【小児科医監修】インフルエンザと風邪の違いは?子どもの症状や特徴

【小児科医監修】インフルエンザと風邪の違いは?子どもの症状や特徴

合併症にも注意が必要!早めの受診を心掛けよう

2019.11.13

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金髙太一

金髙太一

おひさまクリニック院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 地域総合小児医療認定医/日本アレルギー学会/日本感染症学会

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

子どもが熱を出したとき、風邪かインフルエンザ、どちらかわからず不安になるママもいるのではないでしょうか。インフルエンザと風邪の症状は似ていますが、インフルエンザの疑いがあるときは、早めの受診が必要となります。子どものインフルエンザの特徴と風邪との違いについて詳しく解説します。

インフルエンザと風邪がわからない

子どものインフルエンザの初期症状は、風邪の症状と似ているので見分けるのが難しいかもしれません。しかしインフルエンザと風邪は、原因となるウィルスが違う別の病気です。

一般的にインフルエンザの方が症状が重い場合が多く、免疫力が弱い子どもは合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

子どものインフルエンザの特徴

子どものインフルエンザの特徴について詳しく解説します。


症状

止まらない咳
MIA Studio/Shutterstock.com

以下のような症状がある場合はインフルエンザの可能性があります。


  • 38℃以上の発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 全身の倦怠感
  • 嘔吐
  • 下痢

インフルエンザと風邪の違いは、症状の現れ方と症状が現れる部位を注意してみるとよいでしょう。

風邪の場合、鼻水やのどの痛みなどの症状が現れたあとに発熱を伴うことが多いですが、インフルエンザの場合は、突然38℃以上の発熱があり、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身のだるさなどが同時に急速に現れるのが特徴です。

子どもの場合は併せて、のどの痛みや咳、鼻水、嘔吐、下痢などの症状を伴うこともあります。発熱は3~4日程度続き、症状が回復するまで1週間程度かかります。

秋から冬にかけ、子どもが鼻水や咳など、風邪の初期症状がないにも関わらず、突然高熱を出し、機嫌が悪くなったり、ぐったりした様子がみられたときはインフルエンザかもしれません。

インフルエンザの可能性がある場合は、早めの受診と正しい治療が大切です。

インフルエンザの主な治療法は、抗インフルエンザウィルス薬の使用です。インフルエンザ発症から48時間以内に使用すると、ウィルスの増殖を抑え症状の重症化を防ぐことに繋がります。

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インフルエンザの合併症

インフルエンザは高熱などの重い全身症状に併せ、症状が重篤化すると合併症を起こす場合があるので注意が必要です。以下は子どもに多いインフルエンザの合併症です。


肺炎・気管支炎

インフルエンザウィルスもしくは同時に感染した細菌などが原因となり肺や気管支に炎症が起きる病気です。

高熱が下がらず、たんの絡んだような湿った咳や激しい咳が特徴です。

脱水症状や呼吸困難などを伴うこともあります。


中耳炎

主に合併して感染した細菌などが、中耳に入り込んで炎症を起こす病気です。

耳の痛みや耳垂れ、発熱、鼻水などが主な症状ですが、症状が悪化すると眠れない程の激しい耳の痛み、高熱を伴うこともあります。


熱性けいれん(ひきつけ)

インフルエンザの場合、高熱が原因になり熱性けいれん(ひきつけ)を起こしやすくなります。

熱の上がりぎわに起きる熱性けいれんや脳症によるけいれんにも注意が必要です。


脳症

インフルエンザの合併症として一番注意が必要となるのは「インフルエンザ脳症」です。意識障害やけいれん、呼吸の乱れなどの症状があり重症化すると命の危険が伴う場合もあります。

また症状が回復したあとにも知的障害や四肢麻痺などの後遺症が残るケースもあります。

「インフルエンザ脳症」が発症するのは、ごくまれですが、インフルエンザ脳症やその他の合併症を防ぐためは、早めの受診が重要です。一度受診したあとでも症状が悪化したり、なかなかよくならない場合は、再受診することが大切です。

インフルエンザで受診の目安

インフルエンザが疑われる症状と病院を受診する目安について詳しく解説します。


急に体温が上がる

赤ちゃんの高熱
GOLFX/Shutterstock.com

インフルエンザは発熱を伴い、熱の上がり方が早いことが特徴です。体温が38℃以上に急激に上昇したときはインフルエンザの可能性があるので、なるべく早めに受診しましょう。



40℃以上の高熱に伴い嘔吐や頭痛、ふるえなど他の症状がある場合は、早急に受診してください。ただし、検査をするのは発熱から6-12時間程度たたないと十分に反応しないことが多いため、検査を希望する場合は、受診前に電話などで相談しておきましょう。


呼吸が速い

呼吸が速く、息苦しそうにしているときは、急いで受診しましょう。

子どもの場合は、症状の進行が速く、急変することもあるので、咳がしつこく続き息苦しそうなときやゼーゼーゼイゼイと全身で呼吸している、咳で眠れ寝れないなどの症状がある場合は夜間でも受診しましょう。


顔色が悪い

土気色や青白いなど、普段と異なる顔色のときは、早急に受診しましょう。

唇の色が紫や白色でチアノーゼを起こしているときには、肺炎や心筋症を起こしているサインかもしれません。


下痢や嘔吐が続く

下痢や嘔吐が続くと脱水症状を起こす可能性もあります。嘔吐や下痢が止まらない、腹痛が辛そうな場合は、早めの受診が大切です。

水分がとれず半日以上おしっこが出なかったり、ぐったりしていて元気がないときには脱水症状を起こしている可能性がありますので早めに受診しましょう。


反応が鈍い

発熱に伴い、落ち着きがなかったり、いつも遊んでいるのに遊ばない、呼びかけへの反応が鈍い、意味不明な言動や行動をするなど、普段と異なる様子が見られた場合はすぐに受診しましょう。

高熱と咳があり意識や言動がおかしい、ぐったりしている、震えている、息苦しそうなどの症状が見られたときは、インフルエンザ脳症の可能性があるので夜間でも受診する必要があります。高熱のときに‘せん妄’で不自然な言動が出ることもありますので、受診前に状況を電話で相談しておくと良いでしょう。赤ちゃんや小さな子どもの場合、泣き止まない様子が見られたときは注意しましょう。

また、一度病院を受診したあとに症状がよくならない、悪化していると感じた場合は速やかに再受診しましょう。

夜間に発熱や咳の症状があっても、機嫌がよく食欲もあるようならば慌てず少し様子をみて、翌日かかりつけの小児科を受診してもよいです。

インフルエンザは正しい知識と早期治療が大切

インフルエンザのときは早めに受診する
kai keisuke/Shutterstock.com

子どものインフルエンザは重症化しやすいこともあるので、早期治療が大切です。インフルエンザの特徴や風邪との違いを理解し、インフルエンザの症状が疑われるときは早めに受診するようにしましょう。

インフルエンザは、薬を正しく飲んだり、安静にしていると完治することがほとんどですが、症状が悪化しインフルエンザから合併症を発症する可能性もあります。

一度受診をしたあとでも症状がよくならなかったり、普段と違う様子が見られたときにはすぐに再受診しましょう。症状の悪化に気づき迅速に対処することがが重症化を防ぐことに繋がります。


監修:金髙太一(おひさまクリニック 院長)

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金髙太一

金髙太一

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。
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