創業者は社食でいつも肉うどんを食べた…業界脅威の営業利益率誇る広島のスーパー「ゆめタウン」高収益の秘密

創業者は社食でいつも肉うどんを食べた…業界脅威の営業利益率誇る広島のスーパー「ゆめタウン」高収益の秘密

売上高営業利益率は4.9%と、スーパー業界では異例の高水準を維持しているイズミ。人件費や光熱費の上昇に加え、M&Aも積極的に進める同社がなぜ、高収益を保てるのか。流通科学大学白鳥和生教授が分析した――。

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ゆめタウン井原(写真=ポトリ/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

イオンとならぶ西日本の雄にシステムトラブルが

2024年2月、広島市に本社を置く総合スーパーのイズミは、突如として事業継続を揺るがす危機に直面した。ランサムウェアによるサイバー攻撃で、発注システムが停止。売上管理や販促計画、アプリサービスに至るまで、企業の屋台骨である情報インフラが麻痺した。イオンと並ぶ大型ショッピングセンター「ゆめタウン」を展開する西日本の雄に突きつけられた「現代型災害」の洗礼──それを乗り越え、イズミはいまNSC(近隣型ショッピングセンター)への集中投資と福岡エリアの深耕によって“第二創業”に挑んでいる。

ランサムウェアとは、企業や組織のコンピュータに侵入し、ファイルやシステムを強制的に暗号化。解除の“鍵”と引き換えに「身代金(ランサム)」を要求するサイバー攻撃だ。特定のファイルだけでなく、物流、発注、給与など業務全体を人質に取るケースもあり、近年は流通・医療・行政などインフラ性の高い業界が狙われる傾向にある。被害が発覚しても、業務再開までには数週間から数カ月を要し、業績・信用・開示体制すべてに深刻な影響を与える。2024年2月のイズミの被害も、まさにその典型だった。

売上過去最高の一方で…

イズミの2025年2月期連結業績は、営業収益5241億円と過去最高を更新した一方で、営業利益は254億円(前期比19.1%減)、当期純利益は119億円(41.8%減)と大幅減益となった。最大の要因は、2024年2月のランサムウェア被害だ。発注や売上分析などの基幹システムが止まり、販売機会の逸失、販促活動の停止、アプリ連携の停止など、あらゆる機能が麻痺した。

第1四半期(1Q)だけで営業利益への影響は約29億円に及び、その内訳は売上総利益の減少が約35億円、営業収入の減少が約1億円、さらに経費面で約7億円の負担が発生した。

さらに、同年度には減損損失として約74億円を計上したことも、純利益の大幅減に拍車をかけた。これらは一過性要因ではあるが、サイバー攻撃が企業の決算やガバナンス体制にまで深く影響を及ぼす現代的なリスクであることを浮き彫りにした。

広島では圧倒的有名な「ゆめタウン」

1961年に広島市で衣料品店「イズミストアー」として創業した同社は、1983年に基幹業態となる「ゆめタウン」1号店(出雲市)を開業。中四国・九州にドミナント出店を進め、「地域の生活インフラ」として定着。イズミといえば、やはり「ゆめタウン」ブランドに象徴される郊外型ショッピングセンターの雄だ。中四国や九州ではイオンモールと並ぶ競争力を持ち、多くの地域で“生活の核”として存在感を示す。食品から衣料、サービス、飲食までを取り揃えた“地域密着型GMSモール”として存在感を発揮する。

イオンの売り場とはここが違う

イオンの大型ショッピングセンターは直線的な通路をテナントが取り囲み、モールの端に直営売り場(イオンスタイル)を配置するのに対し、イズミのゆめタウンは直営売り場を取り囲むように専門店が配置している。売り場の連続性を出すため直営とテナントの境界を曖昧にしているのが特徴だ。

その一方で、イズミが新たな成長エンジンとして注力するのがNSC(近隣型ショッピングセンター)だ。熊本県合志市で開業した「ゆめモール合志」や、広島市内の「ゆめモール五日市」などがその代表例だ。

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2025.04.29

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