ジャリッと食感に感動する…鳥取砂丘隣で移住31歳が"砂を食べて開発"1日3000個売れる「砂プリン」の絶妙砂感

ジャリッと食感に感動する…鳥取砂丘隣で移住31歳が"砂を食べて開発"1日3000個売れる「砂プリン」の絶妙砂感

鳥取砂丘から徒歩30秒の商店街の一角にその店はある。主力商品は「砂プリン」。1日3000個も売れる名物はいかにして誰によって作られたのか。そもそも、なぜ鳥取でプリンなのか。フリーランスライターの野内菜々さんが現地で取材した――。

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2022年日本経済新聞のご当地プリンランキング全国1位を獲得した「砂プリン」、1個450円税込(店頭価格)

人口最少の鳥取県で、1日3000個のプリンを販売

約53万人……47都道府県で最も人口が少ない県、鳥取。人口減少に歯止めがかからないこの県だからこそ逆にチャンスがあると、都会から移住・起業した若者がいる。OMOI代表の川村諒志さん(31)だ。

手がけた商品は、プリン。コロナ禍にかかわらず、開店初日は200人もの行列ができ、2022年日本経済新聞のご当地プリンランキング1位に選ばれた。昨年のゴールデンウイークには1日3000個を売り上げ、新たな鳥取名物になっている。

コンサル会社出身の川村さんがなぜ、このようなスーパーヒットを生み出せたのか。そもそも、なぜ鳥取でプリンなのか。行列のできるプリンははたしてどんな味なのか。現地で取材した。

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OMOI代表の川村諒志さんは愛知県出身。25歳で縁もゆかりもない鳥取に移住し起業した

食コンサルの、理想と現実のギャップ

川村さんが2005年に大学を卒業して入社したのは、大手コンサル企業の船井総合研究所だ。

大学時代に交際していた女性の情緒が不安定になり、何とか力になりたいと手当たり次第に本を読んだ川村さんは時間があれば図書館にこもり、夜になるまで本を読みふけった。年間1000冊ペースで読破した中で、めぐりあったのが経営コンサルタント・船井幸雄氏の本。その考えに共感し、ぜひ船井氏の会社で働いてみたいと思ったのだ。

第一志望で入社した同社での仕事内容は多岐にわたった。市場リサーチ、トレンド観察、店舗調査、ヒット商品の背景研究、売上アップ戦略立案……夜が明けるまで資料を作り込んだ。

しかし、みなぎる意欲が裏目に出る。同時に8つのプロジェクトを抱えてしまったことで、提案書の作り込みが甘い、納期に間に合わないといったミスを連発。どれも中途半端になり、上司から叱責を受けた。

「自分はできるという自信があったんです。でも全然ダメでした」

会社の方針で、最終的には数あるコンサルのジャンルの中から1つに絞ることになっていた。1年後、川村さんは「食」に特化することを決める。なぜなら、食は暮らしのなかでも最も身近であり、自身も旅先で道の駅などに並ぶ特産品を見るのが楽しかったからだ。

もともと地域の特徴から着想する商品企画を練るのは得意だった。例えば海。通常特産品として想起するのは魚などの海鮮物だが、もう少し発展させて海の色を表現した映えるスイーツを作るといった具合だ。

どんな商品をつくり、どう味や形を設計し、いかにして売るのか。かつてよく見ていたテレビ番組「ガイアの夜明け」に登場する小売業の一連のプロセスを、自分で構築できるようになっていた川村さんは、4年で店舗プロデュース30軒、新ブランド立ち上げ20軒という豊富な実績を積んだ。

しかし、同時に煮え切らない気持ちも感じていた。地方で食ブランドを打つ際、地場食材の使用が売上につながることが多い。一方、原価が高い、手間がかかるなどの理由で、地場食材を取り扱ってもらえない現実にぶつかった。

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2025.04.11

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