「上手だね」の先にある、子どもの本音。 心理士とママが語る『絵の通訳』が変える親子の距離感

「上手だね」の先にある、子どもの本音。 心理士とママが語る『絵の通訳』が変える親子の距離感

2026.05.18

子どもの見ている世界はいつだって新鮮。それは、ふとした時に発する言葉や、絵にも反映されています。「“上手だね”以外の言葉でも褒めてあげたい」「どんな想いでこの絵を描いたんだろう」子どもの描いた絵に対し、そんな想いを持った保護者も多いのではないのでしょうか。 絵を通して分かる、子どもの“いま”見ている世界や想いとは?今回は5歳と0歳の男の子の母である小原さんと、8歳の女の子と6歳の男の子の母である下村さんが子どもの絵を通して普段疑問に思っていることを質問。 子どもの描いた絵を通して、心の動きや感情のサインをそっと読みとる、オンライン型の心理支援サービスCocoro Colors(ココロカラーズ)の代表であり現代アーティストのアシュパインさんと、ココロカラーズで心理士として活動する公認心理師のあかり先生とことの先生と共に、紐解きます。

ママたちのリアルなお悩みと声掛けのコツ

画像
小原さん
小原さん

5歳の息子はすごく大人しくて。絵を描いてもいつも自信なさそうに持ってくるんですけど、自己肯定感が低いのかな?と少し不安になってしまうこともあるんです。どうやって声をかけてあげたら良いのかも分からないので、悩んでいます。

ことの先生
ことの先生

お子さんが「自信がない」と持ってきた時は、本人はどの部分に自信がないと思っているのか、もしくは枕詞だけで言っているのかは分からないので、「この絵の中で好きなところってどこ?」とか「この絵で頑張ったところってどこ?」と聞いてみてください。上手い下手にこだわらないで、絵を競争の道具として捉えないことが大切です。

小原さん
小原さん

どこにこだわったかは聞いたことなかったかもしれないです。

ことの先生
ことの先生

子どもが使う色に対しても「どの色が好きで使ったの?」と聞いてみるとそこにヒントがあったりします。大人だったら太陽は赤やオレンジと決めるかもしれないけど、子どもは青に塗ったりピンクに塗ったり、好きな色に塗るので「この絵のポイントはどこ?」って聞いてみてください。

画像

黒色は「闇」ではなく「強い心」の表れ?

小原さん
小原さん

そういえば、絵を描く時も画用紙を渡しても端っこにちょこんと小さく描くんです。それも、自信のなさの現れなのかなって思ったりします。しかも、最近は黒い色ばかり使うことがあって......。「心に何か闇があるのかな?」「ストレス?」って思ってしまいます。

あかり先生
あかり先生

小原さん、安心してくださいね。実は「黒」という色は、心理学的に見ると「自分を守りたい」 「強い意志を持ちたい」という自己主張の表れでもあるんです。決して「闇」や「悪いこと」のサインとは限りません。

ことの先生
ことの先生

そうなんです。端っこに小さく描くのも、今は慎重に周りの様子を観察している時期なのかもし れません。「もっと大きく描いて」と促すより、「ここ、丁寧に描いたんだね」と、その小さな世界を認めて あげることが大切です。

アシュパインさん
アシュパインさん

「黒=不安」と決めつけず、まずはその子が選んだ色をそのまま受け止める。それが『絵の通訳』の第一歩なんですね。 

あかり先生
あかり先生

自信がなさそうな子には、上手さを褒めるのではなく、描くプロセスを「実況中継」してあげてください。「この黒、すごく力強く塗ったね!かっこいい!」と。ママがその色を肯定してくれるだけで、お子さんの不安は自信に変わります。

画像

子どもの「絵が苦手」の中にもヒントがある

下村さん
下村さん

うちの子は絵が嫌いというか、苦手なんです。言われたら描くけど、自分から描くことは一切なくて。基本「見ないで」というんですが、「今日は見ていいよ」という日は「なんだと思う?」と聞いてくるんですが、“外したらダメだ”と思って誤魔化してしまうんです。本人が「上手くない」と言ってるのに、上手いと褒めることにも悩みます。親として 「表現すること」を楽しんでほしいなと思う反面、無理強いもしたくないし、どう接すればいいか迷っています。

