用もないのに東京・博多を往復するワケ…出不精の作家・長倉顕太さんが語る「移動」の絶大な効果
凡人こそ「フッ軽」になれ
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リモートワークやUターンを始めとした地方移住、二拠点生活など、柔軟な働き方・生き方を選べるようになってきた一方で、多くの人は「東京や大阪といった大都市から離れてしまうとキャリアに悪影響が及ぶのではないか」という不安を抱えています。 マイナビ転職が実施したアンケート調査(※)でも、「地方移住転職によるキャリアの変化」として、全体の約半数(50.3%)が「キャリアダウンした」と答え、約16%が「地方移住転職に満足していない」と答えています。 ※……マイナビ転職『地方移住転職・Uターン転職の年収変化と満足度調査(2025)』 そもそも、場所に縛られないことや「環境」を変えることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。 今回、ベストセラーとなっている『移動する人はうまくいく』の著者・長倉顕太さんとともに、「移動」が人生やキャリアにもたらす影響を掘り下げます。 「環境を変えることで初めて行動が変えられる」という価値観のもと、これまでの人生で「移動」を重ねてきた長倉さん。その哲学はどのようにして生まれたのでしょうか。
人は環境を変えることでしか、自分を変えることはできない
――日本から海外に拠点を移しながら仕事を続けてこられた長倉さんが「場所に縛られない働き方」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
長倉顕太さん(以下、長倉):東日本大震災(2011年)です。当時は東京で放射能の影響が心配されていたこともあって、知り合いがいたハワイへの移住を決めました。ちょうど38歳の頃です。
移住の翌年に会社を辞めて、ホノルルに5年、サンフランシスコに3年住みました。コロナ禍の間は日本にいたのですが、コロナ明けからロサンゼルスにも拠点を持ち、今はロスと東京を行き来しています。

――38歳での海外移住は個人的に「遅い」という印象ですが、どうでしょうか。移住にあたっては、仕事を辞めて、人生設計を見直さければならない可能性も出てきそうですし、その年齢になると一般的には職場でそれなりのポジションを得ていたり、家族がいたりして動きづらくなるのでは?
長倉:そうですね。いま振り返ると、自分は編集者として、シンガポールと日本、アメリカと日本など、複数の拠点で活動している人たちと日頃から仕事をしていたので、移住を躊躇しなかったのかもしれません。仕事柄、PC1台あればどこでも仕事ができるという側面もありますから。
あとは、手前味噌ですが、自分が手がけた本を(編集者として活動していた)10年間で累計1,000万部くらい売ったので、いい気になっていたのかもしれません。独立しても、自分ならやっていけるだろうと。
とはいえ、現地に仕事のあてがあったわけではなく、移住後も仕事はほとんど日本向けだったんですけどね。
それに、移住の際に英語はできなかったし、今もまったく喋れないんですよ(笑)。
――(笑)。東日本大震災というきっかけがあったにせよ、フットワークの軽さがすごいですね。もともと外出や旅行が好きだったのですか?
長倉:いえ、むしろ出不精で、今も昔も外出することはあまり好きではありません。実は、旅行もそんなに……。
――そうなんですか!?
長倉:決して好きではないですね。とはいえ、最近は仕事で国内のいたるところに行くので、前よりは好きになってきましたが。

























