2016年12月、文部科学省から学力到達度調査の結果が発表され、日本の子どもたちの「読解力」が8位に後退したことが報道されたことをご存じでしょうか?今回の記事では『国語が得意科目になるお絵かきトレーニング』の著者と、これからの教育に求められる「表現力」や「考える力」の基礎力を育む方法を考えてみました。
この春から小学校に上がる筆者の次男は、テレビが大好き。先日「テレビばかり見てたらだめだよ」というと「おかあさん、いつもテレビ見るのだめって言うけど、なんでなの?」と質問されました。
その時「目が悪くなるから…時間がもったいないから…」と、その理由をはっきりと答えられない自分に気づきました。
そこで今回は、なぜテレビやゲームが「よくない」といわれているのか親としてちゃんとその理由を知りたいと思い、長年、子どもの国語力を伸ばすための「お絵かきトレーニング」という方法を教育現場で実践している、坂本聰(さとし)先生にKIDSNA編集部がインタビューさせていただきました。
そして、幼児期の子どもとの接し方や、お絵かきなどの遊びの中で「表現力」や「考える力」を育む方法を考えてもらいました。
テレビがなぜ「よくない」のか、坂本先生はその理由をこう説明します。
「テレビやゲームは、映像と音が一緒になってひとつの世界を作り出しています。その世界に子どもたちは、あまり考えずにそのまますっと入り込むことができます。想像することなくそこに乗っかる、という感じでしょうか」
「逆に、本は言葉で成り立っているので、言葉から情景や音などを想像していくことになります。つまり、言葉から絵や音に【媒体を変換する】必要があって、それが子どもの考える力を伸ばすのです」と坂本先生。
言葉、絵、音など、いろんな媒体を頭の中で結びつけることが、子どもの表現力や考える力を育むんですね。
でも「読書は教育にいい」というのはわかっていても、ついテレビを見せたりゲームをさせてしまいます…。
「そういう時間はあっていいと思いますよ。今は、大人が忙しいから、子どもも忙しい時代。1日中保育園にいたり、たくさん習いごとをしていたりするから、ぼんやりする時間も必要ですよね。でも園や学校、塾ではできなくて家でしかできない大切なことがあります」
それはどんなことなのでしょうか。
「親子で会話することです。おやつや夕食を食べながら、その日にあったことを話す。
そのときにちょっとしたポイントがあるので、それさえ押さえておけば大丈夫」と坂本先生はいいます。
そこで、短い時間でもできる、子どもとの会話の仕方を考えてもらいました。
「小さな子どもにとって外の世界で起こったことを言葉で説明することは、視覚的情報と言葉を結びつける行為。その日にどんな出来事があったのかをきいてあげてください。それが、「出来事」→「言葉」という【視覚的情報と言葉を結びつける行為】につながります」
なるほど、それなら園への送り迎えの途中や、お風呂の中でも実践できそうです。
「もう少し余裕があれば、その日の出来事を絵にするのもいいですね。その絵について親子でちょっと話す。それだけでかまいません。それが「絵」→「言葉」の結びつけになります」
さらに、坂本先生は続けます。
「できるだけ、その子自身の言葉を引き出すのがポイントです」
「きっとこんなことが言いたいんだよね、と子どもの言葉を予測して先まわりしないように気をつけてください。
この「予測」は子どもの年齢が上にいけばいくほど当たらないようになります。親が「こうでしょ」ってきいたら「うんうん」って言いながらも心の中で(ちょっとずれてるけどまあいいや)って思ってたりして、そのズレがどんどん大きくなってちがう方向に行ってしまうこともあります。
だからこそ、子ども自身の言葉が出てくるのを待つのはとても大事なことです」
筆者も、忙しいのを理由につい子どもの言葉を先まわりしがち…。これからは少し待ってみようと思いました。
「もちろん、子どものことを理解したいという気持ちはあると思います。でも、冷たくするという意味ではなく、子どもをひとりの他人だと思って会話してみてください。そうすると頭ごなしにならなくて済むこともあるんじゃないでしょうか」と坂本先生。
子どもの表現力や考える力を伸ばすためにも、会話するときの適度な距離感を心がけたいと思いました。
次回の記事では、より効果的な絵本の読み聞かせの方法についてお届けします。
「無理して10冊読むより、1冊をじっくり読めばいい」
と坂本先生はいいますが、それはどういうことなのでしょうか。
取材:KIDSNA編集部
2017年03月19日
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