英語教育はいつから始めるのがより効果的なのでしょうか?今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』などの著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が「子どもが英会話を始める最適な時期」についてお話します。
前回『英語を学ぶのは早ければ早いほどいい。遅くなるほど不利になるその理由は?』の記事で、英語と日本語の言葉の周波数の違いや、言葉のリズムの違いから、英語教育は早く始めるほどいい、遅くなるほど不利になるというお話をしました。
極端に言えば、「相撲しかやってこなかった子にヒップホップを踊れ」と言っているようなものともお伝えしました。それくらい、ほとんどの子どもにとって、
耳が日本語に固まってしまってから英語を聞き取らせるのは難しいのです。
ほとんどの子どもと言ったのは、例えば絶対音感を持っているなど音感のいい子は、大人になってからでも聞き取れる可能性があるからですが、
これは稀なケースだと思ってください。
では、絶対音感など持っていそうもない子どもは、いったいいつから始めればいいでしょうか?
言語の習得やバイリンガル教育についての研究は、世界中でなされていますが、英語教育を始める時期について参考になるものを、いくつかご紹介しましょう。
アメリカの非営利団体TED(Technology Entertainment Design)は学術的な講演を行っている組織ですが、その講演で、言語習得を研究しているパトリシア・クールさんが
という興味深い研究を発表しています。
生後8か月くらいまでの赤ちゃんは世界のどの国の言葉でも話せるが、生後10~12カ月までの2カ月間に、
赤ちゃんは自分が理解すべき音の統計を取っている
というのです。すなわち、英語しか聞かなければ英語の発音を、日本語しか聞かなければ、日本語の発音を理解しようとします。
そして、周りの人が話す音の中で聞くことのない音は、言語を司る脳からどんどん削除してしまうと言うのです。
米ワシントン大学の研究者は、
「生後11か月の赤ちゃんの脳は、何語であろうと、その環境で聞く二カ国語を、一つの言葉を学ぶのと同じように学んでいる」
と言っています。そして、この研究結果が、
「幼児には複数の言葉を学ぶ能力がある、というより乳幼児期こそが、バイリンガル環境を与える最適の時期だと主張できる」
と言っています。
また、二か国語を聞いている赤ちゃんの脳は、赤ちゃんが言葉を発する前であっても、そうでない赤ちゃんより、新しい音を学習する能力に長けていて、
バイリンガル環境は赤ちゃんが言葉を発する前でも効果がある
ということを発見しました。
さらに、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学幼児研究センターの研究では
「二カ国語を話す家庭で育てられている赤ちゃんは、子宮にいた時に聞いた二つの言語に、生まれた時から好反応を示し、各言語を容易に判別することができる」
と言っています。これらの研究では、二カ国語またはそれ以上の言語習得の鍵を握っているのは、妊娠中から1歳頃までのように思えますが、さて、あなたのお子さんは何歳でしょうか?
バイリンガル教育は、確かに早いほどいいのです。日本人と結婚している筆者のスクールの外国人講師の子どもは1歳ですが、何か欲しい時に “Please.” と頼んできて、あげると「あんがと」と言うと言って笑っていました。
子どもは英語だとか日本語だとか区別して覚えているわけではなく、日常聞く言葉がごく自然出てくるのですね。
ですから、バイリンガル環境を作るのは、
まだ言葉が話せない赤ちゃんの時期から始めた方がいい
のです。もし、今妊娠中というなら、筆者のお勧めは、
お母さんが英会話学習を始めることです。そして、ネイティブの英語を真似てどんどん口に出すことです。
多少発音が下手でもリズムをつけて英語らしく発音すれば効果的です。
「うちの子ども、もう3歳」「もう5歳になっているわ」というお母さん。心配要りません。
幼児期ならまだまだ大丈夫です。言葉の臨界期には、7,8歳という説や10~12歳という説など諸説あります。
3歳でも5歳でも7歳でも、
思い立った時からスタートしましょう。
次回、英語教育は何から始めればいいのか、バイリンガル環境の作り方を詳しくお話します。
元日本航空CA。外資系英語スクールマネージャーを経て、1988年子ども英語スクールを開校。現在、英語プリスクールで、3歳から6歳までの子ども達を、幅広い視野と思いやりを持ったバイリンガルに育てている。また、スクール経営の傍ら、長年欧米文化に触れてきた経験から、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱する幼児教育研究家として活動。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』 に子ども教育評論家として出演。また、英語やしつけに関する記事を多数執筆。著書に『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』(アマゾン)
