だから「低年収男性」と「高年収女性」は結婚できない…「職場婚」がじわじわ減り続けている納得の理由
「結婚相手に求めるもの」で男女差が大きい3項目
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なぜ結婚しない人が増えているのか。雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんは「1990年代後半以降、職場で出会って結婚する人の数が減少している。日本人の未婚化を探るカギとなるのが、この職場婚をめぐる変化だ」という――。 ※本稿は、海老原嗣生『「就職氷河期世代論」のウソ』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。
職場での出会いは増えているはずなのに…
まだ多くの人が気づいていない未婚理由がある。それが、「職場婚がこの30年一貫して減っている」ことの答えにもなる。順を追って説明していくことにしよう。
ひとつめに、職場婚の減少と相いれないデータを図表1とした。これは適齢期の就業者数を男女別に時系列で示したものだ。
出所=『「就職氷河期世代論」のウソ』(扶桑社新書)
2000年と比べて2024年では、どの規模の企業でも職場の男性は減り、女性は増えている。つまり、男女が半々へと、理想的な比率に近づいているのだ。本来なら、職場婚は大いに増えてしかるべきだろう。
にもかかわらず、それは減少の一途だ。この矛盾は何を示しているのか。
女性が結婚しない理由のひとつは「高年収」
この謎を解く鍵として、年収と未婚率の関係を見てみよう。図表2は、30代有業者の年収と未婚率の関係を表した内閣府のレポートだ。
出所=『「就職氷河期世代論」のウソ』
男性では通説どおり、年収と未婚率が逆相関関係であり、低年収者の未婚率が極めて高い。ところが女性は真逆で、女性の低年収者(年収200万円未満)は極めて未婚率が低い。年収200万円台から、未婚率はほぼ横ばいとなって、高年収でもほとんど下がらない。
つまり、女性にとって未婚要因のひとつは、貧困ではなく、高収入であることがわかるだろう。行政は、この点を長らく見落としてきた。