将来子どもに訴えられる?親が子どもの写真をSNSで公開するリスク

将来子どもに訴えられる?親が子どもの写真をSNSで公開するリスク

2022.07.25

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ハラユキ

ハラユキ

コミックエッセイスト/イラストレーター

コミックエッセイスト&イラストレーター。 おいしいごはんとお風呂屋さんと祭りが好き。近著に、国内外の多様な家族を取材し、その家事育児分担とコミュニケーションをまとめた『ほしいのはつかれない家族』(講談社)。

小学生の約半数がスマホを持つ時代、テクノロジーの恩恵の裏に隠れるリスクをどこまで把握していますか? コミックエッセイストのハラユキさんといっしょに、いま保護者が知っておきたいネットリテラシーを専門家に伺う企画。今回は、ITジャーナリストの三上洋さんに、子どもの写真をSNSで公開するリスクについて伺いました。

先日、有名女性漫画家の長女が公開したブログが大きな波紋を呼びました。

そのブログに綴られていたのは、人気漫画家の母親が、自分に断りなく、本名、仕事歴、見た目、病などのプライバシーを漫画にして発表したことへの非難でした。

今回の件をきっかけに、発信力のある著名人が子どものプライバシーを公開する是非が問われましたが、今や誰もがスマホで写真を撮り、SNSで公開できる時代。

この件はもはや著名人以外にも無関係ではなく、私たちひとりひとりが子どものプライバシーについて考える必要があるといえるでしょう。

欧米などでは、子どもの写真を親が公開することが「シェアレンティング」(share<共有>とparenting<子育て>を掛け合わせた言葉)と呼ばれ、すでに問題視されています。

一方、明確なルールが共有されていない日本で、子育て中のママパパは子どもの写真をどのように扱っているのでしょうか。

子どもの写真のSNS公開について、KIDSNA読者のみなさんを対象にアンケートを実施しました。

【調査概要】

・保護者を対象にアンケート調査を実施

・調査期間:2022年6月7日~6月11日

・回答数:357人


アンケートから、70%を超える保護者が子どもの写真をSNSに公開し、そのうち75%は子どもの顔をそのまま載せていることがわかりました。

また、約半数の方が使用するアカウントは公開設定(誰でも見られる状態)でした。

子どもの写真をSNSにアップすることへの意見や疑問もいくつかご紹介します。

子どもが小学生になったら、顔出しの写真を公開するのはやめようと思ってます

子どもが大きくなると、顔を隠す加工をする人が多い。やはり隠した方がいいのかと疑問に思います

子どもの顔写真をSNSにアップするなら、横顔までのほうが安心します

また、「子どもの写真をSNSに公開しない」と回答した方に、その理由を伺いました。

小さい子どもであっても、プライベートを晒すのは怖いので

子どもの顔写真を晒すと、犯罪リスクが増加すると聞いたことがあります

 
 

以前はしていましたが、子どもの学年が上がってからはしなくなりました。赤ちゃんの頃とは違い、顔の変化が減り、個人を特定しやすくなったのが理由です

このように子どもの写真の扱い方にはさまざまな意見が見受けられました。

ここからはコミックエッセイストのハラユキさんと一緒に、専門家にお話を伺います。

 
 

SNSでの子ども公開、知っておきたいリスク

子どもの写真をSNSに公開することには、いくつかのリスクが伴います。

まず、小児性愛者(幼児・小児を性の対象とする人たち)が子どもの写真を性的な目線で収集することが考えられます。

彼らは、主にInstagramのハッシュタグを使って写真を検索します。

たとえば、「#〇才」「#七五三」「#入学」「#プール」「#夏休み」などは、子どもの写真である可能性が高いハッシュタグです。

また、「#トイレトレーニング」「#おむつ」などで露出の高い写真を検索する人もいます。

 
※写真はイメージ(iStock.com/playb)

ちなみに、オーストリアでは、幼少期におむつを交換されている写真をFacebookに公開し続けた父親を、10代になった少女が訴えた事件もあります。

次にお話ししたいのが、親子の個人情報漏えいのリスクです。

子どもを写した写真の背景、あるいは写真に添えられた文章などが数多く公開されていればいるほど、投稿者の住所、勤め先、子どもの保育園などを特定できる可能性が高まります。

極端な例だと思われるかもしれませんが、SNSの情報から特定した個人情報をたよりに、子どもを誘拐することも不可能とは言い切れません。

また、将来いじめのターゲットになってしまったとき、過去に親がSNSに公開した幼少の頃の写真を探し当て、それを悪用することも考えられます。

いじめる側が本人になりすましたアカウントを作り、そこに過去の写真、さらには悪意ある加工を施した写真を無断掲載する例があります。

※写真はイメージ(iStock.com/sestovic)

これらが、子どもの写真をSNSで公開するリスクとして考えられることです。

しかし、いち専門家として考えた時に、「だから、子どもの写真は一切SNSに載せるのを控えましょう」という結論を出すのも違うのではないか、と思っています。

リスクを把握することはもちろん大事ですが、その一方でもちろんメリットもあるからです。

子育ての最中は、どうしても子どもが生活の中心になります。そこで、子どものことをSNSにあげれば、同世代の子どもを持つ保護者同士でつながれるかもしれない。子育て中は孤独に陥りやすいので、これは大きなメリットでしょう。

とはいえ、客観的に見て明らかにNGな写真も存在します。

たとえば、乳首や局部が写っていれば、児童ポルノの観点から「即NG」です。ですが、それ以外の場合については、第三者が「OK」とも「NG」とも言いにくいと思っています。

なので、リスクを把握したうえで、ご家庭ごとにSNS投稿のルールを作ることをご提案します。

「写真を公開するのは子どもが〇才になるまで」

「子どもの写真を公開するときは、後ろ姿や横顔だけにする」

など、一定のルールを設けて楽しむのが、SNSとの上手な付き合い方だと思います。

▼▼▼後編はこちら▼▼▼

「今日は運動会!」はNG?子ども写真のSNS投稿で知っておきたい5つのこと

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三上洋

三上洋

セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師

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コミックエッセイスト&イラストレーター。 おいしいごはんとお風呂屋さんと祭りが好き。近著に、国内外の多様な家族を取材し、その家事育児分担とコミュニケーションをまとめた『ほしいのはつかれない家族』(講談社)。

<漫画>ハラユキ

<取材>ハラユキ、KIDSNA編集部

<執筆>KIDSNA編集部

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2022.07.25

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