高濱先生に聞く、夢中になれるものが見つからない親子への処方箋

高濱先生に聞く、夢中になれるものが見つからない親子への処方箋

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は花まる学習会代表の高濱正伸先生が、教育に関するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中。

【お悩み】ゲーム以外に子どもが夢中になれるものがありません。

10歳男子のママ
10歳男子のママ

以前の習い事をやめてから、他の習い事をやりたがらず、学校から帰宅すると宿題のみをやって、大好きなゲームばかりしている小5の長男。

 

親から見て「夢中になれるものがない」ように感じられます。

 

子どもに無理強いをさせるのではなく、やりたいことをやらせてあげたいと思って子どもの自主性に任せているものの、いつまでたっても新しいことを始める様子はありません。

 

まだ選択肢を多く持っていないからこそ、親が新たな選択肢を示してあげるべきでしょうか。

 

また、その際どのような方法をとれば、子どものやりたい気持ちを引き出すことができますか。なにかアドバイスあればお願いします。

高濱先生の回答「夢中になれること=本人が心から楽しいと思えること」

10歳は幼児期と思春期の境目。何歳になっても、なにかを好きになる出会いやチャンスはいくらでもあります。

 

相談者さんのお子さんは習い事をやめて、不安や警戒心が働いてしまっているのかもしれません。

 

よく見かけるのは、「もっとちゃんとやりなさい」「次はこれをやりなさい」「集中して」などとさんざん習い事に口出しして、親が思う正しい方向に持っていこうとするパターン。

 

そうすると子どもの警戒心はより一層強くなり、「なにもやりたくない」「熱中できるものがない」ということになります。

 

でも、本来、幼い子どもは積み木を高く積んでは崩す行為にずっと集中できるもの。つまり、夢中になることの原点は「本人が心から楽しいと思えること」なので、まずはそういうものを大事にしてあげましょう。

 

このときに、「剣道がいいって聞くからやらない?」というような提案をする親御さんも多いのですが、この聞き方では「やらない」「興味ない」と言われて終わってしまうので注意が必要です。

 

そうではなく、「おもしろいところに連れて行くから」「〇歳になったら行くことなってるから」と言って、いきなり剣道場に連れて行ってしまえばいいのです。

 

大抵のお稽古事はやってみれば面白いし、子どもは素直なので体を動かせば好きになって、また行きたくなります。

 

習い事を次から次へと変えることは「失敗経験が増えるのでは?」と心配する親御さんもいますが、むしろいろいろなことに挑戦することが、夢中になれるものが見つかる近道になるかもしれません。

 

その際、何をやるかは子ども自身に選ばせることも重要です。人は自分で選んだものを好きになるという習性があるため、たとえばサッカーと野球と水泳の体験に連れて行き、最終的な選択権は子どもに委ねてみましょう。

 

気をつけてほしいのは、「本当はこっちを選んでほしい」という親の思惑を匂わせて誘導したり、「じゃあこれもやったほうがいい」と欲を出したりするパターンです。

 

習い事にこだわらなくても、レゴでも絵でもギターでも、夢中になれるものがほかにあるならいいと思います。大切なのはその子の夢中になれるもの、熱中できることが何なのか親がしっかり理解して、そこを伸ばしてあげること。

親御さんからのアプローチ以外にも、いい方法があります。

思春期にさしかかった子どもの場合、お母さんからの提案ではなく、大好きないとこのお兄ちゃんやクラブや部活の先輩などからのおすすめの方が効果があることが多いのです。

 

親や先生ではない、ナナメの関係にある人や憧れの人から言われたことは素直に受け取れるのが思春期なので、そういう存在と出会わせてみるのもひとつの方法ですね。

Profile

高濱正伸(花まる学習会代表)

高濱正伸(花まる学習会代表)

1959年熊本県人吉市生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立。「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、現在も現場に立ち続ける。2020年から無人島プロジェクト開始。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー/日本棋院理事/算数オリンピック作問委員/「情熱大陸」などTV出演多数
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