「儲けにならない」のにスポーツ支援に年数億円を投じる…ミキハウス社長が元巨人3選手を獲得した本当の狙い
「アスリートの支援もできないような会社は面白くない」
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子供服大手の「ミキハウス」(三起商行、大阪府八尾市)は、アマチュアスポーツへの手厚い支援を続けてきた。最近では、元読売ジャイアンツの選手が3名入部した硬式野球部が好調だ。今月28日から開幕の社会人野球日本選手権に出場する。なぜ支援を始めたのか。どんな狙いがあるのか。木村皓一社長に、ジャーナリストの春川正明さんが聞いた――。
ミキハウスに入社した「ドラ1投手」
2023年5月。「わかさスタジアム京都」のスタンドに、読売ジャイアンツのドラフト1位投手で通算13勝を挙げた桜井俊貴さんの姿があった。2022年で現役を引退しスカウトになったので、都市対抗野球大会の予選を視察に来ていたのだ。その場で挨拶したミキハウス硬式野球部の陣田匡人監督は、引退した桜井さんにこう言葉をかけた。
「うちピッチャーがいないんで、できたらうちのチームに来てほしいな」
半年後、その冗談が本当になった。
桜井投手は、2024年にミキハウス野球部に入部。約1年のブランクを経て現役復帰したのだ。
「スカウト活動をしながら社会人野球を見ることがかなり多くあり、あらためて社会人野球は応援がすごいので、その中でもう一回やりたいなというのが始まりでした」(桜井投手)
桜井投手は、1年目からチームを社会人野球の2大大会である都市対抗と日本選手権に導いた。
「社会人野球は一発勝負で一球のミスが命取りになります。すごく気持ち的にもドキドキしながら投げるのが社会人野球の醍醐味だなと感じます」(同)
筆者もこれまで桜井投手が投げる試合を数試合取材したが、「トシちゃん」コールが鳴り響くスタンドから見ていると、ジャイアンツ時代よりピッチングが良くなったのではと感た。それを本人に聞いてみた。
「ハハハ。そうですね、常に向上心を持ちながら、あまり過去は考えず、自分の技術を上げることを考えながらやっているので、いい感じで成長できていると思います」(同)
元ジャイアンツの選手が3人も加入
その桜井投手の誘いを受けて、同じジャイアンツから今年ミキハウスに入団したのが髙橋優貴投手だ。通算18勝の左腕の社会人野球入りを後押ししたのも、応援の熱量だった。
「昨年の日本選手権を観に行かせていただいて応援がすごいなと思って、なかなかこんなに会社一丸となって応援してくれるチームはないのではという印象でした」(髙橋投手)
各チームの会社挙げての熱心な応援合戦で知られる社会人野球だが、その中でもコーポレート・カラーである赤色に染まるミキハウスの応援は、ひときわ熱量が高いことで知られている。
ミキハウス野球部には菊田拡和内野手も今年入団し、読売ジャイアンツ出身の3人が揃った。社会人野球では1チームに元プロ野球選手は3人まで登録可能だが、3人とも同じプロ野球チーム出身というのは異例で大きな注目を集めている。

























