トランプ大統領が問題視した解熱剤は安全性が高い…医師が警鐘「本当に子どもに飲ませてはいけない薬」の名前

トランプ大統領が問題視した解熱剤は安全性が高い…医師が警鐘「本当に子どもに飲ませてはいけない薬」の名前

鎮咳薬、抗ヒスタミン薬は要注意

先日、アメリカのトランプ大統領が解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンが高リスクだと発言した。小児科医の森戸やすみさんは「むしろアセトアミノフェンは妊婦さんにも子どもにも使える安全性の高い薬。本当に飲ませてはいけない薬は他にある」という――。

トランプ大統領の驚きの発言

今年は、例年よりも早くインフルエンザの流行期に入ったというニュースがありました。私のクリニックでも、インフルエンザウイルス感染症、新型コロナウイルス感染症が増え始めましたし、風邪で発熱するお子さんも増えています。

そうして熱が出たときに子どもに処方されるのは、もっとも安全性が高いアセトアミノフェン(商品名:カロナール、アンヒバ、アルピニー)ですね。もちろん、妊婦さんにもアセトアミノフェンが処方されます。

ところが、2025年9月22日にトランプ大統領がホワイトハウスで行われた記者会見で、衝撃的なことを発表しました。妊娠中の女性に対して「タイレノール(成分名:アセトアミノフェン)をとらせないでほしい」「アセトアミノフェンの使用は、自閉症などの神経発達障害と関連がある可能性がある」との警告を出すように指示、「タイレノールを使うことはよくない、妊婦においては必要な場合を除き制限するべきだ」という強い表現をしました。

こんなふうに言われると、一国の大統領の発言なわけですから、妊婦さんはもちろん、子どもにも与えてはいけないのではないかと心配に思われた方もいるでしょう。

自閉症が「流行」することはない

さらにアメリカ保健福祉省(HHS)の公式リリースには、「トランプ大統領とケネディ保健福祉省長官は、アメリカにおける自閉症スペクトラム障害の流行に立ち向かい、自閉症に影響を受けた家族を支援するための新たに大胆な行動を発表した」と書かれています。

しかし、みなさんもご存じの通り、自閉症スペクトラム障害は生まれつきの特性で、感染症ではありませんから流行はしません。そして、これらの発言についてトランプ大統領らは何らかの根拠、新しい研究結果を提示しているわけでもありません。アメリカ自閉症科学財団は、「自閉症を流行と呼ぶのは、不正確で有害である。自閉症は感染症ではなく、このようなレトリックは何百万人もの自閉症者をスティグマ化する」という声明を出しました。

そのほか、アメリカ国内だけでなく世界中の医学会、自閉症コミュニティがトランプ大統領らの発言を批判しています。日本でも例外でなく、WHO日本支部が「妊娠中のアセトアミノフェン使用と自閉症の関連性を確定する十分な科学的証拠はない」と見解を出していますし、日本自閉スペクトラム学会が懸念を表明しています。そして、SNS上でも医師、薬剤師が一斉に批判しました。

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2025.11.01

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