【小児科医監修】予防接種のインフルエンザ、受けない、受ける、子どもの体にとって良い選択とは

【小児科医監修】予防接種のインフルエンザ、受けない、受ける、子どもの体にとって良い選択とは

2018.01.19

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金髙太一

金髙太一

おひさまクリニック院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 地域総合小児医療認定医/日本アレルギー学会/日本感染症学会

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

空気が乾燥し、湿度が低くなる冬はインフルエンザが猛威を振るう季節。インフルエンザの予防法はいろいろありますが、広く知られているのが、インフルエンザワクチンの予防接種です。でもママの中には「本当に接種をする必要があるの?」と疑問を感じている人も少なくないようです。そこで、ワクチンを接種したときのメリット、デメリット、受けなかったときに考えられるリスクについて調べてみました。

インフルエンザワクチンって本当に必要?

インフルエンザの感染予防に力を発揮してくれるといわれている予防接種。でも本当に予防接種をした方がいいのでしょうか。

予防接種をした場合のメリット

では予防接種を受けたときに得られると考えられるメリットを調べてみました。


比較的軽症で済む

一般的にインフルエンザウイルスにかかると、1~3日間の潜伏期間の後、38℃以上の高熱、関節痛などの症状が見受けられます。

それが予防接種をしていると、子どもにもよりますが微熱程度しか発熱しないなど、軽症で済むケースが多いようです。場合によっては、ほぼ普段と変わらないくらい元気がある子も。


感染を広げない

予防接種をしておくと、万一、家族がインフルエンザウイルスを家庭内に持ち込んだとしても、発症を抑える可能性も期待できます。特に小さな子どもがいる家庭では、感染を広げないことが大切なポイントといえます。

また、同じ職場や生活圏の人が予防接種をすることで、さらに大きな単位で感染を防げる可能性が期待できます。

注射の消毒を受ける子ども
srisakorn wonglakorn/Shutterstock.com

予防接種をした場合のデメリット

では、予防接種を受けた場合の考えられるデメリットをあげてみました。


「絶対かからない」わけではない

ママの中には「予防接種=絶対にかからない」と考えている人もいるのではないでしょうか。決してそうではありません。

5歳未満の子どもではワクチン接種によって感染を免れる子は2〜3割程度といわれています。また、

予防接種をうけていてもインフルエンザにかかる場合も

出典: AskDoctors

と、考える専門家も。ただし、先に述べたように、接種していた方が軽く済む傾向にあるようです。


副反応が出る可能性が

接種を受けたことが原因で現れる副反応が出るケースが考えられます。接種を受けた人の20%ぐらいの人にあらわれ、主に接種した部位が赤くなったり、腫れ、痛みなどの症状がみられますが、通常は接種後2~3日で消えます。

消えない、悪化する場合は、すみやかにかかりつけ医に相談をしてみてください。


接種費用がかさむ

現在、インフルエンザワクチンは、任意接種のため、接種するには接種費用がかかります。大人は1回接種ですが、生後6カ月~12歳の子どもの場合、2回接種する必要があるので、どうしても費用がかさむことに。

そうなると、ママの中には「接種してもかかってしまうなら、お金や副反応のリスクを考えて予防接種をしない方がいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。

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受けないときの大きなリスクとは

では自然感染した場合のリスクとはどんなことがあるのでしょうか。


合併症「インフルエンザ脳症」に注意

小さな子どもにとってインフルエンザに自然感染した場合、注意したいのが合併症です。なかでも「インフルエンザ脳症」は要注意。

こどもの場合はインフルエンザでインフルエンザ脳症にかかることが心配です

出典: AskDoctors

専門家もこのように言っています。

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスを攻撃するために体内の白血球が出す化学物質が原因で引き起こされるといわれています。その化学物質が原因で脳が腫れ、意識障害やけいれん、視点が定まらない、呼吸の乱れ、意味不明な言動などの症状が現れます。

インフルエンザを発症した乳幼児のうち、ごくまれにしか発症しませんが、死に至ることも少なくありません。また、命が助かった場合でも知的障がいや四肢麻痺などの重い後遺症が残るケースがあります。

ワクチンはインフルエンザ脳症も軽症にするケースも

発症率は高くないとはいえ、重篤な症状や重い後遺症が残るケースがあるという「インフルエンザ脳症」。

「もし、うちの子が発症したらどうしよう」と、不安に感じますよね。

そこで、専門家に何か対策がないか確認をしたところ

インフルエンザ脳症に関しては接種を行っていれば軽症で済むことが多く、そのためにも接種は勧められています

出典: AskDoctors

とのこと。

副反応が出る可能性や接種してもインフルエンザにかかるというデメリットを考えても、小さな子どもやその家族は予防接種を受けた方がいいでしょう。

インフルエンザの予防接種を受ける、受けないかは、合併症のことまで考えて

診察を受ける赤ちゃん
©   Qiteng T – Fotolia

インフルエンザの予防接種を受けたときのメリットとしては、比較的軽症で済む、家族間や生活圏内で感染を拡大させないという良さがあることがわかりました。

一方で、予防接種したこと=かからないとは限らないということ、接種費用が自己負担なので、接種回数の多い小さな子どものいる家庭では、お金がかかるというデメリットも。

ただし、小さな子どもの場合、インフルエンザ脳症を引き起こす場合のリスクまでを考えて、接種を検討する必要があります。インフルエンザが原因で、つらい思いや大きなトラブルを招かないよう、予防接種を含めた対策を考えてあげましょう。


監修:金髙太一 (おひさまクリニック 院長)

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金髙太一

金髙太一

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

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