プロを目指さなくても楽しく続けたい。女子サッカーの進路【中澤佑二】

プロを目指さなくても楽しく続けたい。女子サッカーの進路【中澤佑二】

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は元サッカー日本代表の中澤佑二さんが、「女子サッカー選手の進路」についてお答えします。

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【お悩み】女子が中学以降も楽しくサッカーを続ける方法は?

女10歳、男7歳のママ
女10歳、男7歳のママ

小5の娘は、現在小学校で女子サッカーチームに所属しています。

小中高一貫校で、中学部にはサッカー部がなく、サッカーを続けたい子は、なでしこ下部や強豪チームのセレクションを受けるようです。

我が子は「今のような感じで、みんなで仲良く楽しくボールを蹴りたい」と言うのですが、そういったスタンスのチームに通うには片道1時間半程度かかります。

サッカーは続けさせてあげたいのですが、親の負担も大きく、女子選手の進路についてアドバイスいただきたいです。

【中澤選手の回答】ほかのスポーツをすることは決して無駄にはなりません

「クラブ数が圧倒的に少ない」というのは、女子サッカーだけでなく、ラクロスも含め、他スポーツでも言われている課題です。

女子サッカーのWEリーグトップの方曰く、女子の部活としてバスケ部、バレー部などは多くありますが、サッカーを続けられる環境が圧倒的に少ない結果、小学生時代にサッカーをしていても、中学でバスケなど他のスポーツにいってしまう子が多いそうです。

昨年のオリンピックで日本の女子バスケットボールが銀メダルをとったことで、バスケに流れる子はますます増えるでしょう。

2011年になでしこジャパンが世界一位を取りましたが、一方で女子は部活でサッカーができる環境が少ない。この現状がそのまま女子サッカーの未来につながるだろうと危惧していらっしゃいました。

学校側の理由として、男子サッカー部に力を入れている場合、グランド利用の関係で女子サッカー部は作らないというパターンもあるようです。僕はラクロスを教えていますが、野球、サッカー、ラグビー、陸上などグラウンドを使う部があると、コートを貸してもらえないことも多々あります。

中学の部活に女子サッカーが少ないもうひとつの理由に、教えられる顧問の先生がいないという問題もあると思います。新たに部活を作るにしても、「女子サッカー部を立ち上げたい」という強い決意を持った先生と部員がいなければ難しいでしょうね。

相談者さんの娘さんは、サッカーを楽しく続けたいけれどプロを目指すほどのモチベーションがないのであれば、片道一時間半かけて通うのは現実的ではありません。

男女混合でサッカーをおこなうパターンもあるようですが、体格差も出てきますし、いったんほかの部活に行って、高校生になってもまだサッカーを続けたい気持ちがあれば、そこでサッカーに戻るのはどうでしょうか。

以前も言いましたが、サッカーをやるにしても、さまざまなスポーツを経験するのはとてもよいことです。

実際僕がラクロスを教えている子たちの中にも、サッカー部がないからラクロス部に入ったという生徒もいます。

小学生時代にサッカーをしていれば、基礎的な部分は学べているはずですから、中学の間離れても、技術はそう簡単には落ちません。

その間は本人が何をしたいかですが、サッカーのために中学三年間は陸上をして体力をつけてもいいし、サッカーと関連づけるなら対人プレイでチームスポーツのバスケ、ハンドボール、ラクロスをするのもいいですね。人を抜く、人を止めるなどの技術につながるはずです。

また、あえて全然違うことに挑戦してみるのもよいでしょう。「みんなと楽しくやりたい」ということなので、和気あいあいとしている部活であれば十分なじむと思います。

「ほかのスポーツをすることで新しい道も見つかるかもしれないよ」と、視野を広げてあげてください。

ほかのスポーツをしながらも、週末にフットサルをやったりして、感覚をキープするのもよいと思います。もしくは同好会などを立ち上げてもよいでしょう。

フットサルであれば、サッカーの半分以下のハンドボールコートくらいの面積があればいいので、コート申請も通りやすいかもしれません。やろうと思えばどんな形でもサッカーを続けることは可能です。

ただ、「親の情熱=子供の情熱」ではないので、何が1番やりたいのか、どうしたいのかよく話し合ってみて下さい。

Profile

中澤佑二

中澤佑二

1978年2月25日生まれ。埼玉県出身。元サッカー日本代表。三輪野江小→吉川東中→三郷工業技術高→FCアメリカ(ブラジル)→ヴェルディ川崎→東京ヴェルディ1969→横浜F・マリノス。

2022.02.08

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