような表情になる新生児微笑から、外的刺激に反応して自分の意思で笑う社会的微笑が見られるようになります。その後、5~6カ月になると赤ちゃんの視覚や聴覚、記憶力などの発達が進み、目の前のものを見て笑ったり、いないいないばぁ遊びにも声を出して笑ったりします。
このように赤ちゃんが笑う理由は成長とともに変化していきます。赤ちゃんのさまざまな成長を確認することができますので、ママやパパは抱っこなどのスキンシップや声かけなどのコミュニケーションをたくさん取りましょう。赤ちゃんはまだしゃべることはできませんが、このようなコミュニケーションからママやパパの愛情や関心を感じ取り、家族の絆を構築することにつながるでしょう。
赤ちゃんの笑い声を引き出すポイント
赤ちゃんの発達は個人差が大きく、とてもよく笑う赤ちゃんもいればあまり笑わない赤ちゃんもいるでしょう。周りと比べて赤ちゃんがあまり笑わない場合、ママやパパとして心配になってしまうこともあるかもしれません。ここからは、赤ちゃんの笑い声を引き出すポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
うちわなどで風を当ててみる
生後6カ月を過ぎても赤ちゃんがあまり笑わない場合は、あやし方を工夫してみるのはどうでしょう?
赤ちゃんは視力が弱いので、赤ちゃん遊びの定番である「いないいないばぁ」も、見えていない可能性があります。
足の裏や脇をくすぐる遊びも、赤ちゃんによっては「くすぐったい」のではなく、刺激が強くて「痛い」と感じているかもしれません。
うちわなどを使い風を当てるあやし方ならば、視力が弱くても体で感じることができます。指でくすぐるよりも刺激が弱いので、赤ちゃんが「くすぐったい」と感じやすいですよ。
抱っこなどのスキンシップ
ストレスがなく、リラックスした状態の時じゃないと、ママも笑顔にはなりませんよね。
赤ちゃんもママと同様です。安心できる場所やリラックスしているときは笑顔や笑い声が出やすくなります。
赤ちゃんが安心して安らげる場所は、なんといっても大好きなママの腕のなかです。
抱っこやスキンシップを普段からたくさんしていると、赤ちゃんの情緒も安定して笑い声を引き出しやすくなりますよ。
家庭内で、スキンシップの時間が増やせるよう、授乳の仕方やパパとの家事の分担などを見直してみるものいいかもしれませんね。
絵本を読んだり笑い声で声をかける
赤ちゃん向けの絵本には、鮮やかな色で描かれたイラストや「トントン」「バンバン」などの擬音、シンプルな言葉のくり返しなど、赤ちゃんが喜ぶ要素がいっぱい詰まっています。
赤ちゃんのお気に入りのシーンを繰り返し読んであげたり、声色を変えて読み聞かせることで、赤ちゃんの笑い声を引き出すことに効果があるかもしれません。
なかには大人が笑っていると「つられ笑い」をする赤ちゃんもいます。
また、ママの笑い声では笑わない赤ちゃんも、パパの笑い声なら笑うことも。男性特有の低い声が楽しいのかもしれませんね!
赤ちゃんが笑わない時は?
生後5ヶ月を過ぎているけど、赤ちゃんが声を出して笑わないという場合は、まず親子のコミュニケーションが十分か振り返ってみましょう。
赤ちゃんは抱っこなどのスキンシップや、ママやパパからの笑顔や声かけなどから愛情や関心をきちんと感じ取っています。家庭でのこういったコミュニケーションが、赤ちゃんの表情や感情表現の発達に大きな影響をもたらします。
ママが無言でお世話をしたり、イライラしてばかりいると、赤ちゃんの笑顔も次第に見られなくなってしまうでしょう。もし「疲れたな」と感じた時は、パパや家族に預けるなどして、少し休息をとるようにして下さい。ママやパパも笑顔でいられる家庭の環境も大切です。
日々のスキンシップや声かけなどのコミュニケーションを心掛け、赤ちゃんに愛情を伝えましょう。十分なコミュニケーションをとって愛情を伝えられているという方は、先に述べた笑い声を引き出すポイントなどを参考にしてみてください。
それでもやっぱり笑顔が見られない場合は、専門家に相談してみましょう。
笑い方が気になる時の対処法
笑いすぎる
赤ちゃんにも個人差や性格、笑いのツボなどがあります。周りに比べてよく笑う赤ちゃんでも、おかしいことはありません。
笑うとしゃっくりが出る
しゃっくりは、肺の下に位置する横隔膜のけいれんによって起こります。
笑うと大きく息を吸ったり吐いたりするので、それに伴い横隔膜が大きく上下し、それが刺激になってしゃっくりが出るのでしょう。
生後3カ月くらいまでは未熟なので、よくしゃっくりが出ます。
しゃっくりがなかなか止まらない時は、水などを少し飲ませてあげると落ち着きやすいでしょう。また、生後3カ月を過ぎるとしゃっくりも出にくくなると思いますよ。
笑い方が変
引き笑いをするなど、予想外の笑い声だったりすると、心配になるママもいるでしょう。しかし、赤ちゃんにもそれぞれ個性があることを忘れずに。
とはいえ、もし障害の可能性があるのではないかなど気になることがあるときは、早めに専門家へ相談しましょう。
赤ちゃんが声を出して笑うのはどんな時?
