ネットに公開されたデータから地価が"化ける"街を見抜ける…プロが名前を挙げる「東京23区の穴場エリア」
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地価を見極めるためにはどうすればいいか。エコノミストの崔真淑さんは「土地リテラシーを身に付けると、賃貸から購入まで不動産をめぐるさまざまなシーンで有利になる。3つのポイントを掛け合わせると、『ホントの地価』が見えてくる」という――。
この土地、ホントはおいくらか
「え、この土地、そんなにするの?」
不動産の話題でよく聞かれるセリフです。特に都市部における地価の上昇は、もはや驚きの連続と言っても過言ではありません。当連載で前回述べたように、2025年の公示地価は全国平均で前年比2.7%上昇。東京都23区に至っては、なんと9%超えとなりました(*1)。
ですが、問題はここから。
「自分が住んでいる場所ってホントはどうなの?」
「この街、将来的に“アリ”なの?」
「人気のエリアをお買い得で手に入れるにはどうすればいいの?」
そんな実用的な問いには、なかなか答えが見つかりません。そう、地価とは“調べた人にしか見えてこない”モノなのです。
そこで今回は、私が実際に使っている「地価を見極める虎の巻」をご紹介します。キーワードは3つ――「REIT」「公的指標」「生活感覚」。この3つを掛け算すると、“ホントの地価”が浮かび上がってきます。これを知っているだけで、賃貸から購入まで不動産のさまざまな交渉シーンが有利になる、いわば「土地リテラシー」なのです。
プロの本音が透けて見える「REIT」
まず、REIT(不動産投資信託)を見てみましょう。REITとは、複数の不動産をパッケージ化し、証券取引所で売買できるようにした金融商品です。じつはこれ、不動産価格の“プロの目利き”が詰まった貴重な情報源でもあるのです。
たとえば、「日本ビルファンド投資法人」や「ジャパンリアルエステイト投資法人」など、東京のオフィスビルを主な資産とするREITの価格動向を見れば、都心の商業地の需給バランスや将来の地価予想がある程度わかります。
また、「住宅型REIT」では、郊外の住宅地がどのように注目されているかが透けて見えてきます。実際、コロナ禍以降に人気が再燃している“駅から遠いけど広くて安い”エリアの脚光などもREITを通じて見えてきます。いわばREITとは、「プロがいま、どのエリアを“買い”と見ているか」を反映したマーケットの声なのです。
*1 土地価格相場が分かる土地代データ「東京23区の土地価格相場・公示地価・基準地価マップ・都内23区ランキング、2025年」