【保育のプロ×脳科学】赤ちゃんの発達とおもちゃについて本音で徹底解説
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赤ちゃんにとっておもちゃは楽しく遊ぶだけでなく、五感を豊かに育み、赤ちゃんの「からだ・あたま・こころ」の成長を支える大切な道具です。今回の記事では、現役保育士のてぃ先生と脳科学者の瀧先生の対談が実現しました。保育の現場と最新科学の両方の観点から赤ちゃんにとって理想のおもちゃを考えます。
1歳までが重要。五感への刺激がすべての成長の土台に
子育て中のママやパパに大人気の保育士てぃ先生。今回対談していただいたのは、脳科学研究の第一人者である瀧先生です。
赤ちゃんのおもちゃを選ぶ前段階として、まずは赤ちゃんの脳の発達や成長段階についてお二人に話を聞きました。
赤ちゃんの発達に合わせたおもちゃを与えたいと考えるママパパは多いと思います。おもちゃを選ぶ上で「五感への刺激が大事」という言葉を聞くことがありますが、それはなぜなのでしょうか。五感の刺激とその後の発達との関係性について教えてもらいました。
脳細胞の数って、大人も赤ちゃんも変わらないんですよね。重要なのは脳細胞の数ではなくて、細胞同士のネットワークで、五感を刺激することで増えると聞いたことがあります。瀧先生、合っていますか?
その通りです。脳を構成する神経細胞をニューロンというのですが、そのニューロン同士の接合部をシナプスといいます。五感を刺激することでシナプスが増え、それが運動の効率化などにつながります。これが『子どもには五感の刺激が大事』といわれる理由です。
赤ちゃんの時にこの土台をいかに作れるかって、すごく大きいと思います。シナプスのネットワークが増えれば増えるほど、成長の段階で『頭が良い人』『効率のいい人』といった違いが出てくるんですよね。
特に1歳までは五感への刺激がとても重要です。その後の成長の土台になります。
でも、赤ちゃんが生まれてすぐに脳のすべての領域が一気に発達するわけではありません。場所によって発達のピークが異なるので、適切なタイミングで適切な刺激が必要です。適切な刺激により、発達が促されます。
【月齢別】適切な五感への刺激とは
では、赤ちゃんの発達に合わせて五感を適切に刺激するためにはどうしたらいいのでしょうか。赤ちゃんの脳の発達とともに説明してもらいました。
生後0〜6ヶ月は「見る」「聞く」そして「ぬくもり」が大切
生後すぐからダイナミックに発達するのは視覚です。生後すぐは、焦点が最も合う距離がおおよそ20cm程度と細部は見えていませんが、コントラストの強い色を認識しやすく、赤ちゃんは一生懸命にものを見ようとします。
これは後頭葉と呼ばれる場所が発達するからです。また、聴覚に関わる側頭葉も生後すぐ発達するので、『見る』『聞く』は最初に刺激を与えてあげたいですね。
あと、この時期にとても大切なのが『ぬくもり』で、愛着形成につながります。愛着形成によって情緒が安定し、特定の人との安心できる関わりを通してコミュニケーション力や共生力の基礎ができていきます。これは、脳の発達にもとても重要です。まわりの大人がたくさんぬくもりを感じさせてあげましょう。
パパやママに抱っこされたときのぬくもり、お日さまの光を浴びたときのぬくもり…。保育現場でもたくさんの赤ちゃんと触れ合う中で、ぬくもりって本当に大事だなといつも実感します。
ぬくもりによって赤ちゃんが安心するのを見ていると、感覚の発達につながっているんだなと思います。
生後6〜12ヶ月は「運動能力」と「言語獲得」ふれあいも忘れずに
次の段階として、頭頂葉が発達します。頭頂葉には手ざわりなどの触感を司る感覚野と、手足など体の動きを司る運動野があります。この時期の赤ちゃんが寝返りやおすわりができるようになるのは、頭頂葉が発達するからです。
また、生後6ヶ月をすぎたころから脳は言語を獲得しようとするので、母国語に関わる刺激が大切です。読み聞かせなどでたくさん言葉を聞かせてあげてください。このとき、子どもをひざの上に乗せて読み聞かせをするなど、ぬくもりを感じさせることも忘れないようにしてください。
保育園で園児たちを見ていると、お話が上手だったり絵本が好きな子は、読み聞かせが大好きな子が多い印象です。ひざの上でハグしながらの読み聞かせは、とてもよいコミュニケーションにもなりますよね。
単に読み聞かせをしたらいいというのではなく、読み聞かせをしながら『親子でふれあっていること』がポイントです。
子どもは、本やおもちゃを通して、言語の刺激をたくさん受けるので、親子で自然にふれあってあたたかい時間を過ごすことで、その時間自体が子どもにとってポジティブなものになりますよね。
