「置き配」が盗まれても泣き寝入りするしかない…「身近にいる犯人」から荷物を守る"4つの自己防衛策"
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外出中でも自宅前に荷物が届く「置き配」の利用者が増えている。物流ジャーナリストの坂田良平さんは「宅配業者にとっても再配達削減と省力化というメリットがあるが、残念ながら良いことばかりではない。盗難や破損のリスクがあることも十分理解したうえで、賢く利用する必要がある」という――。
「盗まれた」報告は氷山の一角?
置き配の盗難事件が、じわじわと増えているらしい。
「らしい」というあいまいな表現をしたのは、警察庁など、公の機関が宅配の盗難事件だけを抜粋した統計データを公表していないからだ。
しかし、SNSをはじめとするネット上では、EC・通販などで注文し、置き配指定を行った荷物が盗まれてしまったという声が増えているようだ。
結論から言えば、置き配を100%安全な状態で利用する方法は存在しない。
本稿では、置き配盗難の犯人像、置き配のリスクを考察し、できる限り安全・安心に置き配を利用する方法を考えよう。
犯人はあなたのそばにいるかもしれない
置き配盗難における被害者の声をネット上で調べていくと、少し気味が悪いことに気がつく。例えば以下のようなケースである。
何度も置き配盗難の被害にあった集合住宅の住人が、犯人を捕まえるために架空の置き配荷物を用意し、その荷物内に追跡機器を忍ばせた。すると、同じ集合住宅の住民が犯人であることが判明した。
置き配盗難の被害にあった住民が、家の前に「荷物を返してくれれば警察には届け出ない」という旨の掲示を行ったところ、翌日荷物が返ってきた。
これらのケースは、置き配盗難の犯人が常習的犯罪者ではなく、「つい出来心で」窃盗を行ってしまった普通の人である可能性を示唆している。
犯罪機会論という考え方がある。
これは、犯罪の原因を個人の資質や性格ではなく、「犯罪が起きやすい状況や環境」に求める考え方である。
目の前に置き配荷物が無防備に置かれていれば、出来心で置き配荷物を窃盗してしまう人も出てくるだろう。
そして一度目の窃盗における成功体験は、犯人の心のなかにおける窃盗行為に対する罪悪感や抵抗感を薄れさせ、二度目、三度目の窃盗行為につながることがある。
先に挙げた前者のエピソード、集合住宅における置き配窃盗は、これに該当するのではないか?