2017年05月15日
子育て情報メディア「KIDSNA(キズナ)」では、調査に伴い「家庭教育(学校外教育)」に関するアンケートを実施しています。
4歳児の英語教育を考えたとき、自宅でできる英語教材にはどのようなものがあるのか知りたいママもいるかもしれません。今回の記事では、教材を選ぶときのコツや、絵本やスペル遊びができるパズルなどママたちが実際に選んだもの、4歳児が英語を嫌がることがないように工夫したことを体験談を交えてご紹介します。
子どもには英語教育が必要なのか、どのように英語教育を始めればよいのか悩むママも多いと思います。英語のスクールに通っても本当に話せるようになるのか気になりますよね。そんなママたちに、今回は楽しみながら効果的な英語教育が受けられる、英語のプリスクール・学童保育をご紹介します。
株式会社ピーアップ
PR
子どもを英語に触れさせるのは早ければ早い方がよいというのを聞いたことがあるママもいるのかもしれません。とはいえ、どうやって英語を学ばせるのがよいのか悩んでいるママもいるのではないでしょうか。そこで、最近先輩ママたちの間で「効果がある英語教材」として注目されている教材を紹介します。
ワールド・ファミリー株式会社
PR
『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する幼児教育研究家 平川裕貴です。筆者は長年、外国人講師を通して欧米文化に触れてきたのですが、本当に驚いたことがたくさんあります。「何から何まで正反対なのでは」と思うくらいでした。今回は、筆者がびっくりするほど正反対だと思ったあれこれをご紹介したいと思います。
平川裕貴
昔から、「日本では中学、高校、大学と10年近く英語を勉強してきているのに、英語がまったく話せない」と不思議がられていました。欧米ではめったに使わないような難しい単語は知っているのに、スーパーで売っているような野菜の名前を知らない。むずかしい論文は読めたり書けたりするのに、外国人に声をかけられたらシドロモドロ。みんな一生懸命学校で英語を勉強してきて、受験にも受かってきたはずなのに、いったいどうしてでしょうか?今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、日本人が英語を話せない理由についてお話したいと思います。
平川裕貴
2020年に英語が小学校の正式教科になることから、今子どもの英語教育に関心が集まっています。確かに、日本語の読み書きと違って、親なら誰でも教えられるというものでもないので、不安を持つお母さんたちも多いことでしょう。今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、0歳からの子どもの英語教育では日本語と英語のどちらが先が効果的なのかというお話をします。
平川裕貴
英語教育は幼児期から始める方がいいと言われても、まず多くの人が不安に感じるのは、日本語に影響はないのかということかもしれませんね。今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、さまざまな事例から、この不安にお答えしたいと思います。
平川裕貴
子どもに英語で読み聞かせしたいけれど、自分は英語が苦手だから…とあきらめてしまう方も多いかもしれません。でも読み聞かせに英語力は関係ありません。英語の絵本での読み聞かせデビューのコツと効果を紹介します。
小学校の教育において英語が必修科目(予定)となる2020年まで数年。「グローバル」という意識がより強くなっている昨今、バイリンガル教育を考える両親も多いと思います。子育てや習い事の中で「英語」は最も頻繁に使われるキーワードではないでしょうか。実際のバイリンガル子育てを見て感じたこと、また海外での英語教育事情など、筆者の体験を交えて紹介していきます。
グローバル化する社会で、未来を担う子どもたちはさらに英語力が必要とされていくことでしょう。そのような社会で生きていくため「将来子どもを留学に行かせたい」と考えるママも多いのではないでしょうか?今回は生きた英語を学べる「留学」という選択肢について、留学の現状や費用などを調査してみました。
『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身につけさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱している平川裕貴です。筆者は、長年欧米文化に触れてきて、文化の違いに驚き、考えることが多々ありました。そんな筆者に、今回はとても面白いテーマをいただきましたので、それについて書いてみたいと思います。「英語にはなぜ夫婦という単語がないのか」という疑問です。
平川裕貴