「なぜ僕だけ乗れないの?」両腕がない男の子の涙が忘れられない…元ディズニー社員がその後とった行動

「なぜ僕だけ乗れないの?」両腕がない男の子の涙が忘れられない…元ディズニー社員がその後とった行動

先行きが不透明な現代。後悔せず幸せに生きていくにはどうしたらいいのか。元オリエンタルランド社員でソコリキ教育研究所代表の大住力さんは「ディズニーランドから学んだ経験が今も役に立っている。まずは、キャスト時代に働き方や生き方が変わるきっかけとなった、両腕がないゲストの話を紹介しよう」という――。 ※本稿は、大住力『残り30年ジャーニー 悔いなき人生を歩むための50の教え』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

「会社のルールは変えられない」は本当か?

オフィス街で昼の12時くらいの時間帯を歩いていると、ビジネスパーソンがランチタイムでビルからたくさん出てきます。

会社のルールがあるのでしょうが、人によって朝起きる時間も、朝食の時間も違うわけですし、仕事の進み具合もそれぞれ異なるにもかかわらず、多くの人が同じ時間にランチをすることに違和感を覚えます。

当然ですが、みんなが同じ時間に同じ行動をするから、お店も混み合って誰も快適に過ごすことができません。人気の店は行列ができるほどですから、時間だって余計にかかるでしょう。そこにメリットはないように感じますが、誰もルールを変えようとしないのは、流れに身を任せていれば、自分で判断しなくていいので楽だからかもしれません。

楽の代償として、いまの世の中は、自分で考え判断する力が奪われているように思えて仕方ありません。しかし、本来は「そういうものだ」「前からそうなっている」という慣習や先入観、世の中の常識を疑うことからしか、イノベーションは生まれません。

「会社のルールは変えられない」と思っているのかもしれませんが、変えることは可能です。わたしはオリエンタルランド社時代、それを実際に経験し、自信を得たことがありました。

「カヌーに乗りたい」とやって来た両腕がないゲスト

わたしがオリエンタルランド社に入社して最初に配属されたのは、ジャングルクルーズの船長、ウエスタンリバー鉄道の車掌、カヌーの3つのアトラクションを担当するチームでした。

東京ディズニーランドで働くスタッフは、9割がアルバイトです。このチームには40人ほどが在籍していましたが、社員はたったの4人だけ。新入社員とはいえ、トラブルなどが起こったときの最終決断は、社員であるわたしが行うことになっていました。

ある夏の日、夕立が上がったあと、雨で中断していたカヌーを再開しようとしていたときのことです。

東京ディズニーランドのロゴが入った真っ赤なポンチョを着た男の子が、カヌー乗り場へ走ってきました。ポンチョで隠れていましたが、実はその男の子は両腕がなかったのです。

当時のカヌーは両手でオールを持てないゲストは乗船できないというルールがありました。ですから、「ごめんね、僕。カヌーには乗れないんだよ」とキャストは男の子に伝えたそうです。

すると男の子は、「どうしてみんな乗っているのに僕だけ乗れないの?」と大泣きしてしまいました。母親に事情を説明して理解してもらえましたが、男の子はしばらく泣き続けていました。

わたしも個人的には乗せてあげたい気持ちがありましたが、新入社員のわたしの一存でルールを変えることはできません。「これは仕方ないことなんだ」と自分に言い聞かせました。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-240910-12822730

2025.05.03

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