【小児科医監修】春に流行りだす子どもの病気の種類

【小児科医監修】春に流行りだす子どもの病気の種類

登園停止期間やホームケア

2019.02.14

Profile

眞々田容子

眞々田容子

クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

新生活が始まる春は、環境の変化などから体調を崩しやすい季節です。鼻水や微熱から思わぬトラブルにつながることも。そこで、春に子どものかかる病気を一覧化しました。その病気にかかった際の幼稚園や保育園の出席停止期間や登園の目安、春に流行る病気の予防法やホームケアもあわせてご紹介します。

春にかかりやすい子どもの病気

春は寒暖の差が激しく、幼稚園や保育園、小学校への入園や入学、進級によって環境が変わるため、体調を崩しやすい時期です。

さらに、集団生活をする赤ことで病気に感染する可能性が高くなります。そこで春に流行りだす、注意が必要な子どもの病気について解説します。

のどの痛みとイチゴ舌が特徴の「溶連菌感染症」

喉を見てもらう子ども
iStock.com/sunabesyou

のどに溶連菌が感染して起こる病気です。急に39度くらいの高熱が出ることがあり、扁桃腺が赤く腫れ、痛みが強くでます

のどの腫れや高熱が出て3~4日くらいすると、舌がイチゴのように赤くなるのが特徴です。なかには、吐き気や嘔吐、腹痛、頭痛、関節痛の症状が出る子もいます。


症状

  1. 高熱がでることもある
  2. のどの痛み
  3. イチゴ舌
  4. 吐き気・嘔吐
  5. 腹痛
  6. 頭痛

潜伏期間

2~3日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、回復後の登園の目安は抗菌薬内服後24~48時間経過していることとなっています。

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リンパ節が腫れる「風疹」

風疹ウイルスによって起こる感染症です。麻疹や水疱瘡と比べると感染力は強くありません。

今までは1歳の赤ちゃんから9歳くらいの小学校低学年の子どもがかかることが多かったですが、近年は成人男性もかかる人が増えています。

なかには、ウイルスに感染しても明らかな症状が出ないまま免疫ができてしまう人もいるようです。


症状

  1. 発熱
  2. 発疹
  3. リンパ節の腫れ

潜伏期間

14~21日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、快復後の登園の目安は呼吸器症状が消失し、全身状態がよいこととなっています。

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高熱と全身症状が出る「インフルエンザ」

赤ちゃんの熱を計るママ
iStock.com/monzenmachi

インフルエンザに感染すると38℃以上の高熱を伴い、関節痛や筋肉痛、倦怠感などの全身症状が急速に強く表れます。

インフルエンザウイルスは感染力が強く、保育園や幼稚園で集団感染することもあります。出席停止が決められている病気のため、感染したときには登園停止期間に注意が必要です。

インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウイルス薬を使う事もあります。その年によって3月過ぎに収束する年、ゴールデンウィークぐらいまで注意が必要な年とあるので、ニュースや学校での感染情報を確認してください。


症状

  1. 38℃以上の発熱
  2. 頭痛
  3. 関節痛、筋肉痛
  4. 悪寒
  5. のどの痛み

潜伏期間

1~3日程度


登園停止期間

インフルエンザは感染力が強く、感染すると幼稚園や保育園で集団感染する可能性があるため、学校保健法で出席停止が義務づけられています。

発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで(幼児にあっては、3日を経過するまで)は出席停止期間となります。

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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

流行耳下腺炎(おたふくかぜ)は、冬から春にかけて流行る傾向が見られます。

耳下や頬が腫れることが特徴で一般的に片側から腫れてくることが多く、押したり、食べ物を噛んだりすると痛みを伴います。腫れは3~4日程度続き、すべての症状が1~2週間で落ち着きます。


症状

  • 耳の下から頬、あごの腫れ
  • 発熱がない場合もある

潜伏期間

2~3週間程度


登園停止期間

インフルエンザ同様、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)も、学校保健法という法律で次に登園できる日が定められており、耳下腺、顎下腺線、舌下線腺の腫脹が発現してから5日を経過するまで、かつ全身状態が良好になるまでとなっています。

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口の中と手足に痛みのある発疹が出来る「手足口病」

指の発疹
© hakase420 – Fotolia

口の中や手足に発疹ができます。なかには微熱を伴う人もいます。発疹は痛みを伴うので、水分や食事をとれなくなる場合もあり、脱水症状に注意が必要です。

生後6カ月から5歳までの子どもが特にかかかりやすいです。


症状

  • 発疹
  • 微熱

潜伏期間

3~5日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、発熱や喉頭・口腔の水疱・潰瘍を伴う急性期は出席停止となっています。

