わくわくしながら学びを深める「プレイフルラーニング」実践4つのポイント

わくわくしながら学びを深める「プレイフルラーニング」実践4つのポイント

遊びのようなわくわくする経験を通じて、子どもの学びを育む「プレイフルラーニング(Playful Learning)」という言葉をご存じでしょうか? 今回はプレイフルラーニングを行うことによって期待できることや、実践のポイントなどをご紹介します。

プレイフルラーニングとは

物事を楽しみ、わくわくする状態を指す「プレイフル(Playful)」と、学習や学びを意味する「ラーニング(Learning)」をかけ合わせた、「プレイフルラーニング」とは、遊びのようなわくわくする経験を通じて子どもの学びを深める方法のことです。

基本的に、遊びは自発的に行うものです。また、どんな遊びをするか自分で選ぶことができ、ゴールが決まっているわけでもありません。

たとえば、乗り物が大好きな子どもは、車や電車おもちゃで遊んだり、工作して作ったり、道路や駅で乗り物が動く様子を観察したりするでしょう。その中で子どもたちは乗り物に関する知識を深めます。

好奇心や探求心を刺激する経験を通じて、子どもは主体的に学びを深めていくことをプレイフルラーニングといいます。

※写真はイメージ(iStock.com/LeManna)
※写真はイメージ(iStock.com/LeManna)

プレイフルラーニングに期待できる効果

プレイフルラーニングは、どのような効果が期待できるのでしょう。


問題解決能力を育む

一心に楽しんでいる子どもたちも、実は遊びの中でさまざまな工夫をこらしています。たとえ、うまくいかなかったとしても「どうしたらできるようになるだろう?」と、試行錯誤しながら遊び方を探求しているのです。

そのため、プレイフルラーニングでは無意識のうちに問題解決能力を養うことができるのです。


学習意欲を高める

興味関心や、楽しい気持ちが出発点になっているプレイフルラーニングでは、子どもが学習に対して自発的に取り組むようになります。

学ぶことへのモチベーションが高まり、「もっと知りたい!」という欲求から学びが継続し、学習が習慣化する子どももいるようです。

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実践的なスキルが身につく

プレイフルラーニングは、遊びや実体験を通じて学びを深めることなので、机上の学びでは得られない実践的なスキルを身につけることもできます。

実際に目の前の物に触れ、体感することで、自分だけの感覚を磨くことにもつながるでしょう。


コミュニケーション能力の向上

プレイフルラーニングは一人で行うこともできますが、複数人で行うことで得られる効果もあります。

複数人で自由に遊ぶ場合、否応なしにコミュニケーションをとることが求められるため、自然と語彙力や表現力が鍛えられます。何人かで遊んだり、活動を共にしたりする場合には、チームワークが身に付き、コミュニケーション能力が向上する点もプレイフルラーニングに期待できる効果の一つです。


運動機能の向上

プレイフルラーニングによって、学習面だけでなく運動機能の向上も期待できます。屋外で自由に遊ぶことによって、走ったり、蹴ったり、投げたり、ぶらさがったりと、子どもは楽しみながらさまざまな身体機能を高めていくことでしょう。

※写真はイメージ(iStock.com/Renata Angerami)
※写真はイメージ(iStock.com/Renata Angerami)

「楽しい」と学習効率がいい?

楽しい、わくわくするといった感情が伴う知的好奇心があると、脳の情報処理機能を向上させるともいわれています。ポジティブな感情と共に学習をすることで記憶がより定着しやすくなる一方で、ストレスを感じながら行うと、記憶を司る脳の機能が萎縮してしまうそうです。

そのため、プレイフルラーニングのような子どもの関心や好奇心を原動力とする学びは、脳の神経回路のつながりやシナプスの形成を促し、学習効率を高める効果も期待できるでしょう。

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プレイフルラーニング実践の4つのポイント

子どもが自ら楽しんで学んでくれたら、保護者としても嬉しいですよね。プレイフルラーニングを実践するためのコツを4つ紹介します。


1.子どもの興味や関心を理解する

子どもが自発的に学びたいと思うテーマに出会うために、保護者は子どもをよく観察し、興味や関心の芽を見つけることが大切です。また、その芽を育むためは、さまざまな体験機会を提供することも重要です。


2.自由に取り組める環境を整える

子どもが夢中になれることを見つけたら、子どもが自由に遊びや学びを深められる環境を整えましょう。

たとえば、魚に興味のある子どもだったら、子どもの目につきやすい場所に図鑑や関連する本を置いたり、水族館や釣りに行ったり、子どもも楽しめそうなイベントのチラシを置いておくなどするとよいかもしれません。最初は保護者のサポートが必要かもしれませんが、「知りたい」という気持ちが先立つことによって、次第に自分から情報収集するようになるでしょう。

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3.本物に触れる機会を作る

プレイフルラーニングでは、紙面の上だけでなく、本物に触れたり実体験をしたりすることも大切です。実践的な経験を通して、新しい問いが生まれ、さらに思考を深めていくことがプレイフルラーニングの特徴です。

また、内容によっては複数人で行うことで、新たなアイディアが生まれたり、視点を共有したりすることにもつながるため、子どもが参加しやすいグループ活動やチームに顔を出してみるとよいかもしれません。


4.子どもの主体性を尊重する

子どもが遊んでいたり、楽しんでいると、つい「こっちの遊びも楽しいよ」「こうやったら?」と声をかけてしまいがちです。しかし、子どもが自分自身で試行錯誤し、探求することがプレイフルラーニングです。

保護者は先回りして答えを導くのではなく、子どもの主体性を尊重し、見守る姿勢を持つことが大切でしょう。

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【体験談】子どもが遊びを通じて学んだことは?

お子さんが遊びを通じて学んだことを、保護者に聞きました。

 
 

料理を作ることが好きなので、幼児期から子どもにも手伝ってもらっていました。小学校中学年になった今では、子どもも料理を作ることが趣味になったようで、レシピを調べてお菓子を作るなどして、自分の食べたいものを作っています。

ネットの使い方は料理がきっかけで覚えたと思います。

 
 

5歳の娘は、YouTubeで動画を見ることが好きで、そこから学んだことはたくさんあると思います!

youtubeでは、海外のアニメや動画が好きで、数字や色の名前をロシア語で自然に覚えていたのにはびっくりしました。あと、自分もユーチューバーになりたがって、アイコンを描いたり好きなユーチューバーの動画内容をまねしたり積極的にオリジナル動画を作ろうと頑張っています。

好きなアニメのキャラクターの服装を真似しようとおしゃれにも気合が入っており、最近はコスプレのような恰好でいることが多いです。

 
 

お絵描きするのが好きな娘は、毎日保育園で何枚も絵を描いていて、日に日に顔の描き方や色使いなどが上達しているのが凄いなぁと思っています。

 
 

字が読めない頃から、漫画をパラパラとめくっていた息子に、先日漫画のセリフで話しかけられました(笑)。まだ習っていない漢字もあったので、雰囲気で読んでいたのかもしれませんが、漫画から学べることもたくさんあると思った出来事でした。

楽しみながら学べる環境を整えよう

※写真はイメージ(iStock.com/Yagi-Studio)
※写真はイメージ(iStock.com/Yagi-Studio)

プレイフルラーニングで何よりも大切なことは、子どもがわくわくし、楽しめることです。

子どもが夢中になっているときこそ、保護者は口を出さず、肯定的な雰囲気を意識しましょう。子どもは保護者が見守っていることを感じ、安心して自らの学びを深めていくはずです。

2023.05.25

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