どんなに教養のある人でも乗せられてしまう…トランプ大統領と立花孝志氏に共通する人を確実に騙すトリック

どんなに教養のある人でも乗せられてしまう…トランプ大統領と立花孝志氏に共通する人を確実に騙すトリック

「証拠も論拠もないのに信じてしまう心理」は19世紀に解明されていた

アメリカのトランプ大統領やNHK党の立花孝志氏には、その言動に証拠や確証がなくても呼応する「支持者」がいる。なぜなのか。戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏は「どんなに優秀な人でも、確たる証拠がなくてもあっさりとその言動を信じてしまう簡単なトリックがある」という――。 ※本稿は、山崎雅弘『ウソが勝者となる時代』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

19世紀末に社会心理学者が分析した群衆心理

アメリカのドナルド・トランプやNHK党の立花孝志。

その思考形態や言動には、似通った点が多々あるように思いますが、彼らを取り巻いて応援する支持者の存在も、大きな共通点であろうと思います。

トランプや立花の支持者は、政治家の支持者というよりは熱狂的なファンあるいは崇拝者であり、乱暴な口調で攻撃を煽る「笛」を吹かれると、あたかも最高指導者から命令を受けた兵隊のように、その手が指し示す方角にいる「敵」に集団で襲いかかります。

こうした大衆扇動の恐ろしい光景は、近現代史で幾度も繰り返されてきました。

「群衆は、どんなに不偏不党と想像されるものであっても、多くの場合、何かを期待して注意の集中状態にあるために、暗示にはかかりやすいのである。一度暗示が与えられると、それは、感染によって、ただちにあらゆる頭脳にきざみこまれて、即座に感情の転換を起こすのである。暗示を与えられた者にあっては、固定観念が行為に変化しがちである。宮殿に放火する場合にせよ、あるいは献身的な事業を遂行する場合にせよ、群衆は、同一の無造作をもって、それにうちこむ」

これは、19世紀末にフランスの社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボンが、社会や歴史をしばしば動かす力を持つ「群衆(同一方向へ向かう感情や観念を共有する人間集団)」の心理構造を分析した名著『群衆心理』(櫻井成夫訳 講談社学術文庫)の一節です。

群衆と個人では「同じ人でも行動が変わる」

ル・ボンは、歴史上のさまざまな社会的事例を踏まえ、群衆の性質として「衝動的で、動揺しやすく、昂奮しやすい」「暗示を受けやすく、物事を軽々しく信ずる」「感情が誇張的で、単純である」「偏狭さと横暴さと保守的偏向」「推理する力のないこと、判断力および批判精神を欠いている」などを挙げた上で、一人の人間が「群衆を構成する者」となった時、個人でいる時とは異質な思考と行動の原理に突き動かされるという現象を指摘しました。

「心理的群衆の示す最もきわだった事実は、次のようなことである。すなわち、それを構成する個人の如何を問わず、その生活様式、職業、性格あるいは知力の類似や相違を問わず、単にその個人が群衆になり変わったという事実だけで、その個人に一種の集団精神が与えられるようになる。この精神のために、その個人の感じ方、考え方、行動の仕方が、各自孤立しているときの感じ方、考え方、行動の仕方とは全く異なってくるのである」

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2025.10.05

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