そりゃ圧倒的に強いわけだ…「あなたにとってAIとは」という質問に藤井聡太七冠が返したさすがの回答
佐々木勇気八段「スパコン『富岳』で将棋を研究したい」
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仕事や実生活で「自ら考え、行う」ことと、「AIに任せる」こととの兼ね合いを考えるのに、将棋はよい教材となりそうだ。将棋日本シリーズJTプロ公式戦の2回戦で対戦した藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、23歳)、佐々木勇気八段(31歳)に、AIとの向き合い方を聞いた――。

AIが「敵」から「パートナー」へ
加速度的に進化する人工知能=AIとの向き合い方が人に問われている中で、先んじてこの課題に直面したのが将棋界だ。プロ棋士がAIソフトに敗れたことで、一時はプロ棋士の存在意義を問う声も上がった。が、今、AIソフトは棋士の敵ではなくレベルアップのための有力なパートナー。今のAIは自我を持たず「勝ちたい」「強くなりたい」という欲求もないから当然なのだが、懸念は杞憂に終わったかに見える。
将棋は将棋盤の上の出来事だけで必ず白黒がつき、プレーする棋士の収入や格付けはそこで決まる。このシンプルさゆえ、将棋とAIとの関わりは複雑な実社会における人とAIとの関わりの一端を映し出すと思われる。
その一例が、人が最善の結果を目指すときに「自ら考える」部分と、「AIに倣ならう、任せる」部分との兼ね合いだろう。今、将棋のAIソフトを使わぬプロ棋士はまずいないが、棋士が素で考えることとAIの提示する“最適解”の絡みは、AIに仕事も尊厳も奪われないかとおびえる人間にとってのヒントとなりそうだ。

研究し、やってみて、後で振り返る
「AIの実力が棋士をしのぐようになった10年ほど前から活用しています。強くなるためのパートナーという感覚もありますし、知見の優れたところを自分で取り入れて実力を高めていきたいという意識で活用しています」
あなたにとってのAIとは? という問いに、藤井聡太七冠はそう応じた。
AIの使い方には、(1)判断力を高めること、(2)お互いに王将を城に囲う序盤から、駒がぶつかり合う中盤にかけての定跡をより深く掘り下げること、の2つがあるという。
「人間的な感覚ではなかなか考えづらい指し方や形勢判断、大局観に触れることができるので、総合的な判断力を高めるうえで非常に効果があったかな、と。一方で、AIが示す情報を無批判に受け取ってしまうと、自分自身の思考力がかえって落ちてしまうリスクもあると感じています」(藤井七冠)
一方、29連勝中の藤井四段(当時)に初めて土をつけ、その後も大舞台での対戦を重ねている佐々木勇気八段は、「将棋にも流行の形があるので、その中の課題局面以降にどちらの形勢がよくなるか、等を見ます。それから自分が指した一局の将棋を通じて、実際に指した手と最善手とでどれくらいの差があったかを見て、自分の感覚を鍛える。研究して、対局で実際にやってみて、後でそれを振り返る、というふうに使っています」と言う。


























