これから生まれる「人間にしかできない仕事」
KIDSNA編集部が選ぶ、子育てや教育に関する話題の最新書籍。今ある職業の大半がAIやロボットに代替されるといわれて10年近くがたちました。実際、なくなりつつある仕事がある一方で、新たな仕事も数多く生まれてきています。今回は、現代の課題とそれを解決するテクノロジーを掛け合わせた、未来に生まれるかもしれない仕事を『大人は知らない 今ない仕事図鑑100』(講談社)から一部抜粋・再構成してお届けします。
今ある仕事の約49%の職業がなくなる!?
野村総合研究所は、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン準教授と同大学のカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、「日本ではあと10~20年で、約49%の職業がAIやロボットに代替される可能性がある」と予測しました(2015年)。
AIやロボットにまかせたほうが早く、便利な仕事がある一方、人間にしかできない仕事もあります。「人間にしかできない」ことは何なのか、その中で自分がやりたいことは何なのか、まずは考えておくとよいでしょう。
また、未来の社会や働き方を変えるのは、AIやロボットだけではありません。大ピンチの地球環境を守るためにわたしたちがまず変わって、社会を変えていかなくてはなりません。
今、何が起こっているかを知って、こんな未来にしたいと考える「未来発想」へ切り替えていくこと。それこそが「人間にしかできない」考え方なのではないでしょうか。
2050年に目指すべき『豊かで持続可能な世界』に必要な仕事
「2050年に目指すべき世界の姿は『豊かで持続可能な世界』である。これを実現するには、多国間で『共通利益』を共有するコンセンサスが必要になる」
三菱総合研究所が発表した「未来社会2050」(2019年)の中の言葉です。
豊かさを目指すだけでなく、それを続けていくことができることが必要で、そのためには世界のみんなの協力が必要だということですね。これはSDGs(持続可能な開発目標)と同じ考え方です。
この本ではこうした社会課題を踏まえて10の「仕事ジャンル」を設定しました。
(※本記事ではその中で5つのジャンルと今ない仕事をご紹介しています)
ここにあげた仕事は「こんな社会になるから生まれそう」という例です。けれど、本当にこれから生まれる「今ない仕事」は、みなさんが主体的に作り出していくものだと思っています。
まずは、変化していく社会でどんな仕事を作ったら良いか、ヒントを探してみてください。
科学技術の進歩によって人々の生活は便利で豊かになった反面、環境には大きな負担をかけています。
森林を伐採し、石油や石炭を燃やしてエネルギーにし、ゴミを生み出した結果、大気汚染や海洋汚染、地球温暖化など、大きな影響を引き起こしています。
地球の豊かさを守るため、さまざまな仕事が生まれてくるはずです。
この仕事に向いているタイプ
- 地球温暖化が気になる
- 自然災害の多さをなんとかしたい
- 大気や土や水の汚染を食い止めたい
- ゴミだらけになるのはイヤ
- 生き物がすみやすい世界にしたい
ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子どもの半数が、107歳より長く生きるといわれています。
若者から高齢者まで、すべての人が元気に活躍しつづけられる社会のための仕事がますます求められていきます。
急速に進化するロボットやAIの活用は、医療や高齢者サポートの分野でも注目度急上昇中です!
この仕事に向いているタイプ
- いつまでも若く、美しくいたい
- 若い世代の負担を軽くしたい
- 人が減りすぎるのはイヤだ
- トレーニングや健康づくりに興味がある
- 身体が不自由な人も住みやすい世界にしたい
インターネットやテクノロジーの発達で、人間の暮らしはどんどん変わっていくでしょう。
でも、やっぱり社会の主役は人間です!
「人間」としての感情や体験は、大切なものとしてますます重要視されていくのではないでしょうか?
「人間的なもの」を守るための仕事も、ますます生まれてくるはずです。
この仕事に向いているタイプ
- ロボットに支配される世の中はイヤ
- 人間には人間らしさがやっぱり大事
- 新しい発想でおもしろいことをするのが好き
- 想像力や感性が大事だと思う
- 人とのコミュニケーションが好き
ぼくたちが元気に生きていくために欠かせないのは食べ物!
将来、世界的に食料の不足が大問題になるといわれているのは知っているかな?また水不足も深刻な問題になっている。
地球温暖化のような環境変化や、地球全体での人口増加で、世界の食や水をめぐる環境は大きく変化しているんだ。
この仕事に向いているタイプ
- 食べることが大好き!
- 世界の飢餓問題をなんとかしたい!
- 新しい職業に挑戦したい!
- ニュータイプのシェフになりたい
- 今ない新しい食べ物作りに挑戦してみたい
「格差社会」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
所得や資産、健康など、さまざまな基準によって差が生じてしまい、個人の力ではどうにもならない階層のある社会のことです。
世界でも日本でも、格差による分断が進んでいるといわれています。
貧困、年齢や性別の違い、障がいの有無によってチャンスが奪われないよう、学びや活躍の場を提供する仕事が重要になってくるでしょう。
この仕事に向いているタイプ
- 女性がもっと働きやすい社会に
- 貧困をなくしたい
- 教育格差がない社会がいいと思う
- みんなで子育てできるといい
- みんなが寂しくない世の中にしたい
もっとくわしい情報は、こちらの本を読んでね! まんがも載っているよ!
大人は知らない 今ない仕事図鑑100/上村 彰子(講談社)