無期雇用転換ルールとは。対象者となる条件や覚えておきたいポイント

いつから転換できる?解雇などの不安はない?

無期雇用転換ルールとは。対象者となる条件や覚えておきたいポイント

平成25年から施行された無期雇用転換ルールについて、気になっているママやパパも多いのではないでしょうか。制度の概要やいつから申請できるか、対象者となる条件などを予め知りたい場合もあるでしょう。無期雇用転換とはどういった制度なのか、雇用止め法理の法定化などと合わせて調査しました。

パートと無期雇用転換ルール

パートや契約社員で働く人の中には、無期雇用転換ルールについて詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。

いつから適用されるかや、この制度のために不当に解雇されないか、気になるポイントは多いですよね。

今回は厚生労働省の資料を参考に、無期雇用転換ルールや雇用止め法理の法定化を含む改正労働基準法についてご紹介します。

無期雇用転換ルールとは

無期雇用転換ルールとはどのような制度なのでしょう。

有期雇用と無期雇用の違いや制度の概要などについて、厚生労働省が運営している「有期契約労働者無期転換ポータルサイト」を参考にご紹介します。

出典:有期契約労働者無期転換ポータルサイト/厚生労働省

無期雇用者と有期雇用者

パソコンとメガネ
Danilo Di Giovanni

会社や事業所に務める労働者は大きく分けて「無期雇用者」「有期雇用者」に分けられます。

無期雇用者とは雇用に際し特別期限を設けていない(定年を除く)雇用者を意味し、一般的に「正社員」と言われる場合が多いです。会社の就業規則によっては正社員ではないけれど無期雇用者と定める「無期パート」などの就業区分が存在する場合もあるようなので、務めている会社はどうなっているか確認してみてもよいでしょう。

有期雇用者とは予めいつまで雇用するかが決められている雇用者の総称です。アルバイトやパート、準社員など、各会社によって呼び名は異なります。半年や1年など予め雇用期間が決められている労働者はすべて有期雇用者となるので、覚えておくとよさそうですね。

出典:無期転換ルールのよくある質問(Q&A)/厚生労働省

制度の概要

無期雇用転換ルールとは、一定の条件を満たした場合自らの申し込みによって雇用期間を定めない無期労働契約に転換できる制度です。平成25年4月以降の有期雇用者を対象としています。


  1. 有期労働契約の通算期間が5年を超えている
  2. 契約の更新回数が1回以上
  3. 現時点で同一の使用者との間で契約している

以上3つを満たしていれば「無期転換申込権」を利用し、無期雇用転換への申し込みが可能です。

例えば雇用契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に無期転換の申込権が発生します。パートなどの有期雇用者が申し込んだ場合、会社側は拒否することができません。

いつから無期雇用になるか気になっている方も多いかと思いますが、5年勤務を目安にしておくとよいでしょう。

無期雇用転換になるのを避けるため、パートやアルバイトなどを解雇したり雇止めをすることも禁止されています。厚生労働省では都道府県ごとに相談窓口を設けているので、必要があれば相談してみてもよいかもしれませんね。

出典:無期転換ルールハンドブック/厚生労働省
出典:無期雇用転換ルール特別相談窓口/厚生労働省

無期雇用転換の申請方法

連続5年勤務するなどし条件を満たした場合、「無期転換申込権」を利用できます。

法律上は口頭で申し込むだけでも問題はないようですが、できるだけ書面を準備できるとよいでしょう。務めている会社に決まった書式があるかを確認し、無いようであれば自分で書面を準備するのも一つの方法です。

厚生労働省のホームページには参考となる書式が掲載されているので、必要であればダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

出典:安心して働くための無期転換ルールとは~平成30年4月から無期労働契約への転換申込みが本格化!~ /厚生労働省

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合わせて知りたい、改正労働契約法

カフェ
iStock.com/MilanEXPO

無期雇用転換ルールは、従来の労働契約法が改正されて新しく加えられたルールです。

有期雇用者がより働きやすいよう改正されましたが、このタイミングで他に2つ加えられたルールがあります。いっしょに押さえておけるとよいでしょう。


「雇止め法理」の法定化

パートや契約社員など、有期雇用で働く人の中には契約期間終了のタイミングで雇用を打ち切られる場合もあるようです。いわゆる「雇止め」で、これを禁止したのが雇止め法理の法定化です。

雇止めに関する過去の最高裁の判例から、条件を満たせば判例上のルールが適用され雇止めが無効になります。

労働契約を結んでいる間に会社側が契約を打ち切るのが「解雇」と言われますが、パートなどで働く人にとっては「雇止め=解雇」と感じる場合もあるでしょう。

安定して働き続けるためにも、雇止め法理の法定化は知っておきたいポイントではないでしょうか。

出典:労働契約法の改正について/厚生労働省
出典:雇止め法理/厚生労働省

不合理な労働条件の禁止

有期雇用という理由で、正社員などの無期雇用者と比べ不合理な労働条件を設けることも改正により禁止されました。

不合理な労働条件とは、例えば通勤手当や食堂の利用などがあげられます。パートの人は正社員じゃないから食堂を使えないなどの就業規則は、会社側に特別な理由がない限り合理性は認められない場合もあるようです。

個々の労働条件ごとに不合理かどうか判断されるようなので、気になる方は詳しい条件を確認してみてはいかがでしょうか。

出典:不合理な労働条件の禁止/厚生労働省

無期雇用転換に関するママたちの反応

無期雇用転換ルールについて、ママたちはどのように感じているのでしょう。周りの声を集めました。

30代ママ
30代ママ

よい制度だと思います。前職が有期雇用の人が多い職場だったので「この制度があれば安心だね」という声が聞かれました。ただ5年経つ前に解雇や雇止めにあう事例が増えないか心配です。

30代ママ
30代ママ

雇止めの恐れがないならよい制度だと思います。同一労働・同一賃金であれば無期雇用もありですが、会社がどれだけルールを守ってくれるかや、法の抜け穴がないか心配です。

無期雇用転換ルールを好意的に捉えるママは多いようです。制度自体はよいもののその後は正社員になれるかどうか、解雇や雇止めにあわないかなど、不安に感じる声もありました。

30代ママ
30代ママ

子どもが産まれてから、働き方を選べるパートという雇用形態に魅力を感じるようになりました。子どもの年齢にもよりますが、無期雇用になってキャリアアップできないのであれば有期雇用のままでもよいかなと思います。

30代ママ
30代ママ

子どもが小さいうちはパートで働き、ある程度大きくなったら別業種で正社員という選択肢も考えています。先のことなのでわかりませんが、今の会社で働き続けたいという明確な意思が今はないので、特にメリットは感じません。

パートや派遣など、有期雇用のままがよいと答えるママの声もありました。無期雇用契約がメリットになるかどうかは人それぞれのようです。

働く期間を自分で選びやすいのは有期雇用のメリットなので、将来どう働きたいかを明確にできるとよいかもしれませんね。

自分らしい働き方を考えよう

スーツを着たママと赤ちゃん
© polkadot - Fotolia

パートや契約社員の人などが条件を満たせば利用できる無期雇用契約転換ルールは、働き方の幅が広がる新しい制度のようです。

いつから申し込みができるか気になるようであれば、契約から5年を目安にできるとよいでしょう。転換されるのを防ぐため解雇や雇用止めをしたり、有期雇用と言う理由で不当な就業規則を定めているのは認められておりません。

改正された労働基準法のポイントをおさえ、自分らしい働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

2019年09月08日


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