日本の小学生は中国の「神コンテンツ」になっている…なぜ中国人は「1人で下校する子」に興奮して撮影するのか
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山形県米沢市で11月、下校中の小学生の後をつけ、無断で撮影した中国人の投稿が問題になった。奈良県や宮城県では中国人インフルエンサーが市議会に無断で侵入し、騒ぎになっている。彼らの動機は何なのか。中国の事情に詳しいジャーナリストの中島恵さんが解説する――。
日本では「気持ち悪い」という反応が多いが…
中国人インフルエンサーが奈良県や宮城県など全国各地の市議会に無断で侵入し、議長室などを撮影してSNSに投稿していたことが発覚、物議を醸している。また、彼らが各地で下校途中の小学生児童を付け回し、撮影してSNSに載せていたこともわかった。
山形県米沢市では、教育委員会や警察、学校などが連携してパトロールを行うと発表。全国で同様の被害が相次いでいる。日本のSNSでは、保護者らを中心に「なぜ日本の子どもを付け回すの? 恐い」「気持ち悪い」「日本人の子どもが中国人に誘拐されるかも……」といった声が上がっている。なぜ、中国人はこのような不気味な行動をとるのだろうか。
中国のSNS、ウェイボーや、動画アプリの抖音(ドウイン、中国版TikTok)などで、ここ数年ずっと高い人気を誇る「神コンテンツ」がある。それは、日本の小学生の登下校の様子を映した写真やショート動画だ。投稿された中には子どもの顔がはっきり映っているものも少なくない。
そこには「日本の子どもは自分で電車に乗って家に帰る」や「日本の小学生は登校するときに親が送迎しなくていい」といった説明がつけられており、コメント欄には「日本では子どもが一人で学校に行くのか!」や「親が一緒に登校しなくていいなんて驚き!」「日本の子どもはなんて自立しているんだ。すばらしい」といった驚きのコメントが多い。
中国で「一人で下校」はまずありえない
日本人の間ではまったく知られていないことだが、中国人の目には、日本の日常風景である子どもの登下校の様子が、まるで「珍百景」のように映っているようだ。というのも、中国では、日本人にとって当たり前の風景は見られないからであり、とても物珍しいもの、興味深いもの、信じられないものだからだ。
中国の小学生は登校する際、誘拐の心配があるため、必ず親や祖父母、お手伝いさんなどが付き添って登校する。北京や上海などの都市部にある学校ではとくに、自宅から学校までの距離があるため、保護者が車で送迎することも多い。そのため、小学校の校門前の道路には、ズラリと自家用車が縦列駐車されており、大渋滞するほど。
下校時間も同様で、小学1~2年生が授業を終えて帰宅する午後2時過ぎになると、校門前には保護者の姿が次々と現れ、校門を取り囲むようにして待っている姿をよく見かける。保護者たちは子どもを見つけるとすぐに駆け寄り、子どものカバンを持ってあげて、車へと急ぐ。そのまま家路につくか、習い事に直行するかのどちらかだ。