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記憶の仕組みは大人と子どもで異なる?記憶力を高めるトレーニング5選
小さい子どもを育てるパパやママのなかには、できるだけ記憶力を伸ばしてあげたいと考えている人は多いと思います。「人間の神経細胞は3歳までに7割消失する」という説もあり、脳の発達や記憶力の向上において幼少期の過ごし方は非常に重要になります。この記事では、子どもの記憶力を伸ばすトレーニングや、脳の成長のための生活習慣などを紹介。無理なく子どもの能力を伸ばすコツを解説します。
子どもの記憶力はどれくらい?
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一語文や二語文が中心だった1~2歳に比べ、3歳からは語彙力がぐんとアップします。簡単なやりとりであれば、大人とコミュニケーションが取れる子どもも増えてくるころでしょう。子どもの会話力は必ずしも記憶力とイコールではないですが、言葉によるコミュニケーションが活発になれば、それだけインプットする量も増えます。語彙力や会話力のアップは、脳の発達に大きく影響することがわかります。
一般的に、4~5歳の子どもが一度に記憶できる単語の数は4個程度とされており、年齢が上がるにつれて覚えられる言葉の数は増えていきます。
記憶には種類がある
一口に「記憶力」といっても、記憶にはいくつかの種類があります。数ある記憶のメカニズムのなかでも有名なのは1968年に提唱された「多重貯蔵モデル」で、記憶する長さによって「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の3つに分けられるとされています。私たちがよく口にする「記憶力」は、いわゆる長期記憶のことを指していることが多く、何年経っても思い出せる、自分の知識として定着している記憶のことを指します。
一方感覚記憶とは、嗅覚や味覚などにより「覚えよう」と思っていなくても感覚的に脳にインプットされている記憶のことです。「懐かしい匂い」「どこかで見たことがある気がする」といった記憶は感覚記憶に分類されます。短期記憶とは、その名のとおり短期間しか維持できない記憶のことで、多くても5~7単語程度、20秒~1分ほどしか維持できないとされています。
大人と子どもの記憶力の違い
子どもは記憶すべき情報を1つ1つバラバラに覚えるのに対し、大人はすでに記憶している情報と紐づけて語呂合わせにするなど、記憶を定着させるための方法を感覚的に使っています。
簡単な情報のように見えても、子どもが大人と同じように情報を記憶するのは難しいため、子どもの発達具合に合わせてサポートしてあげる必要があります。
脳を育てるなら「3歳まで」がカギ
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脳の発達メカニズムはまだ完全に解明されたわけではありませんが、一般的に脳の神経細胞の数は生まれたときが一番多く、3歳くらいまでの間に7割が消失するといわれています。つまり、私たちは3歳時点で残った神経細胞を一生使うことになるのです。もちろんそれ以降の本人の努力や環境などがまったく無駄というわけではありませんが、乳幼児期の適切な関わりが脳の健やかな成長を支えるのは間違いないと言えるでしょう。
子どもの記憶力を伸ばすトレーニング
トレーニングやゲームを通じて、子どもの記憶力を伸ばすサポートをすることが可能です。と言っても、特別な道具は必要ありません。ぜひ家庭のなかで取り入れてみましょう!
コミュニケーションを楽しむ
子どもが言葉を覚えるうえで、周囲の人との会話は非常に重要です。会話をする機会を増やすことで、脳の刺激にもつながり子どもの記憶力向上にも役立つでしょう。小さい子どもの場合、会話が成立しないと感じることもあると思いますが、お散歩に行った先で「赤いお花が咲いているね」など、目の前の状況を言葉にして伝えてあげるだけでも充分脳の発達につながりますよ。
絵本の読み聞かせをする
絵本の読み聞かせは、聴覚だけでなく視覚の刺激にもつながるため、子どもの脳の発達にも効果的です。お気に入りの本があれば、繰り返し読み聞かせることで絵本に出てくる単語やセリフに関連する言葉を覚えやすくなります。
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覚えたことを大人に話す経験をする
記憶を定着させるうえで「声に出す」という行為は非常に大切だとされています。インプットした情報をパパやママに話すという方法でアウトプットすることで長期記憶につなげる効果もあります。「今日一番楽しかったことは?」「夕食のときに好きだったものは?」など、子どもが思い出せる範囲の過去の出来事を聞いてみるのもいいでしょう。
記憶力を鍛えるゲームをする
簡単な遊びの中で記憶力をトレーニングする方法もあります。たとえば以下のようなゲームは非常に効果的です。
- 神経衰弱
- フラッシュゲーム
- カードの絵柄に合わせてストーリーを考える
子どもの興味のある分野に触れさせてあげる
「好きこそ物の上手なれ」という言葉にもあるように、人は好きなものに対しては特に熱心に取り組むことができます。たとえば、昆虫が好きな子には昆虫図鑑を与えてみたり、好きなアニメがある子にはそのアニメのキャラクターがモチーフになったテーマパークに連れて行ってあげたりすることで、記憶力にもつながる「もっと知りたい」「やりたい」という気持ちを育ててあげられますよ。
子どもの記憶力を高める生活習慣のコツ
実は、日々の生活習慣は脳や記憶力の発達に大きく影響しています。子どもの記憶力向上をサポートする生活習慣のコツを紹介します。
心が動く体験をする
感動的な体験は心に深く刻まれます。休日はなるべくお出かけをして、子どもを美しいものや楽しいものに触れさせてあげましょう。といっても、外国に旅行に行ったり、お金がかかるような経験をさせてあげる必要はありません。「公園の砂場で大きな山を一緒に作る」「絵本に載っていた電車を実際に見に行ってみる」など、できる範囲で「見て・触れて・感じる」を実践することが大切です。
睡眠をしっかり取る
睡眠は脳の発達において非常に重要な要素の1つです。「寝ている間に記憶が定着する」といわれることも多く、逆に睡眠に問題のある子どもは、記憶力や集中力の低下、認知機能などにも影響があるとされています。厚生労働省が定める年齢ごとの推奨睡眠時間は以下のとおりです。
1-2歳児 | 11-14時間 |
3-5歳児 | 10-13時間 |
小学生 | 9-12時間 |
中学・高校生 | 8-10時間 |
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トレーニングはメリハリをつけて行う
熱心なパパやママであるほど、知育玩具やトレーニングを取り入れたいと思うでしょう。ただし、幼児が集中できる時間は「年齢プラス1分」ともいわれており、やればやるほど成果が出るものでもありません。子どもの集中力が落ちているのに何度も繰り返しトレーニングを行うのは逆効果となってしまうため、「次もやりたい」と感じる程度にとどめておくのがいいでしょう。
子どもの記憶力向上は日常生活の積み重ねが大切!無理なく伸ばしてあげて
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子どもの記憶力について、さまざまな観点から解説をしました。「子どもの記憶力を伸ばすトレーニング」や「子どもの記憶力を高める生活習慣のコツ」からもわかるように、実は子どもの記憶力を伸ばすのに、特別な道具や勉強は必要ありません。日々の暮らしのなかで適切にコミュニケーションを取ったり、規則正しい生活を送ったりと、基本的な部分をしっかり整えてあげることを意識してあげましょう。パパやママが子どもと一緒に新しい情報を学びながら、子どもの脳を刺激してあげられるといいですね。