だからキーエンスには「売れない営業マン」がいない…トップ営業が教える「成果を爆上げするための型」
Profile
安定した成果をあげ続ける組織は何が違うか。キーエンスとプルデンシャルでトップの成績を残したSales Navi 代表取締役の田中大貴さんは「キーエンスではでき上がっていた営業の型通りに営業すれば、一定以上の成果をあげることができる。営業パーソンそれぞれの個性や強みを発揮するためにも、ある一定水準の営業力が必要だ」という――。 ※本稿は、田中大貴『売れる組織 売れる営業』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
営業職、医師、美容師…いずれも専門職なのにここまで違う
営業職は、誰にでもできる仕事と思っていないでしょうか。
それは誤解です。私は、営業職は専門職のひとつだと捉えています。にもかかわらず、営業職を独り立ちさせる教育環境はほとんど整っていません。そこに、営業パーソンの苦悩する原因があると思っています。
営業職と医師、美容師を比較してみましょう。
まずは医師です。大学医学部で6年間の教育を受け、卒業後に医師国家試験に合格すれば医師免許を取得することができます。
医師免許を取得してはじめて、研修医(旧初期研修医)として2年間、専攻医(旧後期研修医)として3年間の経験を積むことができます。いわゆるOJTのようなものです。
5年間の経験を積むと、専門医試験の受験資格を手にすることができます。その専門医試験に合格して、ようやく一人前とみなされます。
大学受験から始まる高難度の試験をクリアし、高度に整備された研修制度による学びを経て、人の命を扱う業務に従事することができます。
一方、美容師になるには厚生労働大臣、または都道府県知事の指定した美容学校で2年間の課程を修了(通信課程は3年間)する必要があります。修了すると、美容師国家試験の筆記試験、実技試験の受験資格が得られます。
筆記試験、実技試験ともに合格してはじめて、美容師免許を取得して美容師名簿に登録することができます。
多くの美容師はサロン勤務となりますが、すぐに顧客の髪の毛をカットできるわけではありません。先輩美容師からの指導のもと、アシスタントとしてトレーニングを積みます。
現場における試験をクリアしてはじめて、ようやく顧客の施術ができる。そのために日ごろから勉強と練習を重ね、合格してようやく独り立ちできます。
それに対して、営業職には医師や美容師のような資格や免許は必要ありません。必然的に、教育体制も整っていません。多くの営業パーソンは四年制大学を卒業後に就職し、その企業で営業職に就きます。