道を尋ねられたときの第一声で話の上手・下手がバレる…説明上手な人が真っ先に伝える"重要情報"
頭に浮かんだことのすべてを言葉にしてはいけない
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説明上手な人は、どのような順番で伝えているか。スピーチコンサルタントの阿部恵さんは「コミュニケーションミスを防ぐ話の型に、『ホールパート法』がある。これはまず相手に話の『全体像』を示してその後で話を構成する『部分(詳細)』を説明し、最後にもう一度話しを締めくくる方法だ」という――。 ※本稿は、阿部恵『きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
相手に目印を示し、全体的な見通しを与える
説明上手は「大通り」から伝え、
説明下手は「小道」をくまなく伝える
つい先日、外国人観光客から道を尋ねられたことをきっかけに、説明上手と説明下手の決定的な違いに気づく出来事がありました。
道を尋ねられたのは新橋駅近く。最初は、
「1つめの信号を左に曲がって、レンガ色のビルが見えたら右に曲がってね。そこから50m進むと小さな公園があるから、そこをさらに右に折れて……」
と、自分がいる地点からの小道情報を拙い英語で丁寧に説明していたのですが、先方は明らかに「?」というお顔。
そこでとっさに、「この大通りの向こうにある高いビルは見えますか? そのビルの右隣です」と言ってみたら、これが通じたのです。
実際には、高層ビルまでは一本道ではなく、あちこちと曲がらないといけないのですが、それでも高層ビルが見えている限り、進むべき方向を見失うことはないはず。このとき「説明は小道からではなく、大通りから伝えることが大事なのだ」と気づいたというわけです。
この場合、大通りの向こうに見える高層ビルを確認してもらったことでそれが目印となり、進んでもらう方向を示すことができました。
さらに「ここから10分で到着します」と、到着までの目安も示してあげれば、相手はもっと安心したでしょう。
このように説明上手は、相手に目印を示し、全体的な見通しを立てられるように伝えます。一方、説明下手は、小道をくまなく伝えようとして、理解を困難にします。