旅行が一瞬で台無しになる…海外紙が警告「アメリカの空港で続く"スマホ検査"の異様な実態」
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アメリカ入国時、スマートフォンのロック解除を求められるケースが増加している。中身を詳細に調べられるだけでなく、専門機器でデータを抽出され、15年間も保存される恐れがある。海外紙はスマホ検査の実態を報じている――。
トランプ政権下で厳格になった入国審査
旅行に最適なゴールデンウィークが到来する。アメリカ旅行や、アメリカの空港で入国を伴う乗り継ぎを計画されている方は、スマホのデータの護身術を覚えておきたい。
ワシントン・ポスト紙によると、空港で入国審査を実施する税関・国境警備局(CBP)職員からスマホのロック解除を求められ、中身を調べられるケースが増加している。トランプ政権下で入国審査が厳格化され、デバイス内のデータチェックが強化されているためだ。
入国審査場で「二次検査」に選ばれると、旅行者は別室に案内される。そこでCBP職員から「デバイスを検査する必要がある」と告げられ、スマホやラップトップのロック解除を求められる。
CBPの検査には主に2種類ある。第1段階の「基本的な検査」では、係官が直接デバイスを操作し、プライベートな写真やメッセージ、ブラウザ履歴などを目視で確認する。特別な機器を使わない検査であり、疑いを向ける合理的な根拠が特段なくとも実施できることになっている。
第2段階ではスマホのデータを吸い上げられる
第2段階は「高度な検査」で、専用の機器をスマホに接続してデータを吸い上げる。削除されたファイルの復元や暗号化データの解析も可能だ。高度な検査は通常、「合理的な疑い」がある場合に実施されるが、「国家安全保障上の懸念」が生じた場合にも適用できる例外規定が存在する。事実上、あやしいと直感されれば、誰でも検査の対象となるおそれがある。
高度な検査で抽出されたデータは、米政府のデータベースに15年間保存される。このデータベースは、令状なしで多数のCBP職員が検索可能だ。つまり、一度高度な検査を受けると、写真、メッセージ、連絡先、ブラウザ履歴、SNSの投稿など、あらゆるプライベートな情報が15年間にわたってアメリカ政府のデータベースに保存され、多くの職員の目にさらされる状態になる。