多くの親は「努力」の方向性が違う。子どもの才能を120%引き出す「和田式」受験戦略

多くの親は「努力」の方向性が違う。子どもの才能を120%引き出す「和田式」受験戦略

2026.04.24

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和田秀樹

和田秀樹

精神科医/東京大学医学部卒業/緑鐡受験指導ゼミナール 代表

「つきっきりで勉強を見ているのに成績が上がらない」「少しでも偏差値の高い学校へ」――受験期のお子さんを持つ親御さんの多くが、そんな焦りや悩みを抱えながら毎日を過ごしているのではないでしょうか。今回は、精神科医であり受験アドバイザーとしても活躍する和田秀樹さんに「本当に結果を出すための勉強法と親の関わり方」について伺いました。子どもの才能を引き出すためのヒントを、3つの視点からお届けします。

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視点①:子どもに自分を「賢い」と思わせる

和田:自分のことを賢いと思っていない子は、「自分が努力しても無駄だ」と思ってしまうんですよ。例えば『和田式勉強法』とされる本を読んで「和田先生のおかげで東大や早慶に受かりました」と言ってくれる人はたくさんいます。しかし一方で、「東大理三を出た人の本を読んだところで、自分とは頭の出来が違うんだからやっても無駄だ」と思う人もいるわけです。子どもが「自分は賢い」と思ってくれないことには、チャレンジすらしてくれないのですね。

 私が大学に受かった年に、一つ年下の弟が「僕の成績が悪いのは頭が悪いからではなく、やり方が悪いからだ。兄貴のやり方なら僕も東大に入れるかもしれないから教えてくれ」と言ってきたことがありました。そこで色々と調べて教えてあげたら、弟はその学校の開校以来2人目の「東大文一現役合格者」になったわけです。私はこの経験をもとに本を書いてベストセラーになったわけですが、すべてのスタートは、弟が自分のことを「頭がいい」と思っていて、「やり方を変えたらできるはずだ」と考えたことにあります。

なぜそうなったかと言うと、うちの母親は「お前は頭が悪い」「出来が悪い」とは一切言わず、「お前も兄貴と同じ血が流れているんだから賢いはずだ」とずっと言い聞かせていたんですね。そういう関わりが意外と子どもには大事なのです。子どもが塾でつまずいたり成績が悪かったりした時に、「自分は頭が悪い」と思わせて得することなんて一つもありません。

だから「あんたは賢いけど、ちょっとミスをするのよね」「賢いけど、努力が足りないかもね」「賢いけど、やり方がまずいかもね」といった声掛けが親には必要だと思います。

「自分は賢い」と思えたことは、その後の人生にも良い影響を与えます。受験を通じて自分をバカだと思い込んでしまうと、その後の将来に暗い影を落としかねません。賢いと思えれば、その後の人生も前向きに生きていけるはずです。

ーー和田式勉強法について教えてください。

結局のところ、「なるべく少ない努力で高い結果を出そうとする工夫」です。これは和田式に限らず、色々なやり方があると思います。

中学受験は出る科目が決まっていますが、大学受験は自分で科目を選べたりしますよね。だから基本的に和田式では「合格者の最低点」を狙います。例えば「東大の理三に行きたい」となった時、440点満点で290点取れればいいわけです。満点でなくても受かるのですから。

ゴールの設定を間違えている人が多いと思います。「偏差値80にならないといけない」なんて考えていたら、気が遠くなるような努力が必要になります。でも「290点取れればいいんだ」と考えれば、共通テストで何点、二次テストで何点、それに必要な参考書はこれだけ……と、話が違ってきます。

 「受かりさえすればいいという考えで努力もしないやつは、ろくなことがない」と言う人もいますが、結果論から言えば、そういう効率重視の人の方が社会に出て仕事ができるのです。与えられた仕事に対し、無駄な回り道や変な努力をせず、「納期までにどの程度の完成度で終わらせるか」を判断できる人が、仕事ができる人ですよね。

視点②:勉強ができないのは「頭が悪い」からではなく「やり方が悪い」からだ

勉強以外のほとんどのことにおいては、まず「やり方」を教えてから努力をさせますよね。スポーツが良い例です。

ゴルフでボールが前に飛ばない人が、飛ばないやり方のまま1000回クラブを振っても、上手くならないどころか下手なフォームが身について余計ダメになります。大事なのは、最初にコーチに「前に飛ぶやり方」を習って感覚を掴み、その正しいやり方で1000回打つことです。

ところが、勉強に関しては99.9%の子どもが自己流でやっています。自己流で勉強して成績が悪いのは、努力が足りないからでも頭が悪いからでもなく、単に「やり方が悪い」からです。悪いやり方のまま努力させて成績が上がらなければ、「こんなに勉強しているのに成績が上がらない。自分は頭が悪いんだ」となってしまいます。そう思い込んでしまうと、人生に悪影響を与えるため、絶対に避けなければいけません。