発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれることが登園の目安になっています。

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急な高熱とのどに水疱ができる「ヘルパンギーナ」

鼻水や咳はでないですが、急に39℃前後の高熱が出てのどちんこの付け根あたりに水疱がいくつかできます。嘔吐や頭痛を伴う場合もあります。

熱は2~3日程度で下がりますが、水疱が破れるとのどの痛みが強くなり、母乳を飲めなくなったり、不機嫌になる子もいるのでこまめな水分補給を意識しましょう。


症状

  • 高熱
  • 水疱
  • 不機嫌
  • 嘔吐
  • 頭痛

潜伏期間

2~4日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、ヘルパンギーナは出席停止が義務づけられている病気ではありませんが、発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれることが登園の目安となっています。

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感染経路

上記にあげた病気はどのように感染するのでしょうか。主な感染ルートをあげてみました。


飛沫感染

咳やくしゃみに含まれるウイルスが飛び散り、それを吸い込むことで感染します。人ごみはなるべく避け、外出時にはマスクを着用をするようにしましょう。


接触感染

ウイルスに感染した人が触ったドアノブや手すりなどに触れた手で手を舐めたり、目をこすったりする「接触感染」でもうつります。

何でも口に入れたがる年齢の子どもは特に注意が必要です。子ども同士のおもちゃの貸し借りにも気をつけましょう。


糞口感染

病気の症状が治まっても2~4週間程度は便からウイルスが排出されています。便を触ってウイルス感染する「糞口感染」も感染の原因になるので、赤ちゃんのオムツ替えのときは便が手につかないように気をつけましょう。

春の病気の予防法

鼻水が出ている男の子
iStock.com/kumikomini

子どもが病気にかからないために日常できる予防法をご紹介します。


手洗い、うがいを欠かさず行う

手洗いうがいでウイルスの侵入は防げます。

外出から帰ってきたときや食事の前、トイレのあとは石けんを使って手洗いうがいをしましょう。


おもちゃの洗浄、消毒

おもちゃやドアノブや手すりなどにウイルスがついているところから感染する場合があるので、おもちゃや手がよく触れる手すりなどはこまめに洗浄・除菌をすることが大事です。


規則正しい生活

規則正しい生活で免疫力をつけることも大事です。栄養バランスのとれた食事や、十分な睡眠で病気に負けない体作りを心がけましょう。


予防接種をする

おたふくかぜ、インフルエンザなど、一部の病気は予防接種を受けることができます。

予防接種があるものは早めに受けましょう。万が一かかったときにも症状が重症化せずに済む場合が多いといわれています。

ホームケア

予防をしていても、流行りの病気にかかってしまったときにはどのようなホームケアが必要でしょうか。


こまめな水分補給

病気によって、高熱や痛みのある発疹が舌にできて、水分や食事を十分にとれないことがあります。こまめな水分補給で脱水症状を防ぎましょう。

乳児用のイオン水や経口補水液は吸収が早いという特徴があります。


タオルや食器の共有を避ける

ウイルスに感染している人とタオルを共有することで病気に感染する場合があるので、タオルやバスタオルは家族間でもあっても分けて共有しないようにしましょう。

食事のときの食器も大皿から取り分けるのではなく、1人ずつのお皿に食事を用意するなどの配慮することが大切です。


オムツ交換時は十分配慮する

便から排出されるウイルスから病気に感染する可能性があります。赤ちゃんのおむつ替えをするときや、子どものうんちを拭いたりするときには手に便が触れないように気をつけましょう。


お世話する人もしっかりと予防する

子どもの看病しているママやパパが病気に感染することもあります。

大人がうつってしまうと子どもよりも症状が重症化する場合もあり、子どもにも十分な看病をしてあげられなくなります。病気に感染している子どものお世話をするときには、マスクを着用するなど十分に配慮しましょう。

流行りの病気を知り、正しい対策をしよう

桜の中で遊ぶ親子
iStock.com/kohei_hara

春は、入園や進学など環境が変わる時期です。環境が変わると子どもは大人が思っている以上に緊張しています。気が張っていることに加え、春は気温差が激しく体調を崩しやすい季節です。

春に流行る病気には、「溶連菌」や「RSウイルス」、「ヘルパンギーナ」など、のどの痛みを伴い、水分や食事をとりにくくなる病気が多いので脱水症状にならないようにこまめな水分補給が大切です。

インフルエンザのように明確な出席停止期間が決まっていない病気でも、高熱や痛みを伴う発疹など症状が強く表れる病気もあるので、感染しないように規則正しい生活を心がけ、手洗いうがいを徹底するなど日々の生活からしっかり予防対策をしましょう。


監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)

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眞々田容子

眞々田容子

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

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