高濱先生に聞く、子どもの目で分かる習い事のやめどきの見極め方

高濱先生に聞く、子どもの目で分かる習い事のやめどきの見極め方

2021.06.15

Profile

高濱正伸

高濱正伸

花まる学習会代表

1959年熊本県人吉市生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立。「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、現在も現場に立ち続ける。2020年から無人島プロジェクト開始。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー/日本棋院理事/算数オリンピック作問委員/「情熱大陸」などTV出演多数

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は花まる学習会代表の高濱正伸先生が、教育に関するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中。

【お悩み】子どもの「習い事を辞めたい」を受け入れるべきですか

5歳男子のママ
5歳男子のママ

約1年前から5歳の息子にバスケットボールを習わせていましたが、最近「バスケットをやめてプログラミングに通いたい」と言うようになりました。

「せめてドリブルが20回できるようになったら辞めようね」と子どもと決めたのですが、なかなか目標に到達せず3カ月ほどたっています…。

プログラミングに本当に興味があって言っているのか、今の習い事に飽きて辞めたいだけなのか、それとも友だちがなど周りの子に影響されて言っているだけではないか……と、変に勘ぐってしまいます。

今の習い事をすぐに辞めさせて子どもがやりたがっている習い事を始めさせても、またすぐに辞めたいと言う可能性を考えると、ひとつのことを最後までやり遂げてほしい気持ちが強く「辞めてもいいよ」と言ってあげられません。

高濱先生の回答「本当に辞めたいかどうかは子どもの目を見れば分かります」

習い事を始めるとき以上に、お母さんたちが悩むのが辞めどきです。

その辞めどきの判断で一番大事なのは、実は「子どもの目を見ること」なのです。

子どもは少しくらい練習がつらくても、翌週になればケロっとしてまたやりたくなるもので、本気で辞めたいとは思っていません。

だからこそ、いじめなどの深刻な人間関係や、先生に対して我慢していることや嫌なことがある場合と、単純に行くのが面倒という場合では、目の輝きがまったく違います。これはお母さんがいちばん分かるはずです。

そのうえで、単にわがままで言っていると思えば辞めなくていいし、「これは何か深刻な理由があるな」と思ったら話を聞いてあげて、ほかの習い事に変えるのもいいでしょう。

また、相談者の方のように、お子さんがすでにほかの習い事をしたがっていて、「次もまたすぐに辞めたいと言うのではないか?」と心配する親御さんも多いですが、私は習い事をいろいろやってみることはいいことだと思っています。

それがたとえ「友だちがしているからこっちがよくなった」という理由だとしても、それで花開いて結果プロになる子もいますから、あまりきっかけにこだわる必要はありません。

大切なのは、どんな習い事をするか、どのくらいの期間続ければいいのかということよりも、子どもが熱中できる時間になっていること。

バスケットボールでもプログラミングでも、子どもがいちばんおもしろがれるものが見つかれば、どのお稽古ごとであっても正解なのです。

相談者の方のお子さんはまだ5歳なので、これから先、子どもの目が輝いて、熱中して没頭して「まだ帰りたくない!」というものが見つかるまではいろいろ目移りしたって問題ありません。

もちろん親子で「ここまではやり遂げる」と目標を立てることはよいことですが、一度立てた目標に固執しなくても、ほかのことを始めたらそっちで芽が出る可能性もあるので、もっと柔軟でいいと思います。

習い事をどんどん変えていく中で、「熱中できるものはいつ見つかるの?」とお母さんは心配になるかもしれませんが、子どもと習い事の相性だけでなく、先生との出会いの運などもあるので一朝一夕にはいかないでしょう。

そして、お母さんがあれこれ口出ししないことも重要な要素です。

これまで自宅での練習が必要なお稽古事で、「親が口出しさえしなければ続いたのに」という例をたくさん見てきました。

たとえばピアノなら「今日は練習したの?」「弾いてみて?できてないじゃない!」「練習しなさいって言ったのにさぼるからこうなるのよ!」とあれこれ口出ししてしまうお母さんは多いですよね。

さらには、「一緒に始めた〇〇ちゃんはもう4級」「同じお金をかけているのに…」と、同時期に始めたほかの子と比べるような発言にも注意が必要です。

こんなことを言われ続けたら、子どもが習い事を嫌いになってしまうのは当然です。

習い事は本来のびのびやりたいことをやればいいものなのに、親が過剰に気にしてしまうことで、子どもにも影響してしまうのです。

今の習い事を辞めても辞めなくても間違いではないから、まずはお子さんとまっすぐに向き合い、目の輝きを見て、「中学生までに夢中になれるものがひとつ見つかればいい」くらいの大らかな気持ちで見守ってみてはいかがでしょうか。

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1959年熊本県人吉市生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立。「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、現在も現場に立ち続ける。2020年から無人島プロジェクト開始。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー/日本棋院理事/算数オリンピック作問委員/「情熱大陸」などTV出演多数
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