4人目を妊娠したいけど生理が重い。体質は変えられる?【宋美玄】

4人目を妊娠したいけど生理が重い。体質は変えられる?【宋美玄】

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、生理にまつわるお悩みに答えます。

【お悩み】出産を経て生理前が不調に。4人目がほしいけど体質改善できますか?

35歳・女5、男3、女2のママ
35歳・女5、男3、女2のママ

出産を経る度に生理が重くなったり軽くなったりしているように感じるのですが、出産によって体質が変わることはよくあることなのでしょうか?

1人目、2人目までは生理がラクだったのですが、3人目を出産してからかなり重くなりました。

今は、小さな子ども3人の育児でバタバタの日々で、生理前の貧血がひどく悩んでいます。できれば4人目がほしいなと考えていますが、さらに生理がひどくなるかもしれないと考えると躊躇してしまいます。

今から体質改善をすることができるのか、もしくは4人目の妊娠を目指すにあたって対策できることがあれば教えてください。

【宋先生の回答】4人目が欲しいのであればまずは妊活を。産後にピルやミレーナで生理を軽くしましょう

相談者さんは、3人目の出産後、生理前の貧血に悩んでいるとのこと。

実は貧血には2種類あって、突然めまいのような症状が起き、ふらっとしたりする、いわゆる脳貧血のような状態を「貧血」と考えている人も多いのですが、これは脳の酸素不足によるもので、実際は採血して血液成分が薄い場合を貧血と呼んでいます。

こうした誤解があるため、自己診断で貧血だと思っている方のほとんどが、めまい、ふらつきなどの脳貧血であることが多いのです。

生理で大量に出血した場合、一時的に貧血になることもありますが、生理前に貧血になることはあまりないので、一度かかりつけ医で検査してみてはいかがでしょうか。

そして、出産による体質の変化について。

出産で体質や生理の重さが変わるのはよくある話ですが、基本的には出産を経ると生理は軽くなることのほうが多いです(もちろん、そうではない人もいます)。

現代女性は初潮が早まり、出産回数も昔ほど多くないため、100年前と比べると生涯経験する生理の回数が約9倍にまで増えているといわれています。生理の回数が増えることで、毎月妊娠の準備をしては妊娠が成立せず排卵する、ということをくり返すため、子宮や卵巣に大きな負担がかかります。これが、生理痛などのトラブルや子宮内膜症などの病気が増えた原因です。

だから、妊娠することで生理を長期間お休みする、つまり生理の回数が少なくなることで、産後の生理が軽くなったり、体質が変わるということが起きるのです。

こうした前提をもとに考えると、相談者さんは現在、3人目を出産した後の生理前の不調に悩み、同時に、4人目の妊娠を考えているとのことですので、今のつらい状態を長引かせるより、早めに妊活をスタートして、出産後に対策をおこなうのが良いかと思います。

もしも、今すぐに4人目をということでないのであれば、低用量ピルやミレーナで生理を軽くすることで症状も軽減することはできます。これらは毎月生理のたびに起こる排卵を止め、子宮や卵巣の負担を軽減するもの。もちろん、妊活をスタートしたくなったタイミングで低用量ピルの服用をやめたり、ミレーナを取り外すことで妊娠も可能です。

ちなみに、低用量ピルとミレーナ以外の方法で自分の努力で生理にまつわる不調やトラブルを改善するという方法は、残念ながらあまりうまくいかないというのが私の意見です。

「漢方療法をしたり子宮を温めることで生理が軽くなる」という言説もあり、自力で治せるものと思っている方もいらっしゃいますが、医学的な立場からはおすすめはしません。生理にまつわる不調やトラブルは、子宮や卵巣に病気が隠れていることもありますので、まずは我慢せず受診してくださいね。

相談者さんは特に、幼い子どもが3人もいて、生活習慣のコントロールは難しいはず。できる範囲で、無理のないように過ごしていただければと思います。

Profile

宋美玄(ソンミヒョン)

宋美玄(ソンミヒョン)

産婦人科医、医学博士、日本周産期・新生児学会会員、日本性科学会会員。 一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。 丸の内の森レディーズクリニック院長。 1976年1月23日兵庫県神戸市生まれ。 2001年大阪大学医学部医学科卒、同年医師免許取得、卒業後大阪大学産婦人科入局。 2007年川崎医科大学講師就任、09年にイギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集める。その後も、各メディアへの出演や妊娠出産に関わる多くの著書を出版。 2012年女児、15年に男児を出産し2児の母になり子育てと産婦人科医を両立。 “診療95%、メディアへの露出5%”としながらも、“カリスマ産婦人科医”として、対応しうる限りのメディア出演、医療監修等で様々な女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性などに女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

2021.07.20

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