ChatGPTよりずっとすごい…孫正義氏が「10年以内に生活がガラッと変わる」と言い切った"次にくるAI"の正体
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AIはこれからどう進化していくのか。サイエンス作家の竹内薫さんは「人間の喜怒哀楽を自ら学習して理解する汎用人工知能AGIが注目されている。ソフトバンクの孫正義さんは『AGIは10年以内に実現する』と予言している」という――。 ※本稿は、竹内薫『スーパーAIが人間を超える日 汎用人工知能AGI時代の生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
人間の感情を理解するスーパーAI
近年、AI(人工知能)はこれまでにはない急激なスピードで進化し、私たちの暮らしやビジネスにおいて身近なものになりました。
さらなる進化が期待されるAIの中でも、いま特に注目を集めているのが「AGI(汎用人工知能)」です。
AGIとは「Artificial General Intelligence」の略称で、人間のような高度で幅広い知能を持つ、極めて汎用性の高いAIです。
AGIが従来のAIと大きく異なるのは、まるで人間のように思考し、なおかつ人間の感情を理解する能力を持っていること。本来人間が持つ「喜怒哀楽」といった特有の感情を学習しながら自ら進化できる。まさに、万能型の「スーパーAI」とでもいうべき存在がAGIなのです。
例えば、仕事をしているあなたの顔色や声のトーンから疲労度を察知してコーヒーを淹れてくれたり、肩が凝ったなという表情や動作を察知してマッサージをしてくれたりするヒューマノイド型AIを想像したら、何だかワクワクしてきませんか。
あるいは、今日は子どもの誕生日だから残業せずに早く家に帰りたいといったときに、
「今日はお子さんの誕生日ですね。あとの仕事はお任せください」とその日のうちに片づけなければならないタスクをAIが引き受けてくれたら、「なんて気配りができるAIだ!」と、最高のビジネスパートナーとして迎え入れるのではないでしょうか。
AGIはある特定のタスクをこなす従来の特化型AIとは異なり、ありとあらゆる知的活動をこなすことができるため、その応用範囲は計り知れないといわれています。このような能力をビジネスや日々の生活に応用すれば、AGIは私たちが生きるこの世界に大きな革命をもたらす可能性があるのです。
AGIで私たちの未来はどう変わるのか?
「コーヒーを淹れてくれるだけのAIなら、あまり役に立たないのでは?」
そんな声も聞こえてきそうですね。では、AGIがいったいどのようにビジネスで役立つのかについて、もう少し深く切り込んでみましょう。
人間のような高度で幅広い知能を持ちながら感情を理解する能力を持っているAIと聞いて、まず思いつくのがコミュニケーションの領域です。AGIが実現すると、より人間に近いコミュニケーションが可能となります。
AIによるコミュニケーションと聞いて、皆さんが真っ先に頭に浮かべるのは、「ChatGPT」ではないでしょうか。
もはや説明は不要かもしれませんが、ChatGPTはアメリカのオープンAI(OpenAI)が開発・提供している対話型のAIサービスです。2025年2月時点で全世界のユーザー数はおよそ4億人を超えたと推計されています。
皆さんのなかにも、「ChatGPTを使ったことがある」という方も多いと思いますが、ChatGPTはあくまでも人間からの質問に対して答えを導き出しているAIに過ぎません。いわゆる「生成AI」というものです。
一方で、AGIは人間と変わらない対話が可能になると期待されています。
わかりやすい例でいえば、カスタマーサポートやコールセンターです。従来のAIでは、顧客のクレームなどに対して極めてマニュアル的な対応しかできず、ときに火に油を注いでしまうケースも少なくありませんでした。
ところが、AGIは顧客のクレームに対して顧客の感情を読み取るので、最適なソリューションを提供することが可能になります。顧客の気持ちを瞬時に酌み取ることができる、いわば「忖度できる」AIがAGIなのです。