「1年経つのが早い」と感じる人は要注意…時間術を妄信する人が気づいていない致命的な"落とし穴"

「1年経つのが早い」と感じる人は要注意…時間術を妄信する人が気づいていない致命的な"落とし穴"

時間を効率よく使うために「時間術」を学ぼうとする人も多いだろう。しかし、時間術を学ぶだけでは、有意義に時間を使うことはできないと、データ分析・活用コンサルタントの佐藤舞氏は言う。その真意を聞いた。

Step1 時間術の本質に気づこう

時間術はなぜ、人生を豊かにしないのか

最近では、時間当たりの生産性「タイムパフォーマンス」がとても重視されていて、時間を効率的に使う「時間術」がもてはやされています。そのため、書店に行くと、読者のニーズに応えるべく、時間術に関するさまざまな書籍が売り出されています。

実は私自身も、「時間を有効に使って、有意義な人生を送りたい」という願望が人一倍強かったので、それらのハウツー本を、片っ端から読み漁ってみました。ところが、本の内容は一見もっともらしいのですが、それらに書かれているテクニックを実践してみても、時間の使い方について、本質的な問題が解決されないのではないかと感じたのです。

というのも、そもそも「充実した時間とは何か」ということが定義できていなければ、「どのような時間の使い方が望ましいのか」ということも、導き出せないはずだからです。時間術のスキルやノウハウを駆使して、いくらタイムパフォーマンスを上げてみたところで、自分の人生にとって大切なことがわからないままでは、「豊かな時間」を過ごしているとは言えないでしょう。


「正しい時間感覚」を失ってはいないか

私たち大人は、仕事や家事、育児など日常のさまざまなタスクを抱え、「時間に追われる毎日」を送っているように感じています。年齢を重ねるにつれて、「1年がたつのが早く感じる」という人も多いのではないでしょうか。

しかし、皆さんも、自分の子どもの頃を思い出してみてください。毎日さまざまな出来事があって、いまに比べると1日が長く感じたのではないでしょうか。大人と子どもの時間感覚の違いについては諸説あるのですが、現在では「時間のパターン化理論」が有力視されているようです。

大人になってさまざまな経験を積むと、これまでの経験と同じことの繰り返しが増えるため、脳が刺激に慣れていき、子どものときに初めて経験した場合と比べて、経験にかかった「時間が短い」と、脳が錯覚してしまうという理論です。

私のケースをご紹介すると、小学生のとき、中休みとして20分間の休憩があったのですが、一輪車や竹馬の練習をしたり、友達とドッジボールに熱中したりと、とてもクリエーティブでエキサイティングな時間でした。20分が、とても長く感じられたのを覚えています。しかし、大人になったら、「たった20分の休み時間では、何もできない」と決めつけ、コーヒーを片手にスマートフォンを見ながら時間を潰すといった行動を、多くの大人が取るのではないでしょうか。

大人にとっても、子どもにとっても同じ20分です。それなのに、時間の長さが大きく異なると感じるのが、人間なのです。時空に対する子どもの知覚が正しいとすれば、大人の知覚が歪ゆがんでいることになります。もし子どもの時の時間感覚を取り戻せたら、大人も時間の使い方が変容し、充実した時間を実感できるのではないでしょうか。

私は「有意義な人生とは何か」について追求する中で、私たちの貴重な時間を奪う「モンスター」の存在に気づきました。モンスターの仕業で、私たちは莫大な時間を浪費してしまい、常に「時間がない」と嘆く羽目になっているのです。モンスターを退治しない限り、私たちは時間を食べつくされ、「何もしないうちに、あっという間に人生が終わってしまった」と、後悔しながら死を迎えることになるでしょう。

古代ローマの哲学者、政治家であるルキウス・アンナエウス・セネカは、「人生は短いのではなく、浪費しているから短いのだ」と説きました。反対に、モンスターがいなくなれば、私たちは正しい時間感覚を回復でき、時間を有意義に使って、充実した人生を全まっとうできるようになるでしょう。そこで、人生の大敵であるモンスターの正体、そして、その撃退法について考察していくことにしましょう。

フランスの哲学者であるブレーズ・パスカルは、「人間の悩みの大半は結局、自分が何を求めているかわからず、余計なことばかり欲してしまうからだ」と述べています。自分のやりたいことがはっきりわかっていれば、目的に向かってまっしぐらに行動するので、無駄な時間を使わなくてすむともいえるでしょう。

フランスの文学者であるフランソワ・ド・ラ・ロシュフコーは、「死と太陽は直視できない」という言葉を残しました。死とは、人間にとって受け入れがたい現実、太陽とは、近寄りがたい理想や真理を表しています。人間は、人生のどこかで死や太陽に直面しなければなりません。

しかし、それが恐ろしいので、直面するのを避けようと、無意味な行動を取り続けます。それゆえ、時間を無駄遣いしてしまうのです。つまり、人生の本質に近づけないようにして、本来、私たち人間が真っ先に取り組むべきことを先送りさせ、時間を浪費させるのが、「モンスター」なのです。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-241120-18092283

2024.12.27

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