「妻」のモヤモヤは法律が解決!『妻六法』はすべての「妻」のお守り

「妻」のモヤモヤは法律が解決!『妻六法』はすべての「妻」のお守り

夫、子ども、義理の親、仕事のこと……結婚して「妻」になったからこその悩み、どのように解決していますか? 友だちや家族への相談で心が晴れることもありますが、実はあなたをもっとも心強く応援してくれるのは「法律」かもしれません。『妻六法』(扶桑社)は、これまで数多くの女性の悩みに応えてきたふたりの弁護士が、ケースごとに「自分を守るための法律」を紹介してくれる一冊です。一部を抜粋してご紹介いたします。

夫が知らないうちに借金……妻に返済義務はある?

 

人生のパートナーである夫が、自分が知らないうちに借金を作っていた……。

そんな事態に見舞われたら、責任感が強い人ほど、「妻である自分が借金を返済しなければ」と青ざめてしまうでしょう。

ただ、結論から言うと、借金は借りた人が返すものです。お金を貸した側である債務者が、妻に支払いを迫ったとしても、法律上は応じる義務はありません。

どんなに強固に、「妻なのだから、借金を返せ」と迫られたとしても、支払う必要はないのです。あまりに悪質な場合は、弁護士などに相談して法的な措置を検討しましょう。

しかし、いくつかのケースにおいては、妻が夫の借金を肩代わりしなければならない場合があります。

そのひとつが、民法第761条にある「日常の家事」に関する支出です。これを法律用語では「日常家事債務」と呼びます。

夫婦には、お互いの生活を支えあう、協力扶助義務があります。共同生活を送って

いる以上、さまざまな支出をお互いが負担しあうのは当然のことです。そのため、夫

が婚姻生活を維持するための費用を借金をした場合は、妻にも返済の責任が発生しま

す。

この「日常の家事」に当てはまるものは、下記のような項目です。 

※個別の事案によるもので、一律に決めることはできませんので、あくまで参考にしてください。

 ・日用品や食料品など、生活必需品の費用

 ・家賃

 ・水道光熱費、通信費

 ・子どもの教育費

 ・医療費

 ・贅沢品ではない衣服や服飾品の費用

上記を見てもわかるように、日常生活に不必要な出費、すなわちギャンブルや浪費などの借金については、妻は返済の義務を負いません。また、借金は、金額の多寡、使用目的にかかわらず、日常家事債務になりません。

そのほか、「妻が夫の借金の保証人や連帯保証人になっていた」という場合は、妻にも借金を返済する義務が発生します。

 

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妊娠したのに働き方を変えてもらえない

 

ホルモンバランスなどが変わり、体が疲れやすくなったりと、気持ちが不安定にな

りがちな妊娠中。

おなかの赤ちゃんのためにも、「体が辛い」と思ったときになるべく体への負担を減らすことは、妊婦さんの権利です。

それにもかかわらず、

「体調が悪いから、早く帰りたいのに帰らせてもらえない」

「寒い場所などで、体力的に厳しい業務をずっとさせられる」

「重い物の運搬を任せられて、おなかに負担がかかっている」

などの職場での状況は、「マタハラ」(マタニティ・ハラスメント)の可能性があります。

マタハラとは、働く女性が、妊娠や出産をきっかけに、職場で精神的・肉体的な苦痛を受けたり、妊娠や出産を理由とした解雇や雇い止め・自主退職を強要されたりするなど、不利益を受けるような不当な扱いを意味します。

なお、労働基準法では、妊婦さんに向けて下記のような項目を定めています。

・変形労働時間制の適用制限

フレックスで働いている場合も、1 日や 1 週間の法定労働時間を超えて労働しないよ

うに請求できます。

・簡易業務への転換

体に負担がかからないように、軽易な業務を担当できるように請求できます。

・危険有害業務の就業制限

重いものを取り扱う業務や、有害ガスなどが発生する業務については、妊娠・出産機

能などに悪影響を与えることから、妊娠中のみならず、すべての女性を就業させるこ

とが禁止されています。

上記のような事柄に当てはまるのに、会社側が認めてくれない場合は、マタハラの可能性が高いです。近くにある都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談しましょう。

ハラスメント悩み相談室

0120-714-864(ナイヨ、ハラス)

 

義理の両親であっても、嫌がらせや中傷は立派な犯罪

 

育った環境が違う人間が生活を共にすれば、当然価値観の違いが生まれるものです。

ときには、価値観の違いが諍いに発展して、舅や姑、またはその親族から、いわれのない嫌がらせなどを受けることもあるかもしれません。

いまだに、「女は三界に家無し」という言葉に象徴されるように、「女性は、幼少期は親に従い、嫁に行ったら夫に従い、老いては子に従うように、何事も黙って耐えるのが当たり前だ」という古い考えを持っている人は決して少なくありません。

また、義理の家族が嫁を家族とは認めずに、無視をしたり、冷たく当たったりすることもあります。しかし、法律上は、家族であっても、度を過ぎた嫌がらせや悪口、嫌味は立派な犯罪です。

たとえば、大勢の親戚や知人が集まっているような場で、

「あなたはうちの嫁にはふさわしくない」 

「うちの子は、なんであなたみたいなバカな嫁と結婚したのか」 

など、人格や経歴を否定するような暴言を投げかけるといった行為は、侮辱罪に相当します。

義理の親族が、

「うちの嫁は、こんな簡単なこともできなくて……」 

「うちの嫁が、この前こんな失敗をして大変迷惑した」 

など、嫁の愚痴や悪口を第三者に話すことで社会的評価を低下させようとした場合は、名誉毀損罪に相当することもあります。

そして、本当にあってはならないことですが、義実家から暴力を振るわれた場合は、暴行罪。体を傷つけられた場合は、傷害罪になります。

叩かれたり蹴られたりといった暴行はもちろん、ハラスメントにあったと感じる場合は、早めに夫や周囲の人、弁護士に相談しましょう。

 

こちらで紹介した以外にも「家事の分担が不公平なとき」「夫が亡くなってしまったとき」「愛する子どもがいじめられているとき」「夫と離婚したいとき」など、「妻」の身に起こりうるさまざまなトラブルを具体的に紹介し、「妻」の身を守る法律を教えてくれる本書。

「妻」が安心して暮らすためにも、ぜひ手元に置いておきたい一冊です。

 

『妻六法』

著者:森 公任、森元みのり

出版社:扶桑社

夫、子ども、義理の親、仕事のことで困ったとき……

女性の心の保険になる1冊

あらゆる妻の悩みを解決してきた弁護士が

「自分を大切にするための法律」をお教えします。

【目次】

Chapter1 自分を大切にしたい妻のための法律

Chapter2 しごとも家庭も大事にしたい妻のための法律

Chapter3 夫がピンチのときに妻の助けになる法律

Chapter4 妻が子どもを守るための法律

Chapter5 義実家とのモヤモヤを晴らすための法律

Chapter6 ひどい夫から身を守るための法律

Chapter7 妻が離婚で損をしないための法律

2022.08.23

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