子ども同士の喧嘩に親はどう対処するべきなのか。上手な仲直りのさせ方とは

子ども同士の喧嘩に親はどう対処するべきなのか。上手な仲直りのさせ方とは

2018.07.05

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西村則康

西村則康

教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

子どもの年齢が上がるにつれて、子ども同士の喧嘩が気になるママもいるのではないでしょうか。今回は教育専門家の西村先生に、子どもの喧嘩の対処法や仲直りで得られる力についての記事を書いていただきました。

子ども同士の喧嘩はさせたくない?

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iStock.com/maroke

子ども同士の喧嘩というと、最近はデリケートな問題と感じてしまう方も多いかもしれませんね。誰だってわが子が嫌な思い、悲しい経験をするのは嫌だし、相手の子どもにケガをさせてしまったらどうしよう、そしてわが子にもしも何かあったら…なんて考えると、どうしてもネガティブな気持ちになってしまいます。

大人になると、自分が小さい子どもだったときにどんなふうに喧嘩をしたかなんて、忘れてしまって思い出せないという方もいるかもしれません。

喧嘩によって得られるもの

私は、子どもが喧嘩から学べることは多いと考えています。まずはそのことから考えてみましょう。


欲求や希望を表現する力

小さな子同士の喧嘩が始まるのは、なにか欲求があって、それが叶えられないときです。たとえばいっしょに何かしたいのに相手が他のことに夢中になっているとか、使いたいおもちゃを貸してくれない、気づいてくれない、そんなときです。

うまく相手に伝えられずに相手のやっていることを邪魔したり、無理やりおもちゃを取りあげると喧嘩になります。

喧嘩にならないようにしようと思えば、相手に伝わり、相手が納得してくれそうな方法をなんとか考えなくてはなりません。つまり喧嘩を経験することで、自分の欲求を誰かに伝える力を養うことができるわけです。


相手の気持ちを考える力

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喧嘩が始まったら、相手の子の反応は様々です。小さな子の場合、ただ「イヤ!」を連発するかもしれないし、5、6歳にもなればずいぶん言葉も達者になっていますから、言葉のやり取りによる喧嘩も、特に女の子などは多いと思います。

幼稚園や保育園の保育士さんは、手を出したり危険なことがなさそうなら、まずは本人たちだけで解決できるかどうかそっと見守る、という方も多いようです。

さて、喧嘩の最中、お子さんの頭の中は「なんでぼく(わたし)が◯◯したいのに、思い通りにならないんだ!」という気持ちが渦巻いているのですが(実は大人も同じですね)、一方で5歳くらいのお子さんなら、相手の子は何を考えているんだろう、と想像することもできるようになっています。

いったん自分の立場を離れて相手の気持ちを考えてみる、そんな力は大人になっても必要ですね。


「仲直り」する力

上手なお母さんたちは、あっちが勝ちでこっちが負け、といったようにはせず「どうすれば喧嘩にならなかったか」を考えさせ、お互いに「自分にも悪いところがあった」と気づかせて謝らせ、仲直りさせることが多いようです。

「自分のほうが悪かった」と気づいたなら謝る勇気が必要だし、どうやって謝ったら相手の子が受け入れてくれるだろうと考える、いい機会にもなります。交渉力の基本のようなものですね。

大人だって素直に謝れないことは多いものです。子どもたちはケロッと仲直りして遊んでいるのに、親同士が気まずくなってしまった、なんて話はよくあります。


暴力以外で問題を解決しようとする力

喧嘩の最中は子どもたちもヒートアップしているので、手が出てしまう場合もあるでしょう。うまく相手が納得してくれるように言葉にできない場合、そうなることもあります。

こうなると親や保育士さんの介入が必要ですが、ぶった子どもは「ぶってしまった」という苦い気持ちを味わっています。できれば相手の子をぶつようなことは、子どもだってしたくないのです。ぶたれた方は、痛くて悲しい気持ち、悔しい気持ちを味わいます。

仲直りするには、お互いの気持ちを言葉にして相手に伝え、理解し、反省する必要があります。

こうやって、喧嘩を通して暴力以外の方法でお互いの欲求を満たす方法を考える、ということができるようになっていきます。

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コミュニケーションの中でしか学べないこと

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ざっとあげただけでも、子どもが喧嘩から学べることはこんなにあります。

私も子どもの頃はよく喧嘩したものですが、よく喧嘩した記憶のある子はだいたい仲がいい子で、お互いに気になる存在だったように思います。そして、喧嘩の中で他の子との接し方、コミュニケーションの基本、集団の中での自分の振る舞い方を身に着けていきます。

コミュニケーションスキルは、他者とのやり取りの中でしか身に着けられません。その意味では、子どもの喧嘩というのは「避けて通るべきもの」ではないと私は考えています。

「喧嘩しちゃダメ!」

親はついついそう言いたくなりますが、喧嘩を成長の機会と考えれば、良い経験です。わざわざ「喧嘩しなさい」というのではないのですが、自分だけの世界、自分と親だけの世界から一歩踏み出す年齢の子どもたちの間では、コミュニケーションの行き違いが頻繁に起こります。

それが子どもの喧嘩であり、「外の世界との付き合い方」を子どもなりに体力、知性、感性を総動員して学んでいるのです。

小学校にあがるまでにそんな経験を積んでおくと、小学校での本格的な集団生活のよい準備にもなります。

子ども自身の学びを大切に

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「喧嘩は悪いことだよ」と10回言い聞かせるより、実際に友達と1回喧嘩をしてバツの悪い思いをするほうが、子どもは「次からは喧嘩はよそう」と強く学びます。

たくさん喧嘩して、その仲直りから多くを学ぶことができれば、自分の欲求は表現しつつも、相手の考えも尊重し、解決策を相手といっしょに考えることができる、そんな子に育っていくものです。


執筆:西村則康

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西村則康

西村則康

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

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