親子いっしょになにかをすることは、脳科学的にとてもいいことです。最近は早い月齢から英語を習わせるご家庭もありますが、まずは大人が楽しくやっていることを見せながらいっしょにやるのがいちばんです。
子どもは模倣する力がとても高く、言語も口の動きなどの模倣から覚えていきます。
お気に入りのおもちゃが安心、成長をうむ
子どもは模倣能力が高いぶん、世の中のストレスや大人がピリピリしている雰囲気も伝わります。ですので、普段から心に余裕を持って子どもに接するように心がけたいですよね。
子どもが、心から安心できる安全地帯を作ってあげることは必要です。
そういう意味で、おもちゃはやっぱり重要ですね。保育園で進級するタイミングでお部屋が変わるとき、前のお部屋で遊び親しんでいたおもちゃを先に移動させておいてから、園児たちを移動させたりするんですよ。
お気に入りのおもちゃがある空間は、子どもにとっての安全地帯になるからです。
この安全地帯があることで、子どもははじめて冒険ができるんです。新しい環境に馴染もうとする新しい挑戦です。親の安心感、モノの安心感、場所の安心感という土台があると、いろいろなことに挑戦できる子になります。
コロナ禍で子どもと過ごす時間が多くなったママパパも多いと思います。コロナ禍というネガティブな要因ではありますが、その中に『親子の接点が増えた』などのポジティブさを見つけることが大事なのではないでしょうか。
ずっといっしょにいるとメリハリをつけるのは難しいかもしれませんが、おもちゃがあることで、子どもとのコミュニケーションが取りやすくなることもあります。
たとえば、おもちゃで遊んでいるときに赤ちゃんがなにかを見ていたら「〇〇を見ているのね」、なにかを握ったら「〇〇を握ったのね」など、動作をそのまま言葉にしてあげるだけでもよいでしょう。そうすることで、より豊かな刺激を与えることができます。
子どもの脳の発達や成長に五感の刺激は欠かせません。子どもの発達段階に合ったおもちゃで、たくさん刺激を促してあげることが大切です。それが今後の成長の基礎になるからです。
てぃ先生おすすめ!五感を刺激し、成長をサポートするおもちゃ6選
てぃ先生と一緒に、フィッシャープライスにお邪魔しました。フィッシャープライスのおもちゃは、五感への刺激を大切に作られています。その中でも保育士目線でてぃ先生がおすすめするおもちゃを6つ選んでいただきました。
子どもの発達に合わせた、五感を豊かに刺激するおもちゃばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
五感刺激がいちばん必要な月齢【0〜3ヶ月の赤ちゃん】におすすめ
この時期に赤ちゃんは、視覚や聴覚、触覚をたくさん刺激することが大切です。さらに、狙ったものをつかむといった、手足と視覚の連動(協働運動)を促せるとよりよいでしょう。それが今後、例えばサッカーや野球などで必要な空間認知能力につながると考えられます。
また、自分というものを意識するきっかけのひとつとして、鏡を見ることも良いかもしれません。
この時期は特に、子どもが安心して睡眠をとることが発達においてとても重要です。睡眠が不規則な月齢なので、睡眠を妨げるおもちゃではなく、睡眠を促すようなおもちゃ選びも重要です。
・パーフェクトセンス デラックスジム
ふとんに寝ているだけだとなかなか話題が見つけられないかもしれませんが、このおもちゃを使えば赤ちゃんのとなりにママかパパがいっしょに寝転んで『らっこちゃんがいるね』など、声もかけやすそうです。
鏡やぬいぐるみもついているし、におい付きのおもちゃまであるのは画期的!嗅覚も刺激できるなんてすごいですね。たくさん仕掛けがあるから気になったおもちゃに手を伸ばすなど、協働運動の練習にもなりそうです。
・おやすみラッコ
赤ちゃんの寝かしつけで呼吸ってすごく大事なのですが、このラッコ、本当に落ち着いた呼吸してますね(笑)赤ちゃんが寝付きやすい呼吸というのがあって、まさしくそんな感じです。
子どもの月齢がもっと上がっても、長く使えそう。寝るときの相棒になりますね。
体を動かすことが大切な【3〜6ヶ月の赤ちゃん】におすすめ
視覚、聴覚、触覚の刺激に加えて、運動能力の基礎も形成されるので足の屈伸運動など、体を動かすことをたくさん取り入れましょう。
・レインフォレスト ジャンパル― II
赤ちゃんって発達上、自然と屈伸運動をしますよね。これは喜びそう。向きが変えられるのもいいですね。バウンサーだとママが移動したら赤ちゃんから見えなくなっちゃうけど、これなら赤ちゃんが自分で向きを変えてママの動きを目で追うことができます。
赤ちゃんははしゃぐだろうから、これで遊んでもらったらかわいい写真も撮れそう!
