今年はインフルエンザの流行が例年より早まっています。でも、ワクチンは自費……どうしようか迷っている方も多いのではないでしょうか。そもそもインフルエンザと風邪って、どこが違うの?診断、治療、予防の違いをお医者さんが解説します。
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中
そもそも「風邪」とは、いろいろなウイルスによる上気道(鼻や喉)の感染症のことなので、インフルエンザも広い意味では、インフルエンザウイルスによる「風邪」の一種といえます。
ただ、インフルエンザでは、通常の風邪に比べていくつか違う点があり、「風邪」と分けて考えられることが多いです。どこがちがうのでしょうか。
ご存知の通り、インフルエンザでは、通常の風邪に比べて「高い熱」が出ることが多いです。通常の風邪では38℃以上の熱が出ることは少ないですが、インフルエンザでは高い熱が出るので、風邪症状があって38℃以上の高熱だと、インフルエンザを疑います。
普通の風邪では稀ですが、インフルエンザではよく見られる症状です。
もう一つ大切なポイントは、「流行状況」です。「家族や一緒にいた人がインフルエンザだった」という場合には、インフルエンザである確率がぐっと高まります。
「インフルエンザの検査」という言葉、聞かれたことがあるのではないでしょうか?この特別な検査があるのも、インフルエンザの特徴です。
鼻や喉の粘液を綿棒で取り、迅速検査キットで判定する方法で、外来で15分程度で簡単に行える検査なのですが、「偽陰性(本当は感染しているのに、検査で「陰性」とまちがった判定が出てしまうこと)」などの問題もあり、万能な検査というわけではありません。
診察の現場では「インフルエンザの検査」に頼るだけでなく、上に書いた「高い熱+関節痛+流行状況」から「これはまちがいないだろう」と考えたら、検査をせずにインフルエンザだと判断することもあります。
「風邪には抗生剤は効かない」という説明を聞かれたことはありますか?ウィルスによって起こる「風邪」には、基本的に特効薬はなく、「風邪ぐすり」というのは症状を和らげる「対症療法」が中心です。
しかし、インフルエンザには、「抗インフルエンザウイルス薬」の特効薬があります。内服薬、吸入薬など、複数の形態があります。
ただし、若くて普段健康な方なら、これらの薬を使用しなくても、家でゆっくりと休んでいれば回復することがほとんどです。副作用もありますので、使用に際しては医師とご相談ください。
これが非常に大切です。風邪と違って、インフルエンザは稀に小児や高齢者で重症化し、死亡することがあります。死亡する例では、インフルエンザによる脳炎・肺炎・心筋炎などとなり、発症してから2日程度の比較的早い経過で亡くなることが多いと報告されています。
また、インフルエンザやその治療薬の影響で、「突然走り出して外に出る、窓から飛び降りる」などの「異常行動」が見られ、それによって死亡する例があったことも知られています。インフルエンザと診断されたら、特に最初の2日間は患者さんを(夜も)一人にせず、様子をよく観察してください。
・呼吸の様子がおかしい
・尿の回数が減っている
・けいれん(手足などがバタバタ震える)
・ぐったりしている
など、心配なことがあれば、速やかにかかりつけの医療機関に相談し、必要があれば救急を受診しましょう。
風邪には予防注射はありませんが、インフルエンザには予防注射があるのも大きなポイントです。予防注射で完全に予防できるわけではありませんが、発症しにくくなったり、もし発症した場合に重症になりにくくなるとされています。
60歳未満の人は任意接種で自費となりますので、接種する・しないは個人の判断となりますが、乳幼児・妊婦さん・基礎疾患のある方など、重症化するリスクのある方は接種をお勧めします。(我が家でも二人の子供に接種しました。)
今年は流行が早いようなので、接種を希望される方は、ぜひお早めに。医療機関によって値段が異なりますので(2500~3500円程度)、口コミを調べて受診されるのも良いかもしれません。
「高熱+関節痛+流行状況」がポイントのインフルエンザは、風邪と同じように、水分を取ってゆっくりと療養すると回復しますが、「最初の2日間の観察」がお家での看病の大きなポイントです。
また、今年の予防接種はぜひ早めに検討されることをおすすめします。大人も子どもも元気に冬を乗りきりたいですね。
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中
2016年11月30日
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箕島みな