頭のいい人はなぜ厳しい締め切りも余裕なのか…一瞬で「すぐ行動できる人」に生まれ変わるとっておきの方法
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先延ばしグセの解決策はあるか。医師でインフルエンサーのアリ・アブダールさんは「クセの根本にあるのは恐怖心だ。この感情自体は避けられないが、心のメカニズムを知ることで、克服することはできる」という――。 ※本稿は、アリ・アブダール『Feel Good 快適な努力で最高の成果を上げる方法』(東洋館出版社)の一部を再編集したものです。
人前で歌を歌うのが怖かった
ステージライトの輝きがアリーナを照らし始める。アデルの手のひらは汗でじっとりと湿っていた。これから数千人の観客の前に飛び出していかなければならない。何度か同じような経験はあった。でも今回は怖かった。大観衆の前でパフォーマンスをすることへの恐怖に、飲み込まれてしまいそうだ。
世界的なスターになる前、才能のあるアーティストだったアデルは、人前でパフォーマンスすることへの恐怖を克服できずに苦しんでいた。後の人生を一変させることになる、恐怖を克服するテクニックに出会ったのは、不安のために歌手としてのキャリアが台無しになりそうになっていた、若き日のコンサートの最中だった。
ヒントになったのは伝説のシンガー、ビヨンセだった。
ビヨンセの別人格「サーシャ・フィアース」
2008年、ビヨンセは3枚目のスタジオ・アルバムに、自身の別人格である「サーシャ・フィアース」にちなんだタイトルを付けた。ビヨンセは、サーシャ・フィアースは、ステージ上で自信に満ち、エネルギッシュで、抑制から解放されるためのペルソナだと語った。
「サーシャ・フィアースは、私がアーティストとしての仕事をしているとき、ステージにいるときに出てくる、楽しくて、官能的で、積極的で、率直で、魅力的な自分自身の側面なの」
ビヨンセに触発されたアデルは、サーシャ・フィアースと伝説のカントリー歌手ジューン・カーターを融合させた、「サーシャ・カーター」という自らの分身をつくった。サーシャ・カーターは、アデルがステージで熱望していたものをすべて体現する存在だ。恐れを知らず、大胆不敵で、自信に満ち溢れている。
サーシャ・カーターというペルソナになりきることで、アデルは恐怖を脇に置き、いつも夢見ていた、自信に満ちたパワフルなパフォーマーに変身できた。