インフレ時代は「銀行預金からお金を逃がす」がベスト…投資歴30年「債券のプロ」が債券よりも勧める「投資先」
元本割れリスクを過度に恐れる必要はない
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物価の価値が上がるインフレ時代にはどのような資産運用を行えばいいのか。レオス・キャピタルワークス債券戦略部長の福室光生さんは「預金や個人向け国債は元本割れのリスクはないが、今のインフレをカバーできる利回りを得られない。『益利回り』を見れば、圧倒的に株式投資の土壌と言える」という――。 ※本稿は、福室光生『投資は金利が9割 運用歴30年のプロが教える「儲ける技術」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「預金」だけではお金の価値は減っていく
現在の日本では、インフレの影響で、預金金利から物価上昇率を差し引いた「実質金利」が大幅にマイナスになっているという事実があります。これは、銀行にお金を預けていても物価上昇に追いつかず、預けたお金の購買力(実質的な価値)がどんどん目減りしてしまう状況にあるということです。
近年、日本でもNISA(少額投資非課税制度)の普及によって資産運用を始める人が増えています。とはいえ「投資は怖いもの」という考え方も根強く残っているように思います。
預金でお金を貯めることにリスクがなかった時代はそれでもよかったのですが、今は「銀行にお金を預けておけば安心だ」とは言えないのです。
金利の動向について学べば、大切な資産を守るため「円預金からの離脱」、つまり預金以外の運用手段も検討する必要性が高まっていることが理解できるようになるでしょう。
今は「円預金からできるだけ逃げること」が必要
一般には、「資産運用をする際は十分な預金を確保しておくべきであり、投資に充てるのは余剰預金だけにすべきだ」と言われます。しかし私は、今は「円預金からできるだけ逃げること」が必要な状況にあると考えています。預金をできるだけ減らし、他の運用手段に資金を移す必要性が高まっていると言っていいでしょう。
預金から資産運用へと踏み出せと言われても、多くの人にとって心理的ハードルは高いでしょう。預金は元本が保証されており、額面上は損失が発生することはありません。一方、運用商品には価格変動がありますから、タイミングによっては元本割れする可能性もあります。「せっかく貯めたお金が減るのは耐えられない」という方に、資産運用はおすすめできません。