アシュパインさん
アシュパインさん

絵が嫌いと言っているのに、学校では絵をきちんと描いていることがそもそも偉いなと思います。拒否する子は本当にやらない。

ことの先生
ことの先生

そうなんですよね。「嫌い」でもきちんと完成させてるのが、まずはすごい。学校だと“綺麗に描く”とか“上手に描く”という授業の組み立てになっているので、おうちでは自由に描いていいよという風に促すのも良いと思います。

あかり先生
あかり先生

自由に描いて良いよと言われても「表現すること」が分からない場合は、引き出しをどんどんその子に増やしてあげるのも良いかもしれません。お花はこうやって描いてみよう、りんごはこうやって描いてみようとか、一つの例を提示してあげて一緒に描いてまず引き出しを増やしてあげると、お絵描きに抵抗感をなくしやすいです。

アシュパインさん
アシュパインさん

課題があると自由に発想しにくいんですけど、自由に描くことが難しい場合は最初に課題があった方が良い場合もあるんです。日本人だと“言われたことをやる”方が楽な場合もあるので、そこから始めてみるのも良いかもしれません。

画像
下村さん
下村さん

遊園地とかで紙とペンが置いてあって「自由に絵を描いてみよう」というようなコーナーがあると描きたがるので、絵は好きなのかな?とは思っているんです。

あかり先生
あかり先生

お子さんの中にこういう風に描きたいのに、その技術がないから“苦手”と言ってるのかもしれません。

下村さん
下村さん

あ〜!確かに、「ママ、これ描いて」とは言ってきたりします。

アシュパインさん
アシュパインさん

そういう場合は絵描き歌みたいなもので、一緒に楽しんでると“どうやって描くか”も分かるし、自信に繋がりますよ。

完璧な親より、一番の「理解者」に

画像
アシュパインさん
アシュパインさん

親が「正しい解釈」をしようとしなくていいんです。大切なのは、絵をきっかけに「あなたに関心があるよ」という姿勢を見せること。

あかり先生
あかり先生

「上手だね」の代わりに「それ、面白いね!」「もっと教えて」という一言を。

ことの先生
ことの先生

絵を通じて、お子さんの「今の心」に触れる楽しさを、ぜひ感じてみてください。

アシュパインさん
アシュパインさん

『絵の通訳』が、皆さんのご家庭で新しい会話のきっかけになれば嬉しいです。

画像

子どもの絵は、ただの作品ではなく、その時々の「心の動き」や「感情のサイン」を映し出すもの。上手かどうかを評価するのではなく、「この絵はどこがお気に入り?」とそっと寄り添うことで、子どもは少しずつ自分の気持ちを言葉にできるようになっていきます。

“正しく理解しよう”としなくていい。

ただ、「知りたい」と思うその気持ちこそが、子どもにとっては“自分に興味を持ってくれている”と一番の安心につながるはずです。

絵をきっかけに生まれる会話が、親子の距離をそっと縮めてくれる。そんな時間を、ぜひ大切にしてみてはいかがでしょうか。


【監修・協力】

ココロカラーズ 代表アシュパイン氏と公認心理師らによる、アートで子どもの本音を可視化する専門チーム。色や形から深層心理を読み解く「絵の通訳」を通じて、親子の絆を深める新しいコミュニケーションを提案しています。

公式サイト: https://cocorocolors.com/

教育コラムカテゴリの記事

KIDSNA STYLE 動画プロモーションバナー
【天才の育て方】#25 古里愛~夢はグラミー賞。名門バークリー音楽大学に合格した、13歳のジャズピアニスト

天才の育て方

この連載を見る
メディアにも多数出演する現役東大生や人工知能の若手プロフェッショナル、アプリ開発やゲームクリエイターなど多方面で活躍する若手や両親へ天才のルーツや親子のコミュニケーションについてインタビュー。子どもの成長を伸ばすヒントや子育ての合間に楽しめるコンテンツです。
  • 保育園・幼稚園を探すなら
  • キズナシッター
  • KIDSNAを一緒につくりませんか?