「なんとかわいらしい男です」吉沢亮が「ばけばけ」で演じる錦織のモデルが小泉八雲の"ズッ友"になったワケ

「なんとかわいらしい男です」吉沢亮が「ばけばけ」で演じる錦織のモデルが小泉八雲の"ズッ友"になったワケ

利口で親切でお世辞なし、やり取りした手紙の数は128通

朝ドラ「ばけばけ」(NHK)で映画『国宝』の吉沢亮が演じるのは、実在した英語教師・西田千太郎をモデルにした錦織友一。小泉八雲夫妻の評伝を書いた青山誠さんは「西田は中学校教頭で26歳。同僚となったラフカディオ・ハーンの信頼を得て親しくなった」という――。 ※本稿は、青山誠『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』(角川文庫)の一部を再編集したものです。

松江に赴任したハーンと松江の秀才が出会う

明治23年(1890)9月2日にラフカディオ・ハーンは尋常中学校の西田教頭に伴われて県庁に出向き、県知事の籠手田安定こてだやすさだに着任の挨拶をした。籠手田は長崎平戸藩出身の士族。幕末の剣豪・山岡鉄斎てっしゅうの高弟で、一刀正伝無刀流や居合いの免許皆伝という剣の達人だった。古武士の風格漂う、豪快で物事にこだわらない性格だったという。

籠手田安定・島根県知事(写真=島根県編『府県制の沿革と県政の回顧』、1940年/PD-Japan-oldphoto/Wikimedia Commons

松江では誰もがハーンのことを「ヘルン」と呼ぶようになる。これは、赴任前に取り交わした契約書の「ハーン(Hearn)」の名前が、カタカナで「ヘルン」と誤って記載されていたことがそもそもの原因。「自分はヘルンではないが、まあ、どちらでもよろしいでしょう」と本人が言うものだから、物事にこだわらない籠手田県知事も訂正せず。その後も島根県の公式文書では「ヘルン」が用いられ、宴席や会合に出席してもこの名で紹介されるようになる。セツもまた生涯にわたって「ヘルン」と呼びつづけた。

県庁とは道を挟んだ向かい側には、3年前に新築されたばかりの島根県尋常中学校(明治40年に松江中学校と改称)の校舎が建っている。エントランスの屋根を支える柱はギリシア神殿のようなオーダー様式。また、大きな上げ下げ窓など欧米の様式をふんだんに取り入れた和洋折衷建築となっている。300人近い生徒を収容する施設なだけに、当時は市内でも有数の巨大建築だった。

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2025.10.27

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