日本人にまったく馴染みがなかったのに…デパ地下で1日300キロもバカ売れして国民的惣菜になった「珍味」とは【2025年9月BEST】
「捨てられる食材」は宝の山だった
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2025年9月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。ビジネス部門の第2位は――。 ▼第1位 これで北陸新幹線が完成する…鉄道ジャーナリストが提案「米原ルート」でも「京都ルート」でもない"ウルトラC" ▼第2位 日本人にまったく馴染みがなかったのに…デパ地下で1日300キロもバカ売れして国民的惣菜になった「珍味」とは ▼第3位 大阪万博を走る「中国製EVバス」でトラブル続出…書類だけのシンプル審査で「補助金天国」というEVバス業界の闇 かつて日本にはクラゲを食用とする文化はほとんどなかった。それが惣菜として普及したのには、あるきっかけがあった。シーフード惣菜のメーカー大栄フーズ会長の岡康人さんによる『中華くらげ、とびっ子を世に出した男』(日刊現代)より、紹介する――。(第1回)
クラゲを国民的惣菜にした男の戦略
日本は海に囲まれた島国で、古くから水産加工業が栄えていました。かまぼこ、佃煮、イカの塩辛、練ウニ、魚の干物など、多種多様な水産加工食品が存在していました。
しかし、これらの市場はすでに老舗がひしめき合い、競争が激しく、新参者が入り込む余地はほとんどありませんでした。
それでも私は、道を切り拓く方法がほかにあるのではないか、と考えました。そこで目をつけたのが、「ニッチ市場の開拓」です。大手企業や老舗が目を向けない食材に着目し、新しい価値を見出すことで勝負する。いわば、「オンリーワン」の発想です。
ナンバーワンを目指さず、オンリーワンを目指す――。のちに私の信念となるこの経営手法は、「すき間」でもがき、必死になって勝負した経験から確立したものです。大手と同じ土俵で戦っても勝ち目はない。でも誰も手をつけていない領域で独自の価値を提供すれば、当面は無競争な市場で独り勝ちすることができます。
時は高度成長期、庶民の所得も増えていきました。ちょっと高価な食品でも買っていただけるだろうと当て込み、私は勝負に出ました。
この考えの原点にあったのは、私が常に学んできた「歴史」でした。
歴史には、時代の変化のなかで新しい価値をつくり出した人物が数多くいます。
たとえば、織田信長もその一人でしょう。彼は戦国時代に、それまでの戦術を一変させる「鉄砲」を導入し、独自の戦略で天下を勝ち取りました。
前例がないなかで新たな技術を取り入れ、唯一無二の存在として歴史上にその名を刻んだ人物です。
このように、歴史から得た発想は、現代のビジネスにも十分に応用できるのです。

























