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【小児科医監修】夏の嘔吐・下痢・食中毒…予防の「三原則」とは?
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鈴の木こどもクリニック院長/小児科専門医
鈴の木こどもクリニック院長/小児科専門医
埼玉医科大学卒業。大学病院NICU(新生児集中治療施設)に20年勤務の後、1998年に、東京都品川区に「鈴の木こどもクリニック」を開設。監修書に「赤ちゃんの病気・けが&トラブル救急箱」(学研)等。昭和大学医学部客員教授、小児科学会認定小児科専門医。「母と子どもの講演会」を毎年開催し、子育てのアドバイザーとしても活動。品川区議会議員としても子育て支援に活躍中。
初夏から夏にかけては、食中毒が気になるママも多いはず!そこで今回は、食中毒の原因をはじめ、予防につながる手洗いのポイント、予防の三原則、対策法などについて、小児科専門医の鈴の木こどもクリニック鈴木博先生にくわしくお話をうかがいました。
夏に食中毒が多くなる理由とは?
梅雨から夏にかけては、1年中で最も高温多湿な時期のため、細菌が繁殖しやすい季節なのです。高温多湿の環境下に食べ物を放置しておくと、食べ物に細菌がどんどん増えていくことに……。
それを口にすることで食中毒が引き起こされるのです。
身近で特に注意すべき食中毒の種類
食中毒の原因となる病原体はさまざまありますが、今の時期、特に幼児が気を付けたい食中毒を鈴木先生にうかがい、ピックアップしました。
サルモネラ
◆原因食品:生の牛肉(牛肉のたたき・レバ刺しなど)、鶏卵、うなぎなど
◆潜伏期間:6~48時間
◆主な症状:悪寒、おう吐・下痢・発熱
◆特徴:子どもは重症化しやすいので特に注意が必要。
O-157
◆原因食品:牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛タタキ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根など
◆潜伏期間:4~8日
◆主な症状:おう吐・下痢
◆特徴:病原性大腸菌には大きく分けるとO-157のような腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生型)とベロ毒素を出さないタイプがあります。ベロ毒素産生型は溶血性尿毒症症候群をおこすと、命が危険になるおそれもあり、要注意です。
カンピロバクター
◆原因食品:鶏肉などの肉類
◆潜伏期間:2~7日
◆主な症状:腹痛(長期)、下痢、血便
◆特徴:低温に強く、冷蔵していた鶏肉でも油断できない
腸炎ビブリオ
◆原因食品:さしみなど魚介類
◆潜伏期間:10~24時間
◆主な症状:はげしい腹痛、下痢、発熱
◆特徴:真水にさらすと死滅するので、調理前に水道水で洗う、加熱するなど。
食中毒予防の鉄則と三原則とは
食中毒を防ぐために知っておきたい「予防の三原則」があります。
では具体的にどんなことをやればよいのかを解説。また、予防の三原則を実践する際に合わせてやってほしい「鉄則」のコツも紹介します。
何をするにも「手洗い」が鉄則
食中毒を予防するのに何よりも大切なのが、食品を触ったり、食べたりするときに使う「手」を清潔にすることです。そこで、手洗いのポイントをまとめてみました。
◆手洗いはこまめに。特にパパはトイレ後に手を洗わない人もいるので、必ず洗う習慣を
◆調理する前はもちろん、食べる前、食べ残しも手洗いを忘れずに
◆ただ流水に手を当てるだけではなく、できるだけ石けんを使うこと
◆爪は短く保ち、手洗いの際に時計や指輪は外す
◆しっかりと清潔なタオルかペーパーで水分をふき取る
三原則その1:菌を「つけない」
まずは食べ物に菌を「つけない」ことが大切です。
「つけない」ようにするには主に「洗う」「分ける」という方法がありますが、具体的にどんな点に気をつけたらよいかをリストにしてみました。
◆調理前後(生肉・生魚・卵の場合は特に注意)に器具をきちんと洗う
◆野菜の後に生魚や生肉を切るなど、調理の順番を工夫して菌を付着させない
◆生ものをつかんだ菜箸と加熱後にお皿に盛る際の菜箸を分ける
◆食品を保存する場合はラップや密閉容器で分ける
三原則その2:菌を「増やさない」
食中毒の原因となる菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止するといわれています。
それをふまえ、食べ物に付着した菌を増やさないためには以下のことに気を付けましょう。
◆買ってきた食材はすぐに冷蔵庫へ
◆帰宅までの時間を考え、スーパーでもらえる氷や保冷剤を活用し、特に生ものは低温の状態で持ち帰る
◆できるだけ早めに調理する
三原則その3:菌を「やっつける」
食中毒の原因となる菌のほとんどは、加熱によって死滅します。菌を「やっつける」ための方法をピックアップしてみました。
★加熱調理をする
★調理器具をこまめに熱湯や台所用殺菌剤で殺菌、消毒する(一部の菌はアルコールでは死滅しないので要注意)
★ふきんなど器具をふくものはこまめに取り替え、殺菌消毒する
★キッチンペーパーなどの使い捨てのものを活用する
食中毒かな?と思ったときの対策法
「子どもの顔色が悪い」、「いつもと比べて食欲が無い……」など、ちょっとおかしいなと思ったときにどうしたらいいのか、また見きわめポイントを紹介します。
食中毒の特徴
おなかのかぜ(ウイルス性胃腸炎)は自然によくなりますが、食中毒はどんどん症状が進行、もしくは症状がひどいことが特徴です。
食中毒の場合は腹痛が激烈で血便になったりするので、子どもの異変に気づきやすいかもしれません。
ただし、ママが勝手に食中毒かどうかを判断をすることは非常に危険なので、必ずかかりつけの先生になるべく早く受診しましょう。
病院へ行く際の注意点
病院に行く際には
◆食べた食品の一覧
◆食べた時間
◆一緒に食べた他の家族の様子
これらをすぐに伝えられるようにメモをしておいたほうが良いでしょう。
また、便をビニール袋などで密閉して病院に持参しましょう。たまに写真を持ってくる人もいますが、写真もよいのですが、実物の方が診断しやすくなります。
慌てているとつい忘れがちになりますので、冷静に準備をしてください。
食中毒予防の三原則を守って
大人でも大変つらい食中毒ですが、子どもの場合は特に、年齢によってうまく言葉で伝えられない場合もあります。
まずはきちんと手洗いをするようにしましょう。
さらに、食中毒の予防三原則で対策をしっかりとすることが大切です。
また、「食中毒かな?」と疑わしいときは、ママが勝手に判断せず、食べたものと時間など、本文内で紹介した内容をしっかりメモし、便を持ってかかりつけ医を受診を。
子どもを食中毒から守り、健やかな夏をお過ごしください。
監修:鈴木 博(鈴の木こどもクリニック クリニック長)
Profile
鈴木博(小児科専門医)
埼玉医科大学卒業。大学病院NICU(新生児集中治療施設)に20年勤務の後、1998年に、東京都品川区に「鈴の木こどもクリニック」を開設。監修書に「赤ちゃんの病気・けが&トラブル救急箱」(学研)等。昭和大学医学部客員教授、小児科学会認定小児科専門医。「母と子どもの講演会」を毎年開催し、子育てのアドバイザーとしても活動。品川区議会議員としても子育て支援に活躍中。