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子どもとともに考える。障がいへの理解を深める絵本12選
街で障がいのある人を見かけたら……友だちに障がいのある子がいたら……私たち保護者は障がいについて子どもたちにどのように伝えるとよいのでしょうか。無意識のうちに本人や周りの方を傷つけることのないよう、子どもが親しみやすい絵本から障がいについて理解を深めましょう。今回は、子どもと障がいを考える絵本12選をご紹介します。
自分とは違う人がいることを伝える絵本
子どもが小さいうちから知っておきたいことは、自分とは違う特徴のある人がいるということです。子どもが親しみやすい絵本を障がいへの理解を深める第一歩にしてみてはいかがでしょう。
たっちゃんぼくがきらいなの
この絵本は、子どもの視点からみる自閉症への疑問に対して、わかりやすく、そしてやさしく説明してくれています。
自閉症のたっちゃんのさまざまな言動は、友だちを強く意識するようになる幼児期の子どもにとって驚くことも多いかもしれません。しかし、それを知ることで友だちの不安な気持ちを少しずつ理解できるようになり、接し方への変化にもつながっていくのではないでしょうか。
オチツケオチツケこうたオチツケ-こうたはADHD
注意欠陥多動性障害のこうたが主人公のこちらの絵本。わかりやすい文章と、登場人物の気持ちを感じとれるような、あたたかい色合いのイラストで、小さい子どもにぜひ読んでほしい一冊です。
落ち着きがない衝動的な行動に、変わった子だという視線を送りがちな大人にも、誤った見方をしていないか、問いかけてきます。周りの人がこのような障がいを知り、受け止めていくことで、当事者との関係性も大きく変わっていくでしょう。
わたしの足は車いす
車いす生活で毎日奮闘するアンナの姿が描かれた絵本。初めてのおつかいで出会うのは、同情と好奇心の眼差し、そして無視といったようなものばかり。しかし、そこからアンナは強い心と友だちを得て、新しい道を進んでいきます。
車いすを使用する人にどのようなタイミングで声かけをしたり、手助けをしたりすればよいか、私たち大人でも難しく考えがちです。心のバリアフリーについて、親子でいっしょに考えるきっかけになりそうな一冊です。
すずちゃんののうみそ 自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんの、ママからのおてがみ
保育園の友だちからの疑問に、自閉症の子どもをもつ母親が答える形で作られた絵本。
小さい子どもにもわかりやすく、やさしい色合いで描かれたイラストで読者の心をぐっと掴む内容です。巻末には自閉症の特徴紹介と医学監修の先生からのメッセージも添えられています。素直でまっすぐな子どもだからこそ感じられる思いやりや理解がありそうです。
障がいのある人の暮らしを想像できる絵本
障がいのある人の暮らしを想像できるようになると、子どもの世界も今までとは違ってみえるかもしれません。絵本を読んでいるうちに、子どもも障がい者を身近な存在へと感じとれるようになるでしょう。
どんなかんじかなあ
相手を思いやる大切さを描いた、日本絵本賞受賞の名作。
目が見えない友だちのまりちゃん。見えないってどんな感じなのか、そっと目をつぶってみました……そうやっていろいろな人の立場を想像しながら経験していくことができる作品です。読み進めるうちに、感性が研ぎ澄まされ、世界も大きく広がるでしょう。
ペカンの木 のぼったよ
病気で体を動かすのも話すのも不自由なりんちゃん。でも幼稚園ではみんな友だち。障がいのある子が自然なかたちで、周りの友だちと溶け込み遊ぶ光景がやさしく描かれています。
りんちゃんのために、自分たちが何ができるのか考える友だちとそれをそっと応援する幼稚園の先生。そんな素敵なシーンから、子どもの純粋な気持ちを見習わなければいけないなと大人も深く考えさせられる一冊です。
雨のにおい星の声
目が見えない子どもたちの世界を率直な詩や作文で描いた、こちらの作品。私たちが想像できないほどの感性で、あらゆる物事をとらえていることに驚くとともに、当たり前としていることがどれだけ大きなことであるかを思い知らされます。
絵本を読み終わると、子どもたちの世界も今までとは違って見えるかもしれません。
わたしいややねん
絵本の最初から最後まで、描かれているのは車いすだけ。ですが、作者の心の叫びとともに描かれるその車いすにはいろいろな表情がみてとれます。車いすの生活を送る人たちの理不尽な思いや悔しい気持ちが、私たち読者の心に痛いほどダイレクトに響くのは、関西弁でつづられているからかもしれません。
障がいへの理解をうながす絵本
障がいについての理解を深めるためには、保護者からの声かけも重要になってくるかもしれません。絵本を読みながら、障がいについて親子いっしょに考えてみましょう。
あの子はだあれ
小学校のジャングルジムから落ちて車いすになった主人公ミキが、養護学校でさまざまな子と出会い、死とも向き合って成長していくストーリー。
障がいをもつ子どもの心の内と精いっぱい生きる友人の死から成長していく姿に、誰しも心を打たれるのではないでしょうか。タイトルにもなっている「あの子」の正体は明かされませんが、それによって読者に生きることの意味を問いかけ、考えさせてくれます。
だれも しらない
養護学校へ向かうバス停までの200メートルの道のりを、40分かけて歩くまりこ。登校という日常のシーンから、障がいをもつ子どもの感じ方や人々との交流がとてもあたたかく描かれ、胸に響くストーリーです。
タイトル通り、”だれもしらない”世界を主人公のまりこはたくさん感じ、気持ちよく生きています。障がいをもつ人の毎日を生きる姿が美しく感じられる一冊です。
わたしのおとうと、へん…かなあ
相手のありのままを受け入れ、愛することの素晴らしさを伝える一冊。ダウン症という難しいテーマでありながら、わかりやすいストーリーで子どもも親しみやすいのではないでしょうか。
リリとド-ド姉弟から伝わるあたたかい愛情から、子どもなりに心動かされる何かがあるかもしれません。
わたしたちのトビアス
母親と兄姉たちが作った、障がいをもつ弟への愛情が絵本いっぱいにあふれる作品。
この絵本の一番の魅力は、子どもたちが描いた、生命力までも感じさせるような力強いイラストです。そのイラストがいきいきと、今にも動きだしそうなのは、絵本を作った子どもたちの想いがひとつひとつの線にぐっと込められているからかもしれません。障がいとは何かと子どもに尋ねられたとき、親子でいっしょに考えるきっかけとして手に取ってほしい名作です。
<執筆>KIDSNA編集部
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