 「褒めた方が子どもは伸びる」というのは教育心理学でも言われていることなので、やみくもに褒める親もいます。でも、0点を取って帰ってきた子に「努力したから偉いわ」と褒めても、子どもの自信にはなりません。

より成績が上がりそうなやり方を教えたり、復習をしっかりさせたりして、良い点を取ってきた時に「やっぱりやり方を変えたらできたね。あなたって頭いいんだね」と言ってあげる。それが自信につながるのです。

子どもがやり方を工夫して良い学校に入ることは、人生観を変えることでもあります。将来、営業の仕事でつまずいた時、「俺には営業の才能がないんだ」と思うのではなく、「やり方が悪いんだ」と思えれば、本を読んだり工夫したりして成果につなげられますよね。上手くいかなかった時に「やり方が悪い」と思える人の方が、その後の人生を力強く生き抜いていけます。

 受験を「計算力や読解力を上げるため」にやっていると思っている人もいますが、そうではありません。受験勉強は「勉強のやり方を覚えるため」にやっているのです。

「あの先輩、あまり勉強していないのに東大に受かった」というのを見た時、「頭の出来が違うんだ」と片付けるのではなく、「どんなやり方をしたんですか?」と聞きに行けるかどうか。それが重要です。

 日本人は「楽をすれば悪いこと」だと思っている人が多すぎます。私が普段診ている高齢者の介護でも、「人を雇って楽をする」「施設に入れて楽をする」ことを悪いことだと思い込んでいる人がたくさんいます。しかし、プロに任せた方が親がニコニコしていることだってあるわけです。「苦労するかどうかより、結果の方が大事」というマインドセットを親には持ってほしいですね。

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視点③:我が子に合わせた「戦略」を立てることが親の仕事

我が家には娘が2人いて、上の子は女子学院、下の子は桜蔭に進学しました。上の子はコツコツ努力するタイプだったので女子学院に向いていましたが、下の子は算数のひらめきはあるものの努力が嫌いなタイプで、女子学院の入試問題には合いませんでした。下の子は自由な校風の女子学院に行きたがっていましたが、細かく覚えるのが苦手だったので桜蔭を選んだという経緯があります。

親というのは、子どもにできない科目があると「算数はできるから、苦手な国語を頑張りなさい」と言ってしまいがちです。しかし、受験や将来の自信を考えた時、得意な科目で思い切り点を取らせた方が絶対に自信がつき、それが強みになります。

「この子はこの科目が得意だから、ここで勝負できる学校を選ぼう」「この科目はこれ以上伸びそうにないから、別の科目で点を伸ばそう」と戦略を立ててあげるのが親の役割です。

ひょっとしたら、中学受験ではなく、小学校4年生から大学受験を目指すという方法もあります。

小学校4年生が名門塾で解く難しい算数と、中1の一般的な数学の教科書を比べたら、普通の子にとっては中1の数学の方が簡単な可能性が高いんです。「正負の数」や簡単な「一次方程式」などの方が、よほど分かりやすかったりします。

であれば、無理に中学受験塾で劣等感を抱かせるより、小4の時に中1の数学と英語を、小5で中2の内容を終わらせる。そうやって早く高校の勉強に入った方が、よほど東大に入りやすいわけです。

親が子どもの特性を把握し、戦術を立ててプロデューサーになってあげることが重要です。子どもが算数の文章題でつまずいている時に、ただウンウンと悩ませるより、やり方を覚えさせた方がいいかもしれません。今の時代、勉強のやり方やモチベーションの上げ方に関する本はたくさん出ているのに、それを調べようとしない親が多すぎます。

ーー有名な塾に入れたり、とりあえず中学受験させれば安心という考えは強いですよね。

名門塾が悪いと言っているわけではありません。トップクラスの成績を出せているなら自信になりますし、その後もうまくいくことは多いです。しかし、「できない子を伸ばすノウハウがある塾なのか」「できる子を思い切り伸ばす塾なのか」を親が見極めなければいけません。

有名な塾に入れれば安心だということは全くありません。そこで変に劣等感を持ってしまい、中学・高校で勉強嫌いになってしまう可能性だってあるわけですから、そちらの方がよほど危険です。

親が真剣になって情報を集め、子どもの向き不向きを把握し、専属のプロデューサーになる。子どもは1人か2人しかおらず、早々失敗できないのですから、ダメだと思ったらさっさと見切りをつける。それくらいの親の主体性がないと、子どもはかわいそうだと思いますよ。

親御さんの努力と言うと、「塾まで車で送迎してあげる」「つきっきりで勉強を見てあげる」ことだと勘違いしている人が多いのですが、そうではありません。

「この子がどうしたら希望の学校に行けるか」「どうしたら成績が上がるか」「どうしたら自信がつくか」を親自身が勉強してほしい。その努力の方に力を割いてほしいというのが、私の考えです。

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