遊びの中で自然に学ぶ【6〜9ヶ月の赤ちゃん】におすすめ
6ヶ月以降になると、言語や音に対する興味が高まります。視覚や聴覚もますます発達するでしょう。手先が器用になる時期なので、指先をたくさん動かして、つまむなどより細かい指先の使い方や力の入れ加減を学べるといいですね。
また、脳の発達がダイナミックに進み始めますので、ちょっと考えるような遊びも少しずつ取り入れられると良いかもしれませんね。頭の中で遊び方を必死に考えて、試行錯誤を繰り返すことで、発達も促されていきます。
・ゆらりんタワー
いろんなレベルで子どもの認知機能が刺激されそうですよね。大きさや色によってそれぞれタワーにはめていく順番を考えそう。
シンプルなおもちゃなので、子どもがどう戦略を考えているかを観察できるし、コミュニケーションも取りすいですね。
このタワー、底が平らではなくゆらゆらと揺れるように設計されているので、その動きに合わせて目を動かしたり、手でぱっと止めて遊ぶとか、遊びの幅がかなり広いです。
・バイリンガル・ラーニングボックス
このおもちゃ、ずーっと子どもが遊んでいる姿が想像できます(笑)。遊びの中で、自然に数字や色、形を覚えられるのも魅力的ですね。
試行錯誤の中で学べて、繰り返し遊べるおもちゃですね。子どもが自分なりにできることを発見したり、課題を見つけて解決するので、ママやパパが『こう遊ぶのよ』と先に答えを教えない遊び方もできそうです。
たくさんトライアンドエラーをさせてあげたら、自分で考える力が身につきそうなおもちゃです。
言語を獲得し始める【9〜12ヶ月の赤ちゃん】におすすめ
この月齢の子どもの脳は、言語獲得の発達が活発になる時期。耳から言語を覚えるのでたくさんの言葉に触れさせてあげましょう。また、9か月からより細やかに手先を動かせるようになります。
・わんわんのバイリンガル・リモコン
子どもがリモコンやスマホが好きなのは、普段ママやパパが手にしているのを目にしているからなんです。このおもちゃを手にした子どもは喜んで大人の真似をしてボタンを押しますよね。
押すボタンによってちがう音楽が流れてくるから、リズムも耳から入ってきます。いつでも明るいノリノリの音楽なので、常にポジティブな情報がたくさん入ってきそうです!英語が楽しいというイメージにもつながりますね。
今後の成長の土台になる「五感への刺激」は赤ちゃんのうちに
今回の対談でご紹介したおもちゃは、どれも楽しく遊べそうなおもちゃばかりでしたが、それだけでなく脳科学の観点からも五感を豊かに育んでくれることがわかり、ますます魅力を感じました。
これらのおもちゃをぜひ、おうち遊びに取り入れてみてはいかがでしょうか。
五感いっぱいに、わくわくを。
1930年にアメリカで誕生したフィッシャープライスは、ベビー・プリスクール世界売上No.1*のおもちゃブランドです。
独自のリサーチや研究を重ねて開発したおもちゃで、子どもたちの興味を引き出し、遊びを通してからだ・あたま・こころの発達をサポートします。
*NPD 2020年POS売上データ(USドル) インファント・トドラー・プリスクール玩具カテゴリー
大人にとって、自分の意思で自分の体を動かせるのは当たり前ですが、生まれたばかりの赤ちゃんの行為の主体性は徐々に発達します。
赤ちゃんが自分の手をじっと見て、動かしたり舐めたりすることがありますよね。これは赤ちゃんが自分の手を認識しようとする『ハンドリガード』という行為です。これにより、自分の意思で自分の手を動かすことができる、ということに気づきます。