高濱先生に聞く、自信のない子どもが変わる1対1のほめ方

高濱先生に聞く、自信のない子どもが変わる1対1のほめ方

2021.05.18

Profile

高濱正伸

高濱正伸

花まる学習会代表

1959年熊本県人吉市生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立。「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、現在も現場に立ち続ける。2020年から無人島プロジェクト開始。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー/日本棋院理事/算数オリンピック作問委員/「情熱大陸」などTV出演多数

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は花まる学習会代表の高濱正伸先生が、教育に関するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中。

【お悩み】勉強が得意な兄と苦手な弟。同じ環境を与えるべきか、別のことをやらせるかで迷います。

10歳男子、8歳男子のママ
10歳男子、8歳男子のママ

3歳差の兄弟。小さい頃から同じ学校に通い、同じ習い事をさせていましたが、上の子は何事にも探求心があり、読書や勉強が好きで、学校での成績も優秀です。

 

一方、下の子は真逆のタイプで、勉強すること自体に苦手意識を持っているようです。次男の前で長男と比較するような発言は絶対しないようにしていますが、次男も薄々と気が付いているようで「僕はお兄ちゃんみたいによくできない」と言うことがあり、「劣等感を抱えてしまうのでは?」と不安になります。

 

「兄弟に同じ環境を与えてあげたい」という思いと、「同じことをさせないほうがいいのでは?」という思いで毎日悩んでいます。

高濱先生の回答「一人ひとりが自信とやる気を持てる秘訣を教えます」

相談者の方は、真逆のタイプの兄弟を比較するような発言はしないようにしているけれど、勉強が苦手な弟が「劣等感」を抱えてしまわないか不安、とのこと。

 

きょうだいを同じ環境に置くことで、うまくいく家もあればうまくいかない家もあります。確かに、子ども時代の「自信のなさ」や「自分は認められてない」という劣等感は、大人になってからも長く引きずることになるため要注意です。

 

まず、親がいくらきょうだいを同じ扱いで充分にかわいがっているつもりでも、子どもは、「見ている目が違う」「声のかけ方が違う」ということを敏感に感じ取っているもの。

 

そのため、完全な「対等」は難しいということが、私が長年、さまざまな子どもたちを見てきてたどり着いた結論です。

 

さらに、「コンプレックスを持たせまい」として配慮された親の言葉が子どもを傷つけるということも、覚えておいてください。

 

私が以前見ていた子どもたちの中には、親がお姉ちゃんを「優秀だね」「勉強ができるね」と褒めてから、妹に「でも〇〇ちゃんは優しいからね」と取ってつけたように言い、妹はそのたびに自信をなくしていた、という例もありました。

 

親は、本当にこの子のことを思ってなんとか自信を持たせようと言っているんだけれど、子ども本人からすると親の配慮がありありと伝わってきて、つらいのです。

 

子どもはお母さんが本当に心から「すごいね!」と褒めてくれるのを求めています。

 

だからこそ、きょうだいで同じことをやっていて、どちらかが「ちょっと違うな」と思っているのだとしたら、違うことをやらせてみるのもいいと思います。

 

きょうだいがそれぞれ、まったく違うフィールドで、こっちがサッカーならこっちはピアノというように、お互いにないものを伸ばすことで、きょうだい間で「お前すごいな!」と尊敬し合い、両者に自信がつくことにもつながります。

 

同じことをやっている場合でも、やっていない場合でも、大切なのは子どもが自信を持ってやる気を伸ばすこと。

 

そのために、まずは「1対1モード」をやってみてください。

 

これは、子どもと1対1の時間を作り、耳打ちするように「あなたの〇〇なところって本当にすごいよね」としみじみと言うこと。それだけで子どもはもうめちゃくちゃ嬉しいんです。

 

私はこれをしょっちゅう生徒にしています。先日も、小学3年生のある男の子が難しいドリルをどんどん解いていたので「ここまでやれる3年生は見たことがない。スーパーできる子にだけ言ってるんだけど、これからは毎週自分で問題を作っておいで」と言いました。

 

宿題が増えて負担のはずですが、それ以上にその子は大人に認められたり信頼してもらえたりしたことが嬉しかったようです。

 

これは私自身が小学6年生のときに担任の先生が実際にしてくれたことです。先生は本当にその子ががんばっている部分を見つけては、一人ひとりを呼び出して褒めてくれていました。

 

他の誰にも通用するような褒め方ではなく、きちんとその子の良いところを見つけて褒めること、そして「一人ひとり」という点もポイントです。

 

他の子がいっしょにいる場ではなく、他の子とまとめて褒めるわけでもないので、子どもは「まぎれもない自分自身」が先生に認められていると感じて、やる気を出して伸びていったのですから。

 

これは家庭でもできることなので、ぜひ実践してみてください。子どもにとっては母親はスーパー特別な存在。きっと人生を支えていくものになるはずですよ。

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1959年熊本県人吉市生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立。「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、現在も現場に立ち続ける。2020年から無人島プロジェクト開始。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー/日本棋院理事/算数オリンピック作問委員/「情熱大陸」などTV出演多数
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