「今日は運動会!」はNG?子ども写真のSNS投稿で知っておきたい5つのこと
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小学生の約半数がスマホを持つ時代、テクノロジーの恩恵の裏に隠れるリスクをどこまで把握していますか? コミックエッセイストのハラユキさんといっしょに、いま保護者が知っておきたいネットリテラシーを専門家に伺う企画。今回は、ITジャーナリストの三上洋さんに、子どもの写真をSNSで公開するリスクについて伺いました。後編では、SNS投稿で特に注意したいポイントを教えていただきます。
▼▼▼前編はこちら▼▼▼
子ども写真のSNS投稿で押さえたい5つのポイント
前編でもお話したように、SNSに子どもを載せるかどうかについては、それが児童ポルノにあたらない限り、明確な判断基準はありません。
リスクがある一方で、メリットもあるので、一概に「NG」とするよりは、家庭ごとにルールを作るのがいいでしょう。
そのルールを決めるためにも知っておきたい、SNS投稿の注意点をご説明します。
①リアルタイム投稿はしない
楽しい出来事も、不安な出来事も、それが起きたらすぐに投稿したくなるもの。でも、自分の身に起きたことをリアルタイムで投稿すると、個人情報特定のリスクが上がります。
たとえば、地震や雷などの自然災害があると、「うわっ、今の揺れで震度4!?」「雷鳴ってる……」などとつい書き込んでしまいがちです。
たった一度の書き込みだけで住所を特定できるとは言いませんが、これらの情報をくり返し投稿していけば、日時と災害情報が蓄積していきます。
もしその投稿者の住所を特定したい人がいる場合、雨雲レーダーや震度データベース検索で、SNSに投稿された情報を入力していけば、投稿者の生活エリアを絞っていくことができます。
また、「今日は運動会!」など、子どもの学校行事に関する書き込みにも注意が必要です。その日に運動会が開催された地域を調べるのは、むずかしいことではありません。
これらの例から、具体的な出来事を書き込む場合は、数時間~数日寝かせるのがベターだと言えます。
さらに、これはレアケースではありますが、わざと風変わりな落としものをして、それを他人がSNSに投稿するのを狙う人がいます。
たとえ、道端に「SNS受け」しそうなものが落ちていても、反射的に投稿しないほうが安全です。
②背景が写らないよう工夫する
子どもを撮った写真の背景は、なるべく何も写っていない状態が望ましいでしょう。
背景に写りこんだ壁やマンションのエントランス、室内であれば窓の位置や外の景色。これらと賃貸検索サイトの情報などを照合して、その物件を特定できてしまうからです。
ちなみに、写真以上に住所を特定しやすいのが、自宅での動画のリアルタイム配信です。
動画は写真よりも画面に入り込む情報が多く、窓の外に写る景色や影の角度が写れば、容易におおよその地域を絞ることができます。
また、これは背景ではありませんが、何気なくアップした買い物の写真も場所の特定につながります。
スーパーで買ってきた野菜や肉を撮って「これからカレーを作ります!」とあげたとしましょう。写り込んだ値段シールにスーパーの名前が印字されていれば、それだけで投稿者の生活圏が把握できます。
③非公開アカウントを使用する
ほとんどのSNSでは、公開範囲を自分で選択できます。
子どもの写真をあげる場合には、「鍵アカ」と呼ばれる非公開設定のアカウントを使用し、信頼のおける知人友人のみが見られる設定にすれば、悪用される可能性は下がるでしょう。
また、Facebookなどは投稿ごとに見られる人を決めることもできるので、より個人的な発信をする場合は見られる範囲を調整するのもひとつの手でしょう。
④顔が見えないように加工する
子どもの顔部分をスタンプなどで隠せば、現時点ではまず安心と言えるでしょう。
投稿者に子どもがいることや子どもの性別などは写真からわかりますが、それくらいであれば問題ないと判断する人が多いのではないでしょうか。
2022年の時点では、スタンプを除去して顔を確認する技術はないと言っていいと思います。
⑤名前を載せない
写真そのものの話からは少しずれますが、子どもの本名を公開するのは避けたほうがいいかと思います。
特に、投稿者本人の名字を明らかにしている場合であれば、子どもの下の名前を書くと本名が丸ごとわかってしまいます。
SNS上での子どもの呼び方は、ニックネーム、あるいは「長女」「次男」などにしておくのが無難でしょう。
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<漫画>ハラユキ
<取材>ハラユキ、KIDSNA編集部
<執筆>KIDSNA編集部