小学1年の娘を殴る、つねるの虐待を繰り返す…発達障害を抱えた母親を改心させた児童福祉司の"意外な行動"
Profile
自分の子どもをうまく愛せない親たちがいる。国際医療福祉大学の橋本和明教授は「どんな親であっても、子どもを虐待してしまうリスクを抱えている。ただ、発達障害を抱えてる親や子どもに関する虐待には固有のメカニズムがあると考えられ、一般の親と同じような対応することでむしろ虐待を悪化させてしまうケースもある」という――。(第1回) ※本稿は、橋本和明『子どもをうまく愛せない親たち 発達障害のある親の子育て支援の現場から』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
誰でも子どもを虐待するリスクを抱えている
どのような親であったとしても、自分は子どもに虐待を絶対にしないと言い切れる人はどれほどいるだろうか?
子どもの発育の早い遅いはもとより、持って生まれた子どもの気質によっても、親はイラッときたりすることは誰しもある。また、親側の要因として、そのときに置かれた自身の家庭状況や職場状況などの環境の善し悪し、何をするにもうまくいかずに物事がうまく回っていかない状況に陥ってしまい、ストレス過多となってしまうことだってある。
そんなときに子どもが言うことをきかなかったり、親の気持ちを逆なでするようなことを子どもから言われたりすると、ついつい声を張り上げてしまうことだってある。あるいは、そんなときには自分のことで精一杯で、子どもに関心を向けずにかかわらないで放置してしまうことだってあるかもしれない。
つまり、実際に虐待行為に至ってしまうか、親自身が怒りの衝動や欲求不満をコントロールできるかどうかの違いはあるにせよ、誰だって子どもを持つ親は大なり小なりの虐待をしてしまうリスクを抱えているのである。