問題を起こした芸能人を「排除」するだけでいいのか…ハラスメント加害者に「やり直す権利」を認めるべき理由

問題を起こした芸能人を「排除」するだけでいいのか…ハラスメント加害者に「やり直す権利」を認めるべき理由

中居正広氏が2025年1月に自身の性加害報道を受けて引退を発表。フジテレビ第三者委員会の報告書でも性暴力が認定され、彼が芸能界に戻る日は来ないと見られている。日本芸能従事者協会で「ハラスメント加害者更生プログラム」を始めた森崎めぐみさんは「加害者もグループワークでこれまでの自分を振り返り、ハラスメントしない人に変わることはできる」という――。

いったい誰が「性加害事件再発防止」の責任を負うべきか

――芸能界における性加害事件の再発防止策としては、「密室での打ち合わせを禁止する」というルール作りのほかに、所属事務所がタレントに人権についての教育をする必要があるでしょうか。

【森崎めぐみ、以下・森崎】もちろんした方がいいですが、タレントはあくまで個人事業主で事務所の社員ではありません。たとえ会社員でも、人権教育が行き届きにくいところで、実際問題、事務所はそこまでできるかどうかは未知数だと思います。

また、中居さんもそうだったのではないかと推測しますが、芸能界の通例で、大手の事務所から独立すると、自分で事務所を立ち上げたり、同族会社を設立することが多いと思います。広末涼子さんも、おそらくそうですね。一般的に個人事務所は企業とは交渉力に差があると言われます。そういった意味で、大企業のテレビ局と対等な交渉をするのは難しい場合もあるかもしれません。

テレビ番組は、一般企業がスポンサーですから、出演者がサプライチェーンの一環であると考えると、芸能事務所を下請け業者と認識して責任体制を考えたり、フリーランス法などに基づいたルール作りをしてもいいのではないかと思います。

テレビ局やスポンサー、一般企業にとってもひとごとではない

――芸能人が精神的なケアを必要としている場合、誰がそれをすべきなのでしょうか?

【森崎】ここ数年で、一般企業でストレスチェックが義務化され、50人以下の中小企業にも広がる可能性があります。すでに昨年、厚生労働省が出した個人事業者等の健康管理のガイドラインでは、メンタル不調の予防が推奨されています。芸能界で働くフリーランスも対象と言えるでしょう。

特にこの業界で働く人は事業基盤が脆弱で、「次に仕事が来るだろうか」などと不安を抱く傾向が高いので、当然ストレス対策をするべきで、疲労蓄積度セルフチェックもする必要があると思います。

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2025.05.02

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