性犯罪への対策をしている家庭は42.9%。潜在化しやすい性犯罪から子どもを守るためには

性犯罪への対策をしている家庭は42.9%。潜在化しやすい性犯罪から子どもを守るためには

先日、X(旧:Twitter)で「小児性愛者による性犯罪」が話題に上がっていたことをご存じだろうか?男児も女児も関係なく加害対象となる彼らに対して、Xでは一時期「死刑」がトレンドに入った。性犯罪から子どもを守るために、保護者はいったい何が出来るのか、性犯罪に対する保護者へのアンケートと共に、過去にKIDSNA STYLEが取材した記事をご紹介する。

日本版DBS導入への動き

「小児性愛(ペドフィリア)」とは、小児(通常13歳以下)を対象として性的興奮をもたらす強い空想、衝動、または行動が反復的に見られる人物に対して、用いられる言葉だ。

出典: MSDマニュアル家庭版「小児性愛とは」より

幼児への性暴力被害は、年々増加傾向にあり、内閣府男女共同参画局が2023年に公表した「こども・若者の性被害に関する状況等について」の中では、0-12歳への強制性交等罪の認知件数が、前年の同時期に比べて、3割以上増加したと発表している。

出典:内閣府男女共同参画局「こども・若者の性被害に関する状況等について(令和5年6月13日)」

諸外国では、子どもへの性犯罪を犯した者に対して、DBS(Disclosure and Barring Service)という性犯罪歴をもつ者を子どもに近づけない制度を適応していることから、昨年日本でもDBSを取り入れようとする動きがあった。

しかし、結局法案提出は見送りとなってしまったことから、落胆や憤りを感じる人も多かったのではないだろうか。
KIDSNA STYLEでは、昨年、この日本版DBSについてのアンケートを、読者であるKIDSNAアンバサダーに向けて実施している。

Q.日常生活の中で、子どもへの性犯罪について心配になったり、実際に危険性を感じたことがありますか?

「はい」が53.8%、「いいえ」が46.2%

Q.日本版DBSの導入についてどう思いますか?

賛成66.7%、やや賛成25.6%、どちらともいえない7.7%

アンケート結果から、多くの保護者が日本版DBSの導入に賛同していることが判明した一方で、当時、提出予定の法案内で性犯罪歴の照会が学校・保育所以外「任意」だったことから、日本版DBSについては賛成の声が多数ではあれど、法案自体には反対という声が多数寄せられていた。

Q.「日本版DBS」導入案(9/13時点)では、 学校や保育所などについては就職希望者の性犯罪歴の照会を「義務化」、学校や保育所以外の学習塾や学童保育、スポーツクラブなどは性犯罪歴の照会が「任意」とされる方針ですが、これについてどう思いますか?

賛成23.1%,反対66.7%,どちらともいえない10.3%

性犯罪対策を講じている家庭が42.9%

今回、Xで「小児性愛」が話題となったことから、KIDSNA STYLE内でも、「幼児への性犯罪」について、日ごろ何か対策をしているかアンケートを実施した。

「ある」42.9%、「思わない」57.1%
「思う」77.8%、「思わない」22.2%

上記のアンケート結果より、性犯罪から子どもを守るため、対策を行っていると答えた方は過半数を超えなかったことが判明した。このことから、子どもを性犯罪から守りたいとは思っていても、手段がわからない保護者が多くいる可能性が見込まれる。

そこで、以下ではKIDSNA STYLEが「子どもを狙う性犯罪」について、そもそも何故このような悲しい出来事が起こってしまうのかということから、具体的な対策方法まで、様々な分野の専門家に取材した内容ご紹介する。

証拠が残りにくい幼い子どもの性被害

幼い子どもを狙う性犯罪

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出典: 【防犯/前編】見つかりにくく証拠の残りにくい幼い子どもの性被害

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終わりに

性犯罪加害者にはGPSを義務化すべきといった議論が、X上では度々議論となっている。

子ども家庭庁が2023年に発表した資料によれば、性犯罪再犯者は13.9%と、決して無視できない数値だ。このような実情も踏まえ、日本では性犯罪厳罰化の声は近年ますます強まっているが、政府は未だ法改正には踏み切れていないのが現状である。厳罰化に踏み切れていない要因の一つとして、加害者の人権保護も無視できないという点が挙げられてはいるものの、子どもたちの未来を守るためにも、今一度私たちは声を上げるべきなのかもしれない。

出典:こども家庭庁「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議 第2回会議配布資料 性犯罪の再犯に関する資料(2023.7.19)」

2024.01.19

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