赤ちゃんがどんなときに声を出して笑ったのか、体験談をママに聞いてみました。赤ちゃんの笑顔を増やしたいと思っているママ・パパは、ぜひ参考にしてみてください。
顎を触った時
ピンポイントで優しくあごを触ってあげる。
2歳児のママ
頬を触った時
ほっぺを優しくつんつんしてあげる。
1歳児のママ
生後半年くらいに、授乳のあとほっぺをつんつんと触ると、声を出して笑っていました。授乳の時間は赤ちゃんとのスキンシップをたくさんするようにしていました
たかいたかいをした時
体が浮く感覚に興奮して、声を出して笑ってくれることが多いです。
3歳児のママ
パパがたかいたかいをしてあげると嬉しそうに声を出して笑っていました
たかいたかいは、赤ちゃんをあやす方法としてよく知られている方法のひとつですが、注意しなければいけない点があります。それは、強く揺さぶらないことです。赤ちゃんをたかいたかいして強く揺さぶってしまうと、乳幼児揺さぶられ症候群になってしまう可能性があります。乳幼児揺さぶられ症候群は、赤ちゃんの頭が揺さぶられることで、脳にダメージを受けてしまうことをいいます。
知らない音を聞いた時
生後2~3カ月の赤ちゃんは聴覚が発達してきて、色んな音に興味を持ちます。鈴や音の出るおもちゃなどであやしてみるといいでしょう。
1歳児のママ
3カ月頃、聴覚が発達してきているようで周囲のいろいろな音に反応するようになりました。音が出るおもちゃを持たせてあげると、楽しそうに笑っていました
くすぐった時
赤ちゃんが「くすぐったい」と感じるのは、生後半年を過ぎた頃からといわれています。足の裏や脇腹、お腹などを優しくくすぐってみましょう。
1歳児のママ
6カ月を過ぎた頃、近くの地区センターでベビーマッサージ講習を受けました。赤ちゃんのマッサージをするときに、お腹をくすぐる遊びをすると嬉しそうに笑っていました。親子の良いコミュニケーションになっていたなと感じます
いないいないばぁをした時
いないいないばぁは、赤ちゃんの脳の発育にも効果があるといわれています。記憶力が発達してくる、生後5カ月以降が効果的です。
1歳児のママ
月齢が低いときはいないいないばぁをしても反応はありませんでしたが、生後半年を過ぎた頃から記憶力が発達したのか、急に声を出して笑ってくれたり表情が豊かになりました
敏感な動きを見た時
赤ちゃんは視覚の刺激も大好きです。生後6カ月くらいになると、視力が0.1前後になり、立体感や遠近感がつかめるようになります。
2歳児のママ
8カ月頃、目の前を動くものを目で追って笑っていました。今までは反応していなかったので、視覚が発達して見えるようになったのかなと思いました
親子のコミュニケーションを大切に
今回の記事では、小児科医監修のもと、赤ちゃんが声を出して笑う時期や、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツを、ママたちの体験談を交えながらご紹介しました。
それぞれ性格があるように、笑い方も個人差がありさまざまです。とにかくママやパパは笑顔で明るいコミュニケーションを心掛け、愛情をたくさん伝えてあげられるとよいですね。そうして、家族みんなが笑顔に包まれる幸せな時間を増やしましょう。
Profile
保科しほ
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
赤ちゃんの顎を優しく触ってあげると、手足をバタバタさせて嬉しそうに笑っていました