「痛くない親知らず」をそのまま放置するとどうなるか…「今すぐ抜いたほうがいい親知らず」の判断基準
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親知らずを抜かずに放置するとどうなるのか。医師の各務康貴さんは「口臭や虫歯、歯周病の原因になるだけでなく、生命を脅かす細菌感染を引き起こしかねない。これらは気づかないうちに進行することがあるため、抜くべき親知らずを放置するのはリスクが高い」という――。
親知らずを甘く見てはいけない
一般的に、親知らずは10代後半から20代前半の間に生え始めますが、大人になってから悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
30代や40代になって生えてくる方や、顎や歯の変化により埋まっていた親知らずが現れてくることもありますので、若い方だけの悩みではありません。
親知らずは、痛みがないからといって放置しておいていいというわけではありません。むしろ、無症状のまま静かに進行し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
最悪のケースでは、親知らずの炎症が周囲の組織に影響を及ぼして手術が必要になる場合や、死に至ってしまうようなケースもあるため、軽く考えないほうがいいでしょう。
周りの健康な歯を道連れに…
まず、親知らずが位置する場所は歯ブラシが届きにくいため、磨き残しが増え、口臭の原因となったり、気づかないうちに虫歯が進行したりするリスクがあります。その影響で周りの健康な歯も虫歯になる危険性が高まります。
次に、前回解説した歯周病の進行にも注意が必要です。歯肉の腫れや出血に気づかない場合でも、徐々に歯と歯肉の境目から菌が入り込み、顎の骨を溶かしてしまうことがあります。これが進むと健康な歯も抜けやすくなってしまいます。
さらに、親知らずの生え方によっては顎骨に圧力がかかり、変形したり歯並びが悪化する事もあります。顎関節症の可能性も高まるため注意が必要です。